ソーシャルブックマークサービスのLivedoor Clipがサービス終了を発表した。
by André Banyai.
「livedoor クリップ」のサービス提供終了のお知らせ : livedoor クリップ開発日誌
2006年6月より提供してまいりましたlivedoor クリップですが、この度、2012年10月10日12時をもちましてサービスを終了させていただくこととなりました。
また、サービス終了に先立ちまして、新規登録およびクリップ追加は2012年9月10日に停止いたします。
エクスポートツールが提供され、Naverまとめやはてなブックマークへの移行ができるとのこと。ただファイルは1MBごとに分割されるそう。
ウェブサイトの情報を共有する手段としても、数年前からTwitterやFacebookの存在感が高まっており、Livedoor Clipなどのソーシャルブックマークサービスの存在感は、相対的に低下していた。
授業でソーシャルブックマークについて扱ってみて感じるのは、ブックマーク情報を共有することそれ自体を目的にしたソーシャルブックマークを、使いたいと感じる人はそんなに多くないということ。「こんなの見つけたよ。」と「あとで読むぞ。」という2つの動機のうち、前者の気持ち、つまり他者に積極的にシェアしたい気持ちがないと、サービスを使おうということにはならない。実際にはこの「シェア」の精神は、TwitterのRTやFacebookのシェア機能に生かされているのだけれど、こちらはウェブサイトの情報をシェアしたい人もいれば、単純に日常をつぶやきたい人もいるので、かなり敷居が低いのだろう。またFacebookの場合にはとくに、個人の信頼に基づいて情報が共有されていく傾向があり(幾重にもシェアが連鎖するとちょっと変わるけれど)、ユーザの顔が見えにくいソーシャルブックマークサービスとは、この点では対極にある。
それでも自分の発見した情報を蓄積しておく場所として、ソーシャルブックマークサービスには便利な面はあるのだけれど、個人的なアーカイブとしてはEvernoteがかなり便利に使えるようになってきている。まとめ機能に関しても、Naverまとめなどがもう少し自由度の高いサービスとして出てきており、少しアプローチは違うものの、競合する部分はある。こうしたサービスが広がる中で、ソーシャルブックマークは良くいえば「玄人好み」、悪く言えば「とっつきにくい」サービスにとどまっている。しかもこの「玄人」たちは、Livedoor Clipにはほとんどいなかった(多くははてなブックマークにいるだろう)し、この人たちの需要を満たすだけならば、二番手以降のサービスが存立する基盤は、もうすでに失われていたといってよいだろう。
日本のソーシャルブックマークサービスで、最後まで残るのはおそらくはてなブックマーク、英語圏のサービスとしてはDeliciousということになりそうだが、この2つもまた、かつての輝きを取り戻すのは難しいかもしれない。これまでソーシャルブックマークサービスが果たしてきた機能は、別のサービスが引き取ることになるのだろう。