新潟ソーシャル時評:「しょっぺ」をいかそう新潟


(2014年01月18日新潟日報モア「新潟ソーシャル時評」から転載。)

連載「2014 私の初夢 ◯◯のまちづくり」で、1月11日、新潟大学法学部長の田村秀先生のインタビューが掲載されました。駅前楽天地の写真とともに「しょっぺ飲食店街」をまちづくりに活かそうという提案です。

新潟に引っ越して来たばかりの頃、ウェブ上の「新潟しょっぺ店番付」というページを見つけて、掲載されている店をいくつか訪ねました。当時はこの言葉「しょっぺ」の意味がわからず、今でも「しょっぺ」の意味は正確に定義できませんが、「おしゃれ」とは程遠いが、飾らない、「古き良き」ものを表す言葉だというのは、理解できます。その後この番付を見てお店に出かけることは減りましたが、いろいろな方に連れて行っていただいた店が、結果的にこの番付に入っている店だったことも多いです。

しょっぺ店番付

好きな店はいろいろありますが、私が一番よく行くのは「喜ぐち」。餃子やご飯物、麺類、そしておつまみもすべて揃っている、下町の雰囲気あふれる楽しいお店です。

しょっぺ店・喜ぐち

最近知り合いが「駅前楽天地」に進出、クラフトビールのお店を出したので、「駅前楽天地界隈」にも出かけるようになりました。これまでも存在は知っていたのですが、一見さんが立ち入ってはいけない雰囲気を感じて、長らく近づくことはありませんでした。中に入ってみると、新旧のお店が混在しており、あらゆる世代が楽しめる、楽しいエリアになっていることがわかりました。

昨年、ゼミの学生たちと青森まで行ったのですが、途中の秋田駅で、学生たちが「秋田は都会だ!」と言い出したのに驚きました。よく考えてみると、秋田駅前は整備が進んでいて、新潟駅万代口に比べると、駅舎とそれに連なる商店街ができあがっているように思います。学生たちは、たぶんその印象から、秋田は都会だと言い出したのでしょう。逆に言えば新潟は、駅前を含めて、都市の規模の割に都会的な雰囲気が少ないのかもしれません。

駅前開発で「都会感」を出さなかった一方、街には「しょっぺ飲食店街」が残りました。「都会的」とはいえませんが、伝統ある「しょっぺ店」と新しい店が混在して、一種独特の雰囲気を出しているとはいえそうです。古くて味わいのある店は他の都市にもありますが、「しょっぺ」という、わかるようなわからないような用語でその雰囲気を現しているのは、新潟だけかもしれません。標準語でも、「しょっぱい」という言葉が、似たような意味で使われることがあるようにも思いますが、「愛すべきもの」というニュアンスは、あまりないように思います。

「しょっぺ」を軸にした街づくり、たしかに可能性を感じます。

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