先週開催された、表題の長い名前の事業の推進委員会に出席してきた。新発田市の中心市街地にある「文化遺産」を調査し、観光資源として活かそうという事業で、学術機関や商工会議所といった機関の代表のほか、ボランティアガイドやその他の地域の観光に関連する団体から委員が出席し、「推進委員会」が開催された。自分は敬和学園大学からの委員として出席した。
今回の会議では、24−26年度の事業計画やこれまでの作業状況が説明された。対象地域を中心市街地とし、対象となる建物を、寺、庭園のほか、地区50年以上の建造物として調査を行い、これに関するマップ作成、観光ボランティア育成、シンポジウム開催などを行うという計画だ。調査はすでにスタートしており、東京芸大のヨコミゾマコト研究室が行った一次調査の結果が発表された。築50年以上の建造物として、10年前に作成されたデータに基づき、600件以上の建物を調査した結果、無くなった建物が200件ほどあった。
担当課の構想としては、これらの情報を整理してマップにするというが主要な事業の内容であるように思われたので、自分からは、ウェブ、スマホ、ARなどを活用することをあらかじめ想定しておくことと、あるいは、第三者の投稿情報とどのように組み合わせるかも考えておくべきという意見を申し上げた。特に「新発田アーカイブス」のプロジェクトが進行すれば、「無くなった建物」の痕跡を写真から引き出すことも可能であり、こうしたリソースをいかに利用していくかを考える発想が必要だと思う。担当課の皆さんにはなんとなくわかっていただけたような気がするが、年配の地元の委員の皆さんにはたぶんあまり通じてなかったような気がする。今後業者を選定してマップを作成するということなので、このマップを今後拡充したり、ウェブでも展開するということに関して、きちんとプランを持った仕事がなされているかどうかは、よく見極めたいと思う。
一次調査の結果から見ると、古い建物が結構あるのはわかったが、ただ古いだけで、多くの人々が訪ねたい場所になるとは限らない。また訪ねていきたいと人々が考える建物や場所であったとしても、所有者がそれを歓迎するとは限らないという問題もある。ともあれ、どんな建物があるかという話だけではなく、その建物・場所にまつわるストーリーを調べてみて、訪ねてみたくなるストーリーがあるのかないのか、みきわめる必要はあるだろう(もちろん、地元の人が「そんなの別に…」と思っている事柄の中に、意外な面白さが転がっている可能性はあるので、あまり先入観を持たないことも大事かもしれない)。「ストーリー」をよく調べて「コンテンツ」にしないと、建物を調査しただけではあまりおもしろいものにはならないという意見も申し上げた。「ストーリー」の重要性については、年配の地元の委員の皆さんとも、意見が一致したような気がする。