昨日から開催されているイベント「古町どんどん」の企画で、BS-TBS「おんな酒場放浪記」に出演中の写真家、古賀絵里子さんのトークショーが行われた。聞き手は劇団NAMARAの江口歩さん。
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会場につくと、古町どんどんに出展している店は、ほぼ店じまい状態で、天気も悪く人通りは少なくなっていたのだが、7番町の屋外ステージ(雨のため当日変更)の前に、100人ほどの人が集まっていた。開始前からステージには江口さんが立って、いろいろ話しながら空気を和ませていた。開始後も、江口さんが上手に話題をふり、会場との一体感を作っていた。
古賀さんにはおそらく、新潟(とくに新潟市内)のイメージはほとんどなかったと思うが、取材で燕三条や佐渡に来たことはあり、佐渡でのテレビ取材がきっかけとなって、酒場放浪記への出演依頼が来たという。佐渡でのテレビ取材は、写真家として佐渡を訪ねて撮影するという企画で、取材先の佐渡は「好きな酒蔵を訪ねる」のが目的で自分で選んだそうだ(このイベントは、石本酒造がスポンサーで、来場者に越乃寒梅が一杯づつ配られていたこともあり、どこの酒蔵がお気に入りかは、明らかにされなかった)。
江口さんはこちらの動画で予習していたようで、ベンチの端にすわって倒れそうになったり、「ケダモノの香りがする」とコメントしたり、という、古賀さんの「天然」エピソードを紹介し、上手に彼女の個性に迫っていた。
個人的に印象深かったのは以下の二点。
– 番組最後の「締めコメ」、締めのコメントで、何をしゃべったか覚えていないことがある。
吉田類さんの「酒場放浪記」同様に、「おんな酒場放浪記」でも、お店から出てきて最後に「ほろよい」でお店についてコメントするというのが、この番組の一つの見せ場。この日も「実は飲んでいるのは水なのでは?」という質問が出ていたが、ちゃんとお酒を飲んでいるそう。吉田さんや古賀さんは、やや呂律が回らなくなっていることもあり、「最後のコメントを考えながら、楽しく飲む」というのは、なかなか大変だろうなと思ったのだが、実は「何をしゃべったか覚えてないことがある」んだとか。オンエアを見て、「え、こんなことを話してたんだ!」ということになるのだろう。
– 番組の台本はない。前日「ここいってください」と言われる。
佐渡で取材した番組を見て、出演依頼があったという話の中で、江口さんからは「初めて入っていくお店にもすっと馴染んで入っていけると思われたのだろう」とコメント。実際に番組の台本はない(ほとんどない、だったかもしれない)そうで、前日に「この店に行ってください。」といって突撃するのだそう。都内の人に聞くと、「今日は◯時から酒場放浪記の取材が入るんで」といったやりとりを、店の人とすることがあるらしいので、ということは、本人にも事前に情報を入れておくこともできるだろうし、事前打ち合わせも可能なんだろうけど、あえてそれはやらないで、「天然」の古賀さんに突撃させているのかもしれない。
全体的には、江口さんの話芸で、古賀さんの個性がうまく引き出された面白いトークであった。最後の質問が異性の好みを聞く方向に集中したのは、まあ「お約束」だろうけど、うーん、というところ。もう少し日本酒に関する方向に展開したほうが、世代性別を超えた話題になったような気もする。
よくわからなかったのは、撮影・録音が禁止だった件。酔っぱらって近づいてくる人がいないようにしておくのは大事だと思うけど、そこまで厳格にやる必要があったのだろうか(フラッシュ禁止ぐらいでよかったような)。アーケード街の公開ステージでやるわけだから、実際規制することは困難で、たびたび江口さんが「大人の事情で撮影は、、」と言わされていたのは気の毒であった。しかも「事務所のほうから、、、」と江口さんが言ったら、「私事務所はないです。」と古賀さんがしゃべってしまい、じゃあ「誰の都合なんだ?」という状況になっていた。実は本人からNGが出ていたのかもしれないけれど、主催側が過剰に気を使ったのでは?と思ってしまった。うがりすぎだろうか。
それともう一つ、古町どんどんが「店じまい」になっていたのも謎。トークイベントが終わってから、それぞれ個店に飲みに行くのでもよいし、その前に買い物を済ませてからというのでもかまわないけれど、「客寄せ」として期待していたのであれば、時間帯の設定には疑問が残る(ゲストの都合かもしれないが)。そもそも古町どんどんは、静まってしまった商店街に対する「カンフル剤」で、すっかり古町から離れてしまった人々に、「結構楽しいところだな」と思わせるのが目的のはず。だとすれば、昨日久々に古町に集まった古賀ファンは、古賀さんを見て満足したと思うけれど、「魔法」が解けて静かになった(しかも雨が降ってどんよりした)古町を歩いて、帰ることになったわけで、「寂れた古町」という印象を払しょくすることにはつながらなかったのではないか。
少し苦言っぽいことを書いてしまったが、古町らしい「文化的」なよいイベントであったと思う。ソーシャルメディアとの口コミとのうまく連携することなど、いくつか課題は残るけれども、これからもよい企画を続けていって欲しいと思った。