10月28日の「東日本大震災ビッグデータワークショップ」報告会。震災直後のTweetを解析した結果の報告が行われている。ソーシャルメディアでの情報共有が、災害時にどのように活かされたのか、多様なデータ解析から明らかにされた。
by fumi.
NHK NEWS WEB 震災ビッグデータ報告【1】ツイッター「次に」生かすには
イベント – 東日本大震災ビッグデータワークショップ – Project 311 –
以下はNHKの解説記事から。わずかなTweetだけが注目される現象は、平時のTweetでも起こっているような気もするが、震災時には特に顕著だったということかもしれない。膨大な量であったのはたしかだ。
■投稿したアカウント数は約369万で、そのうち4.2%のアカウントのツイートが全体の半数を占めた。
大量のツイートは、特に安否確認や交通情報を自動でつぶやく「bot」のアカウントが目立った。
■全体の2.4%のツイートが、その約9倍の21.4%のツイートによってRT(リツイート=引用)され、RTされなかったツイートは76.2%だった。
自生的に確立されていったハッシュタグは、緊急時の支援においては、うまく機能しなかったという点。まとめのハッシュタグのまとめが必要になり、それを即時に共有するというボトルネックが発生していた。
東京工業大学大学院の村井源氏は、震災直後、県別のタグや支援要請のタグなどが多数生まれ、全体でどのようなタグがあるのか分かりにくかったことや、新規のタグを周知することが難しかったことを指摘し、自治体などによる「公式タグ」の制定や、利用者にタグやRTの適切な利用方法について周知を進めることなどを訴えた。
Twitter検索などを平時にやっている団体は、こうした事態を察知することはできたと思うが、普段ですらやっていない公的機関が、「デマ注意報」を出すのは難しいはず。この点の注意喚起は重要だが、公的機関はこの問題にどの程度気づいているのか。
東京工業大学の高安美佐子准教授らのグループは、震災後に拡散した「千葉県内の製油所が爆発して有害物質が雨と一緒に降る」という内容のデマが、ツイッターでどのように広がったかを解析し、
■善意の心配がデマを拡散させている可能性が高い
■特定のキーワードの出現頻度を観測して「デマ注意報」などのアラートを出し、公的機関が素早い情報発信をすることが重要だ、と述べた。
1.解析で得られた災害情報を分類するノウハウ、タグのリストなどの共有
2.「災害時の情報連携ネットワーク」などに発展させて定期的に訓練を実施
という二点が、報告開催の最後に得られた結論であったという。
基本的には「日頃の備え」が大切だということに尽きるのだが、一番大事なのは、情報を率先して出していくべき公的機関の備えということになるだろう。公的機関は情報を出すということはもちろん、どんな情報が流通していくかをリアルタイムでチェックし、適宜適切な情報を出してデマなどを打ち消す役割も果たす必要がある。おそらくこの役割を果たすには、日頃の役所の仕事の仕方もかなり変えていく必要があり、この点が大きな課題になりそうだ。