日本テレビが、2020年10月クールから、番組のインターネット同時再送信を始めると発表しました。TVerを利用するようです。
日本テレビが同時配信開始を表明 10月クールから夜7時以降(共同通信) – Yahoo!ニュース
時間帯は午後7~11時の「プライムタイム」を中心に準備を進めているという。同日の定例記者会見で小杉善信社長が明らかにした。
小杉社長らによると、同時配信は10月クールを試行期間として実施。番組の見逃し配信などを見られるウェブサイトやアプリ「TVer(ティーバー)」での配信を検討しているという。
2020年4月にはNHKが同時再送信も行う「NHKプラス」をスタートさせていて、NHKスペシャルやドラマなどの見逃しに対応するだけでなく、リアルタイム視聴もネットでできるようになりました。実際のところ、自分の場合には、リアルタイム視聴をする機会はあまりなくて、どちらかというと見逃し視聴に利用しています。日本テレビの場合にも、ドラマなどの人気コンテンツの多くは、すでにTVerで見逃したものを見ている人が多いでしょうから、それではカバーできないところ、たとえば、帰宅途中でリアルタイムに番組を視聴したいという需要に応えるものとなりそうです(地方で車通勤しているとあまり出番はなさそう)。
とはいえ、NNN系列の地方局にとっては脅威でしょう。東京からの番組をネットしている時間は、「TVerでも視聴できる」という状態になります。もちろん、テレビのリアルタイム視聴はすでに、YouTubeなどのネット動画、録画済みの番組視聴などと競合しているわけで、今更大きく状況は変わらないかもしれません。ただ、これまでキー局の番組を「スルー」で流していた地方局の存在が揺らぐ状況ではあります。
地方局も独自のコンテンツを生み出す努力はしていると思いますが、莫大な制作費とタレント出演者で固めたキー局の番組と、同じ土俵で戦うのはほとんど不可能です。YouTubeにチャンネルを設けている地方局もあり、面白いコンテンツもありますが、なかなか知名度はあがっていないように見えます。それぞれの地域に根ざしたコンテンツで独自色を出して、そこにスポンサーがついて、というモデルが理想ですが、そのシナリオは簡単には描けないかもしれません。
Abemaが着実に視聴者数を伸ばしている記事が5月に出ていました。
アベマTV、巣ごもりで視聴者1400万人突破の訳 | コロナショック、企業の針路 | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準
新型コロナウイルスの感染拡大を受けた外出自粛により、「巣ごもり需要」に注目が集まっている。特に多くの動画配信サービスがめざましい成長を遂げている。
アプリ分析ツール「App Ape」によれば、トップを独走するのが「Amazonプライム・ビデオ」。そしてその後を追うのが、サイバーエージェントとテレビ朝日が合弁で展開するインターネットテレビ局の「ABEMA(アベマ)」(4月にAbemaTVから改称)だ。
ニュースやドラマ、格闘技、将棋、麻雀など、約20のチャンネルを抱え、テレビのようにつねに番組を流し続けている点で、他の動画配信サービスとは異なる。サイバーエージェントの藤田晋社長は2016年4月の開局当初、広告で収益化できる週間アクティブユーザー数の目標として1000万人を掲げ、2019年に初めてその大台を突破した。2020年3月以降も外出自粛が追い風となり、4月初めには過去最高の1490万人を超え、その後も伸び続けている(最新の最高値は未公表)。
おそらくサイバーエージェント側には、テレビのチャンネルを再送信するという発想はないでしょうが、当然さまざまな視聴データから臨機応変に番組編成を変化させているでしょう。日テレの中にもこうした考え方が生まれて、他局に先がけて変化が生まれていく可能性があるかもしれません。