1975年3月、父と弟と3人で留守番をすることとなり、生後間もない弟をあやすため、創作歌を延々と歌っているワタクシの音声が入ったカセットを、実家で見つけた。
残念ながらオリジナルのこのカセットは切れてしまっていたが、ダビングしたカセットは残っていて、データは無事。父が分解して、オリジナルのカセットもつなげたが、まあ音質がそう変わるわけでもない。ただ、このカセットは何度も家族できいていたので、この筐体自体に意味があると言えなくもない。
歌詞には、「白鳥」「悪魔」「アルバイト」「ヨット」など、4歳児とは思えないワードがいろいろ入っている。当時住んでいた家の近くに白鳥が飛来していて、川で高校ボート部が練習していて(とっさにボートが出てこないので、ヨットになった)、悪魔の話は教会で聞いたのだろう。「アルバイト」だけがよくわからない。当時の記憶はほとんどないはずなのだが、このテープを聞きながら、当時の状況についても、家族で何度も話していたので、なんとなく記憶が残っているような気持ちになってはいる。
子どもが即興で歌うという面白さのほかに、もう一つこのテープには意味があって、祖母の肉声が記録されている。母方の祖母が、母とともに帰宅し、そこで父と息子の子守は終わるのだけど、終わる前にしゃべっているところが少し録音されていた。10年ほどのちに、祖母は他界するのだが、母の姉弟からすれば、このテープは別の意味で重要な記録となった。
このカセットテープは、別の音源が入っていたテープを上書きして録音したようで、「マルタ島の砂」「イエスタデイ」という曲名が書いてある。「マルタ島の砂」というのは、初めてきいたが、ハーブ・アルパートの70年代のヒット曲のようだ。
自分が溜め込んでいたカセットテープは、引っ越しを繰り返すうちに捨ててしまって、ほとんど残っていないのだが、家族の記録として実家に残っているカセットテープは、そろそろデジタル化すべきかと思い、少し調べてみたが、実は3000円ぐらいの簡易な機器が売られていることがわかった。3000円程度で、USBメモリにデータ化した音源を吐き出せるのであれば、いいのではないか。