1月18日と25日、NHK総合で放映される「足尾から来た女」。田中正造の紹介で福田英子宅に派遣された女性を軸にしたドラマだ。
明治末。栃木県谷中村は足尾銅山の鉱毒で田畑を汚染された。田中正造の闘いもむなしく、村は16戸にまで激減。国は住人に村を捨てるように命じ、残った家の強制執行に踏み切った。
この谷中村の娘が田中正造の仲介で社会運動家・福田英子宅に家政婦として派遣された史実をもとに、一人の女性が見知らぬ東京の地で石川三四郎や幸徳秋水ら社会主義者たち、さらに石川啄木や与謝野晶子など多彩な人物と交わる中で成長する姿を描く。
故郷を失う苦しみを味わいつつ人間としての尊厳を守り、たくましく生き抜くヒロインを、NHKドラマでは連続テレビ小説「カーネーション」以来の単独主演となる尾野真千子が演じる。
尾野真千子さんは、「カーネーション」以来の「単独主演」ということだが、先日放映された「夫婦善哉」でも、森山未來さんと二人で主演している。文字が読めない貧しい農村生まれの女性が、とまどいながら東京で暮らすという設定を、見事に演じている。
柄本明さん演じる田中正造は、なんだか本物に見えてくるようであった。
さて、強制的に廃村に追い込まれる谷中村の人々はどうなったのか。ちょっと検索してみたところ、北海道常呂郡サロマベツ原野に集団移住したとある。稚内の近く「サロベツ原野」があるので、似ているなと思ったが、そこではなく、現在の北海道佐呂間町であった(その後、妻がいろいろ調べてみていたようで、「サロベツ」も「サロマベツ」も、もともとはアイヌ語の同じ言葉が語源のようだと教えてくれた)。
佐呂間町に「栃木」という集落があり、ここが谷中村の人々が集団で移住してきて、苦労しながら開墾した土地だそうだ。札幌の開拓記念館だっただろうか、道北開拓の歴史に関する展示を見たのを思い出した。
佐呂間町のウェブページに「もう一つの栃木」という、集団移住者の歴史に関するページがある。開拓の歴史がかなり詳しく記録されている。
大切なサロマの歴史|佐呂間町の紹介|佐呂間町
2013年に、読売新聞が栃木地区を取材した記事も残っていた。住民が「栃木」という地名にこだわりをもって、祖先が苦労して切り開いた土地を守っていこうとしていると報じている。
102年前 北の大地へ入植 : 伝える 北海道の栃木 : 企画・連載 : 栃木 : 地域 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
栃木の谷中村の痕跡については、産経に記事があった。
【ロケ地巡りの旅】ドラマ「足尾から来た女」渡良瀬遊水地 昔、ここに村があった 水塚や墓石…ヨシ原の中にわずかな痕跡+(1/2ページ) – MSN産経ニュース