Alexa Feser「1A」:東京撮影のシュールなMV

Alexa Feser「1A」

エフエムしばたのラジオ番組「敬和キャンパスレポ」、2020/11/27の放送では、ドイツ語の曲をオンエアしました。同僚の桑原ヒサ子先生の著書「ナチス機関誌『女性展望』を読む」を、ご本人にインタビューする形で紹介する内容でした。

ドイツの歴史文化の研究者である桑原先生をお迎えするということで、桑原先生の趣味とはあまり関係なく、ドイツ語の最近のヒット曲から探してきた形です。

Alexa Feserの「1A」(アインスアー)は、ドイツ語曲で、詩的な内容ですが、映像は東京ロケの独特な内容になっています。ドイツの人が東京の風景を切り取って、MV向きのアーティスティックにすると、こうなるということなのかもしれません。日本人はなんともシュールな光景です。

映像の中では、Alexa Feserが東京の典型的な風景、たとえば新宿の思い出横丁、代々木公園、私鉄沿線の線路脇、ゲーセンなどに行くのですが、一緒にいるのが、名探偵コナンの安室透をキャラクター化したかぶりもの「あむぬい」をかぶった人。その独特の映像世界の受け止め方は、ドイツの人たちと日本人では異なるのでしょう。リリースの際には、日本では「映像がすごすぎて曲に集中できない」という評価がありました。

ドイツ人歌手のMVに突然のあむぬい(等身大)が登場して動揺する安室の女たち – Togetter

桑原先生の著書は曲とは関係なく、ナチスドイツの機関誌において、女性にどのようなメッセージが発せられていたかを通じて、当時の女性の社会的地位などを明らかにした研究書です。

1932年から敗戦直前まで発行されたナチスの機関誌「女性展望」は合計282号を数え、最盛期には140万部を記録した。それは、ナチ女性団が編集・発行した女性向けプロパガンダ雑誌として、社会的・文化的領域で「理想的な」女性像を伝達する有力メディアのひとつだった。

誌面では、ヒトラーの指導者像を形作り、敵と味方のイメージを色濃く描き分け、女性を戦時奉仕活動へと動員するための表象を次々に打ち出していった。一方では、性別役割分業と良妻賢母思想を宣伝し、戦時下の窮乏生活を乗り切るための調理方法や物資の倹約法、娯楽を提供する連載小説などを掲載した。

さらに、ナチ女性団と、権力掌握後にナチ化を受け入れたドイツ女性事業団の活動記事からは、彼女たちが母性主義を逆手に取って、家庭に収まることなく女性の社会的地位向上を目指して大規模な社会活動を展開したことを明らかにして、これまでのナチ女性のイメージを覆す。

本書は、官製女性雑誌のために戦後ドイツの記憶から消し去られた「女性展望」を掘り起こし、ナチス支配下に生きた女性たちの全体像を解明する初の研究成果である。300点の貴重な図版を所収する。

敬和キャンパスレポは、毎週金曜日、エフエムしばたで放送しています。

https://note.com/keiwacampus

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