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Chromecastで「テレビ」が変わり、「動画」も変わる

2014年5月28日、GoogleのChromecastが日本でも発売されました。

Chromecast

キャッチフレーズは「オンライン動画を音楽を、テレビで簡単に楽しもう。」。これまでもYoutube動画を検索してテレビで再生することはできたし、テレビにPCを接続することだって出来たわけで、Chromecastで何か革命的なことが起きたわけではないです。でも「簡単に」なったのはまちがいない。値段も手頃なので、さっそく私も1台購入して試してみました。

Chromecast端末をテレビのHDMI端子に挿して、初期設定。iPhoneにChromecastのアプリを入れて、端末をWi-fiに接続。特にトラブルもなく、あっという間に設定が終わりました。Mac Book Airでは、Google ChromeにChromecast拡張をインストールして、こちらもすぐに設定が終わりました。この程度の設定でいいのであれば、自宅だけでなく、いろいろなところに持っていって、出張動画上映会なども簡単にできそうです。

とりあえず試したのはYoutube。再生画面にChromecastに送るボタンが出てくるので、それを押すとテレビに動画が飛ばされて再生されます。動画が一旦テレビ側で再生され始めたら、iPhoneでもMacでも、別の作業をすることが可能です。動画以外に何ができるのかは、まだ試していませんが、Mac Book AirのChromeブラウザでは、ブラウザの画面をテレビに表示させることも出来ました。Slideshareを使えば、スライド表示にも使えます。ケーブルの抜き差しなどは一切不要で、スマートフォン、タブレット、PCなどで見つけた動画やコンテンツを、すばやくテレビに出力し、みんなで共有できます。

ちょっとだけいじってみて感じたのは、これはテレビの見方が変わるな、ということ。これまでも、テレビの視聴時間を、ネット動画が徐々に奪ってきました。若者の間では、テレビは見ないけど、ネット動画は見ているという層がどんどん拡大、学生たちと話していると、テレビ番組の話題はほとんど共有されなくなってきているように感じます。しかし中高年の場合には、テレビ番組の存在感はあまり変わっていません。テレビニュースを見るのをやめて、ニュース動画を見よう、という人はあまりいないでしょう。「ダラ見コンテンツ」としてのニュースを、ネットを介してテレビで見るというのは、やはりちょっと面倒でした。Chromecastは一つのきっかけだと思いますが、このバランスは今後大きく変わっていくかもしれません。ネット動画がテレビ画面にいよいよ侵食してくる一方、テレビ番組のコンテンツも、ネット側に今まで以上に浸透し始めるでしょう。ネットに浸透していくことができるコンテンツはどんなものなのか、有料配信が軌道に乗るならば、ネット配信に適した番組にテレビ側がシフトしていく可能性も高まりそうです。

ネット動画の側にも変化がありそうです。まず一つには画質。高画質の動画が増えてきたとはいえ、大画面で見るには荒い動画も、まだまだ多いです。これまでは「まあネット動画だしね」といっていた低い期待値が変化し、要求水準が上がってくることが予想されます。もう一つは長さ。これまでは長い動画は再生されないというのが定評で、人気動画番組の多くも、非常に短くまとめられたものでした。Ustreamなどで配信した番組をアーカイブした長いコンテンツは、なかなか再生数が伸びませんでした。しかしChromecastが簡単に「ダラ見」できる仕組みを提供したことで、これも変わってくる可能性がありそうです。テレビを「ダラ見」するのではなく、長めの動画を「ダラ見」することも、徐々に広まっていくかもしれません。

実はAmazonに注文したChromecastを受け取り、テレビに接続しようとしたところで、我が家のテレビにはHDMI端子が一つしかないことがわかり、ビックカメラ新潟店に分配器を買いに行ってきました。ビックカメラはChromecastの代理店の一つですが、Chromecastの売り場は、正直盛り上がっているようには見えませんでした。Chromecastは非常に簡単な仕組みでは有りますが、何が起こるのか直感的にはわかりにくく、発売直後に通常のテレビ視聴者が飛びつくまでにはならないということのようです。しかし設定は簡単ですし、値段も手頃ですから、対応するコンテンツが増えてくれば、徐々に利用者も増えてくるのではないかという気がします。

(Yahoo!ニュース個人掲載記事を転載)

「まちあるき」から一歩進んで、コンテンツを生み出す「フォトウォーク」を始めよう

昨今ニュースでも、「まちあるき」という言葉を聞くことが増えました。今や全国各地で「まちあるき」の取り組みが生まれ、これに関するニュースを聞かない日はないといってもいいぐらいでしょう。今回はこの「まちあるき」と、私が取り組んでいる「フォトウォーク」の違いについて、書いてみたいと思います。

「まちあるき」は、「定番」となった観光資源でなくとも、さまざまな地域の資源を「磨き上げ」ていこうという文脈で、注目されているように感じます。まちの「お宝」を再発見する「まちあるき」を推進するため、ガイドブックも多数作成されています。私の勤務校敬和学園大学のある新潟県新発田市でも、「新発田市歩く旅のまちづくり推進協議会」が最近、市内の寺院を巡るためのガイドブック「巡る。」を作成し、ニュースになっていました。

新発田市が中心となってつくる「新発田市歩く旅のまちづくり推進協議会」は、市内の寺院14か所とその周辺を案内するガイドブック「巡る。」を発行した。寺院を回りながら町歩きの楽しさを知ってもらうのが狙い。大型連休中に同市を訪れた観光客らに好評で、担当者は「寺という切り口から、新発田の魅力を見つけてもらえれば」と話している。

新発田の寺巡る冊子 市街地活性化狙い発行 : 地域 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)
[http://www.city.shibata.niigata.jp/view.rbz?cd=14919 寺町等寺院専門ガイドブック「巡る。~御城下新発田寺巡り~」好評配布中です。 | 新発田市ホームページ]

新発田でいうならば、新発田城や月岡温泉はいわば「定番」なのですが、全国の「定番」同士の競争は激しく、個人客もどんどん来るようなブランド化や個性化が見られなければ、客足は伸びません。カスタマイズされた、ひとりひとりの「発見」をサポートするのが、こうした新しい切り口のガイドブックであり、これによる「まちあるき」観光ということになるのでしょう。また、一方で地域の人々に、「こんなの別に特徴なんてないし、、、。」と思っているものを再評価してもらい、「磨き上げ」につなげていくのが、地元の人達により「まちあるき」です。

これに関連して、私自身が2009年から新潟で続けている類似の活動が、フォトウォークです。フォトウォークは、同じように「まちあるき」をするのですが、参加者はみなカメラを持ち、風景や出会った人々、あるいは参加者同士を撮影します。

新潟フォトウォーク| Niigata Social Media Club / 新潟ソーシャルメディアクラブ

フォトウォークは、日本ではまだ認知されていない言葉ですが、英語版のWikipediaには「Photowalking」という項目があり、世界のフォトウォークのスケジュールをまとめているサイトも有ります。

Photowalking – Wikipedia, the free encyclopedia

Scott Kelby’s Annual | Worldwide Photo Walk

国内では、2008年ごろから関東圏でフォトウォークを開催しているグループ「テクテクパチリ!」がありますし、Google+の中に、関東圏でフォトウォークを行っているコミュニティができているようです。

テクテクパチリ!

私が企画に関わっている新潟フォトウォークは、すでに21回目。5月10日に南魚沼で開催しました。今回は南魚沼市観光協会さんに協力をいただいて、清酒八海山の八海醸造さんが運営する雪室のある「魚沼の里」、「まちあるき」でも最近注目されている塩沢地区の牧之通り、雪室を利用してワインを作っている越後ワイナリーを訪問、撮影を行いました。新潟県の場合、市街地以外をめぐって撮影をする場合、途中の移動を徒歩だけでなく、車を利用することになりがちで、今回もバスを使って移動する時間が長くなりました。

魚沼の里
牧之通りで集合写真
牧之通り
越後三山

フォトウォークの特徴は、写真コンテンツの共有と蓄積、それとコミュニティ形成です。「まちあるき」の場合には、個人であれば歩いて終わりですが、イベントの場合だと「ふりかえり」があります。フォトウォークはここからさらにもう一歩進んで、コンテンツの共有をしています。たとえば、今回の南魚沼でのフォトウォークでは、Flickrでのタグを「npw20140510」とし、Instagramでは「#npw20140510」としました。これは毎回の慣行なのですが、必ずやらなければならないというものではないですし、まして、誰かがみんな写真データを集めて一つの場所に集積するというものではありません。参加者が当日の打ち合わせにしたがい、それぞれがアップロードする際に、自主的につけたタグがつながり、その日の成果が自然に共有されるというものです。

ちなみに、5月10日のフォトウォークで撮影されたもののうち、Flickrで共有された写真。このようにいろいろなユーザの写真が、自然につながって見えるようになっています。

Flickr: “npw20140510”

Instagramで共有された写真。

#npw20140510 | listagram

Facebookでも共有されています。

#npw20140510

現在、写真共有の標準的なサービスが定まらないので、どのサービスで写真を共有するかを指定するのはなかなか難しいのですが、それでも毎回かなりの枚数が、それぞれのサービスで共有されます。参加者は、帰宅した後で、それぞれが撮った写真を見ながら「異なる撮り方」「異なる視点」を実感しますし、もちろん撮影テクニックも学びます。同じコースを歩いているのに視点が違えばこんなに違うのか、あるいは、この態勢で撮影していたのはこういうアングルをねらっていたのかなど、毎回学ぶことは多いです。

寝撮り

またこうしてゆるやかにタグでつながった成果は、ネット上に蓄積され、地域の写真データとなります。新潟のような地方では特に、農村部にカメラが入っていって撮影し、アップロードしている人が少ないので、将来に向かって貴重な資料が蓄積されていくのではないかと思います。

「まちあるき」の成果を個人の中に埋没させるのではなく、みんなで共有しようとはいうものの、成果物をまとめて発表するというのは大変です。その点フォトウォークは、成果をまとめる必要はさほどありません。オンライン上でアップロードされたものが自然につながって、蓄積されていきます(もちろん、いいまとめ役がいて成果物としてまとめていくと、もっといいとは思いますが)。私のように一向に腕の上がらないユーザも、プロはだしのカメラマンも、みんな同じ方法で写真を共有し、それらに対する「いいね」などの「ソーシャル」な評価で、秀作が浮かび上がってくる仕組みになっています。

さらにフォトウォークでは、コミュニティもスムーズに形成されます。もちろんフォトウォーク当日に、参加している皆さん同士でお話をするのはもちろんですが、その後もアップロードされた写真を通じてコミュニケーションが続き、また次のフォトウォークで再会するというサイクルができます。オンラインとオフラインを行き来した、「ソーシャルメディア」的なコミュニティが、スムーズに形成されていくと思います。

ソーシャルに蓄積されていく成果と、形成されていくコミュニティ。特に前者の仕組みが理解しにくいために、フォトウォークは、「カメラ好きのまちあるき」という評価にとどまりがちです。しかし本来「まちあるき」を推進している人たちが目指している要素は、フォトウォークにすべて含まれています。もちろん同じことは、映像撮影でもできると思います。重要なことは、コンテンツが共有され、自然に蓄積されていくという営みが、自然に実現されていくという点です。プロの作るコンテンツがものの見方を定めるのではなく、アマの視点の集積により、意外な視点があぶりだされます。これこそ、手詰まり感のある地方の人たちが、待っているコンテンツではないでしょうか。

(ひょっとすると、保守的なコミュニティでは、コンテンツが「自然に蓄積されていく」という、ハプニングを許容する性質を許容できないために、フォトウォークやこれに類するものが定着していかないのかもしれません)

「まちあるき」に取り組む地域の皆さんにも、ぜひ「フォトウォーク」を始めてみてほしいと思います。

(Yahoo!ニュース個人掲載記事を転載)

コンテンツプラットフォーム「note」は、課金できるスマートなサービスとして定着するか?

4月にスタートした新しいサービス「note」が、1ヶ月で順調に注目を集めているという記事が出ています。

ピースオブケイクが運営する個人向けのメディアプラットフォーム「note(ノート)」が、2014年4月のリリースから1か月で、2,000万ページビュー、100万ユニークユーザーを達成した。

ピースオブケイク「note」、リリースから1か月で2,000万PV/100万UU達成 (1/1):MarkeZine(マーケジン)

2,000万ページビュー、100万ユニークユーザーをどのように評価していいのかはよくわかりませんが、生まれたてのサービスとしては、破格の数字であるとは思います。私もアカウントだけ取って、そのままにしてあったのですが、いくつか記事を投稿してみました。

Shinya ICHINOHE (shinyai)|note

noteは、Twitterと同じタイミングでスタートし、英語圏で現在も一定の支持を得ているTumblrというサービスに似ているという印象です。
トーク、イメージ、テキスト、サウンド、ムービーというコンテンツを指定し、ドラッグアンドドロップなどのわかりやすいUIで簡単に投稿できるという仕掛けは、同様のシンプルさでブログに代わる存在として支持を集めている、Tumblrと非常に似ています。従来のブログの考え方と異なり、Twitterのようなフォローが可能で、個別のコンテンツに対して「スキ」をつけることができるという、Tumblrに似たSNSライクな仕掛けも導入されています。

ただし、コンテンツ課金を柔軟にできるというところが、Tumblrと大きく異なる点です。ピースオブケイクCEO 加藤貞顕さんは、インタビューで以下のように答えています。

加藤 noteは、個人向けのメディアプラットフォームです。見た目はちょっとTumblrに似ていて、トークノートはつぶやきに近い感じなんですが、5種類のコンテンツを簡単に投稿することができます。もちろんタダで見せる(公開する)ことができて、フォローでつながり、コメントもできて、「スキ」を付けることもできます。で、noteの特徴は、「ここからは課金されるというライン」を、コンテンツの好きな位置に引けるんです。たとえば、そのラインを一番下に引いたら、実際はすべての内容がタダで読めるから、もはや課金は“投げ銭”として使ってるということになります。

ASCII.jp:メディアプラットフォーム「note」の作り方(前編)

いまのところは、過去に書いた記事などのコンテンツを、有料コンテンツして販売してみて、模様眺めをしている人が多いようです。かつて苦労して書いたコンテンツに、今になってお金を払ってくれる方がいるというのも、たしかに励みになりますね。

「柔軟」なコンテンツ課金というのは2つの意味があります。一つは、上の引用にある通り、「ここから有料」というラインを自分で決められるということです。すべてタダで読めるけれども、「投げ銭」として課金システムを使うことも可能です。もう一つは、値段を日によって変えられるということです。たとえば、最初の10人までは無料で、10個スキがついたらそこからは有料といったことも可能です。じゃあ最初の10人までの誰かが、コピーして投稿してしまったらどうなるかとか、厳密に言えば課題もなくはないのですが、そこまでがっちり固めなくとも、コンテンツへの支持を示してもらうための仕掛けとして「課金」という仕掛けを入れていると考えれば、いいのではないかと思います。

もともとピースオブケイクは「Cakes」という月額課金制のウェブサイトを運営していて、こちらはプロのコンテンツを読み放題にするという仕組みですが、Noteはプロ以外も参加できて課金もできる仕掛け。Cakesはかっちり編集された雑誌からのアナロジーで、Noteは単行本のイメージのようですが、いずれにしても2つは関連したものとして捉えられているようです。

―― cakesを作ったときに、すでにnoteの構想はあったんですか?

加藤 こういう方向性は考えていたんですよ。cakesを全部オープン化するとnoteになるんです。最初はcakesからnoteへと近づけていくことがしたかったんですけれど、noteはnoteでやりだして、そのうちに融合するっていう感じです。

 noteは「買える」っていうことが非常に新しいので、最初はそれだけに絞ったほうが良いと思っています。その代わり、使い勝手はものすごく簡単にしてあって、テキストノート(ブログにあたるもの)なんかは、エディタで書いて、画像を挿れたりして、公開とするとそれで無料で公開されます。有料にするなら、ペイウォールを表示する場所を決めて、ここ以降は100円とか、極限まで簡単にしています。みんながみんな、そんなにコンピューターに強いわけじゃないし、僕自身ブログがそんなに使いやすいと思ったことがなかったので。

ASCII.jp:メディアプラットフォーム「note」の作り方(前編)

加藤さんは「オカンでも使えるようにしなければ」という考えで、noteはかなり簡単に作ってあるそうです。たしかに非常に簡単ですが、「オカンでも使える」かどうかは、これからの普及の仕方で検証されるところでしょう(それぞれの「オカン」のスキル次第でもありますね)。

noteの課金システムは、受け手と送り手が、それぞれ気持ちよく、スマートに有料化対応できるように設計されていると感じます。ネットのコンテンツ課金は、「ウェブは無料」という受け手側の勝手な要求とどうしても衝突してしまいます。その「感覚」なるものが間違いだという主張は当然ありえます。ただ送り手の側も実は、無料でもいいからぜひ見てほしいなあという気持ちと、でも食えるようにそれなりにお金はいただきたいという気持ちでせめぎあっていることが多いのではないでしょうか。しかし有料化すると急に感じ悪く見えてしまうというところがある。買い手の方では、物理的な存在ではない「データ」に対してお金を払うことに、抵抗を感じる人が多いでしょう。この岩盤を崩すのは大変です。この点、Noteは「投げ銭」にしてしまって、中身はすべて見えるけれども、よかったらお金を払ってくれという形にすることもできます。またなによりデザインがスタイリッシュで感覚的に操作できるというのも、売り手と買い手、双方の気持ちを溶かす効果がありそうです。

いしたにまさきさんは、noteでは、受け手と送り手、それぞれの立場でクリエイティブが刺激されると書いています。

noteをやっていると不思議な感覚にとらわれることがあって、それはECとは完全に異質のものです。
だれかがなにかを書くなどしてそれに値段をつけているのを見ている。これは、自分の目利きとしてのクリエイティブを刺激すると同時に書き手のクリエイティブへの刺激ともなっているわけです。

交換ノート17:noteは書き手と読み手のクリエイティブが交差する場所|いしたにまさき|note

テクノロジーを参入障壁と感じることなく、発信力のある人達が、受け手としても送り手としても刺激を受けて、すぐにその発信力を発揮するようになるという仕掛けが、うまく作用し、循環しているということでしょう。課金システムまで含めて、たしかに非常にわかりやすくできていると思います。

とはいえ、若者たちの会話に「note」という言葉が飛び交っているわけではないので、メディアプラットフォームとして成長していくには、これからいくつもの山を越えていく必要があるでしょう。有料コンテンツで実績を挙げていくのは大変です。

ブログ同様にコンテンツはバラして利用できますので、他のソーシャルメディア(今のところFacebookやTwitterと連携)ともつなげながら、少しずつ知名度をあげていくことになるのだと思います。ポイントになりそうなのは、一つは課金でしょうか。現在はクレジットカードのようですが、この裾野を広げつつ、しかしスマートに利用できるようにというのは、まずもって重要な点でしょう。それからもう一つはアプリ。インタビューでは、iOSだとアップルが課金した場合に30%抜いてしまうという話が出ていて、なかなか悩ましいところではありますが、少なくとも当面は、アプリがないとなかなかスマホからのアクセスは増えていかないように思います。

アスキーの記事、前編を読みきったところでプロフィールを見たら、加藤さんは新潟出身だとプロフィールに書いてありました。近くに新潟に来ていただいて、お話をうかがう機会を作りたいと、個人的には思っています。

(Yahoo!ニュース個人掲載記事を転載)

新潟観光の「眠れる獅子」、佐渡は変われるか?:佐渡市が「観光」「広報」の戦略官を採用

4月から佐渡市が採用した、「観光」と「広報」の戦略官について、朝日新聞がインタビューを行っています。
この件は一度別のところでも書いているのですが、インタビューが出たので、あらためてYahoo!個人にも書いてみることにします。

新潟ソーシャル時評:湯沢の南雲純子さんが佐渡の観光戦略官に | ICHINOHE Blog

佐渡市が4月、新たな非常勤特別職「戦略官」を設けた。全国的に知名度の高い観光地でありながら、来客は落ち込むばかり。島のPRも上手とは言い難い。市は民間で10年以上の職歴を持つ女性2人を戦略官に任命し、佐渡の振興に期待をかける。

新潟)佐渡市戦略官登場 島外女性2人が描く佐渡再興:朝日新聞デジタル

新潟は観光地として大きな可能性を秘めながら、地味さをなかなか払拭できていないということは、以前も書きました。

観光地としての新潟は「地味さ」を解消できるか(一戸信哉) – 個人 – Yahoo!ニュース

新潟県内はみな、似たような状況にあるのですが、その中でも特に、大きな潜在的可能性を秘めつつも、観光客の落ち込みに苦しんでいる「眠れる獅子」として、佐渡を挙げることができます。世界遺産をめざす佐渡金銀山など鉱山遺跡をはじめ、自然も文化も豊かな場所なのですが、残念ながら新潟県内での認知度もさほど高くなく(修学旅行で金山の蝋人形を見て、それ以外を知らない人も多いようです)、県外からのアクセスも良いとは言いがたいです。団体旅行中心の集客からうまく脱却できなかったのが、落ち込みの原因と指摘する声も聞きます。記事の中でも、「佐渡島の観光客は1991年の121万人をピークに2011年には53万人に減っている」としています。

そこに報酬1日5万円×月8日の特別職を採用して、テコ入れをしようというのが、今回の佐渡市の試みです。実際、募集の段階で、私の周りでも、ソーシャルメディアを介して話題になりました。記事を見ると、佐渡の中でも賛否両論がある中、最終的に甲斐市長が決断したということのようです。

新たな特別職導入には、市議会から「月8日間ではなく常勤が良いのではないか」「報酬1日5万円の費用対効果はどうか」といった疑義もあった。だが、甲斐市長は戦略官着任の記者会見で「(導入は)私が決めた。佐渡には素晴らしいものがあるのに戦略がない。2人には大変期待している」と話した。

新潟)佐渡市戦略官登場 島外女性2人が描く佐渡再興:朝日新聞デジタル

外から戦略官を採用するということですから、地元には「お手並み拝見」という空気もあることでしょう。実は、発表直前の3月末に知ったのですが、観光戦略官は、越後湯沢でご縁のあった南雲純子さんでした。新潟県湯沢町を拠点に、リクルートで湯沢観光の仕事をされていたのですが、私が大会委員長として関わっている[http://www.anisec.jp/yuzawa/ 情報セキュリティ・ワークショップ in 越後湯沢 ]の中で、地元との交流イベントの企画を、数年間一緒にやらせていただきました。

彼女の視点も、個人向けへのシフトという点に注がれています。

――佐渡観光の弱点は

 素晴らしいものがありすぎて情報が整理できていない。個人旅行のプランがつくりづらく、交通の便がいい定番コースを選びがちだ。一般的に観光施設に行く客は「1度でいい」となるので、趣味や興味を軸にしてリピーターを増やす。

 季節変動も大きい。オフシーズンを短くし、ピークとオフの間の「ショルダー期」にも力を入れる。佐渡なら6、7、9、10月がポイントだ。

――なぜ佐渡は自ら弱点を克服できなかったのか

 旅行会社がパッケージを組んで団体客を送り込んできた。船賃からも、その方が安い。だから個人客の対応が遅れた。市民も観光事業者がやればいい、と思われていたのではないか。

――何から着手するか

 ワークショップを開き、観光素材の棚卸し。それをエリアや興味別などに整理。そしてターゲットを想定する。仕事ばかりで会話のない東京在住の父と小学5年息子と、仕事に疲れた新潟市の30代独身女性ではおすすめルートは違う。トイレ整備も必要。佐渡は悩みや不安を抱えている色々な人を楽しませる力がある。観光素材を磨きあげたい。

新潟)佐渡市戦略官登場 島外女性2人が描く佐渡再興:朝日新聞デジタル

すでに南雲さんは、 佐渡旅(sadotabi)というブログをスタートさせていて、佐渡の知られざるおもしろスポットの紹介記事や、知っている場所だけど見る目が変わる紹介記事を、1日1本のペースで書かれています。彼女のいう「磨きあげ」の一環でしょう。「トイレ整備」の話が出てきますが、ブログを作って広報するのは彼女が孤軍奮闘すればできるのですが、観光に必要なインフラ整備には、関係部署の協力が不可欠。市長肝いりの戦略官とはいっても、実際どこまで後ろ盾できるのか。新潟大学の田村先生が「採用側の行政は戦略官の良さを引き出し、受け入れる態勢があるか。」という指摘をしています。試されるのは、戦略官本人の力だけではなく、地元の覚悟ということになるでしょう。

ブログでの情報発信は、すでに興味を持っている人が、さらに深堀りしようとしてたどり着く場所です。この点は、多くの人々の生活空間になっている都会とは大きく異なり、いくらいい記事を書いていても、全く佐渡に興味のない人は、なかなかこのページにたどり着くことはないのでしょう。

その意味では、広報戦略官の田中雅子さんの働きも合わせて、佐渡そのものへの関心をどのように高めるかも、大きな課題になると思います。

私も一昨年の夏、ゼミの学生たちとともに、1泊2日で佐渡を一周しました。一周200キロ余り、実際にはあちこち寄ったのでもう少し距離は走っているのですが、佐渡の広さを実感する旅でした。学生たちがゼミ合宿のタイトル(?)を「のへさど」(ゼミ名である私の名前をもじった)として、ダイジェスト動画を作成してくれました。夏の佐渡の雰囲気を感じてもらえるかと思います(「ダイジェスト版」を作ったところで満足してしまい、完成版は公開されていません)。

2日目の午後になって、一部の学生が「吉野家食べたいよね」と言い出しました。自然豊かな佐渡にも、ファーストフードやチェーン店のようなものも一部あったと思いますが、なにせ広いですから、場所によっては簡単に行ける場所にあるわけではないのです。ファーストフードに飼い慣らされてしまった学生の様子に半ば呆れつつも、一方でこうした均一化された食習慣に対応できないのは、離島にとっては大きなハンデなのだろうと感じました。その一方で、均一化された食習慣に慣らされた地域に暮らしている立場からすれば、そうではない佐渡には、大きな魅力があるようにも見えます。

このギャップをどのようにとらえて、それを埋めながら、観光を含めて、「眠れる獅子」佐渡の魅力を発信していくのか。二人の戦略官は定期的に島外から通って仕事をするそうですが、「よそもの」として仕事に、今後も期待して見ていきたいと思います。

(Yahoo!ニュース個人掲載記事を転載)

4/20新発田市内で「大学生の撮った新発田」映像上映会:スワンレイクビールを飲みながら新発田をかたる

4月20日日曜日の午後、新発田市大栄町の「ギャラリー 3+4」で、敬和学園大学の学生制作映像上映会をやらせてもらうことになった。

大学生が撮った新発田ー敬和学園大学学生制作映像上映会 in 3+4

開催日時:2014年4月20日(日) 13:00ー
会場:ギャラリー3+4(新発田市大栄町1-6-13)

平久呉服店の向かい側、Google Street Viewでは、「三和商会」の看板が出ている。

このエリアにある「白勢長屋」という歴史ある長屋で、同日開催される「つっとよってけ白勢長屋 2014年春の市」と連動しての開催となる。「つっとよってけ」にも一戸ゼミの学生たちがボランティアスタッフとして参加する予定。

つっとよってけ白勢長屋

アサテラ: つっとよってけ白勢長屋 2014年春の市

つっとよってけ白勢長屋開催! | しばたココタビ ブログ

白勢長屋自体、2月の現代メディア論で取材させてもらった場所で、新発田の中心街再興に向けたシンボルのような場所。かろうじて残っている長屋を改造して、新しいプロジェクトが動き出そうとしている。「ギャラリー 3+4」は寺田デザイン事務所のオフィスだが、イベントスペースとしても利用されているところ。この場所も以前からある建物を活用している。2月の閥のイベントの際には、「Keiwa Lunch」の出張配信もやらせていただいた。

今回は、集中講義「現代メディア論」で制作された映像の中から6作品を選んで上映する。新作としては、白勢長屋を含む新発田の「下町」の現状を取材したものと、寺町のお寺を巡って「修行」するものを上映する。また、元Keiwa Lunch MCのまるりさんが、日本酒に初挑戦する「金升酒造の日本酒」なども上映予定。

または当日は、新潟市古町のロックサン島田さんにお願いして、クラフトビールの樽生販売を準備している。新発田の飲食店情報にはあまり詳しくないが、クラフトビールを樽で出すというのは、おそらく貴重な機会になるのではないか。ビールの銘柄は、やはり近隣の阿賀野市から「スワンレイクビール」となる予定。ビールを片手に学生たちの映像を見て、「新発田の今」について、楽しく語り合いたい。

アンバーエール

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瓢湖屋敷の杜ブルワリー

当日の司会は、Keiwa Lunch MCからしばたっ子の小池まどかさん、それと私一戸の2人で行う予定。皆さんどうぞおでかけください。

敬和学園大学の教職課程は、「教員採用×新潟」を目指す学生の堅実な選択肢になるか

敬和学園大学カレッジレポート78号が発行された。表紙はまるりさんが卒業式で答辞を読むシーン。

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巻頭特集では、教職課程の座談会が掲載されている。敬和には、英語と社会(地歴、公民)の教職課程が設置されている。
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自分の担当する科目は教職必修になっているものの、上級学年になってからの関わりは薄い(いや、「デジタル教科書」時代が近づく今、非常に大事だと個人的には思っているのだが)。というのも、教職課程から路線変更した学生がゼミに来ることはあるのだが、教員免許取得までがんばっている学生は、うちのゼミに来ることはほとんどないからだ(別に教職志望者を門前払いしているわけではない)。

ともあれ、教職課程でがんばっている学生たちは、着実に実績を積み上げている。昨年度は公立学校で3名、私立に1名が現役で合格。大規模校に比べるといかにも人数は少ない。しかし少人数の私立大学としては、非常に高い確率で狭き門を突破してくれたということになる。記事を見ると、これまでにも45人が採用になっているそうだ。

教員採用は、教育学部の実績がよいのは当然だし、より一般的にも、地元国公立で、過去にもたくさんの採用者が出ているところが、採用に近いと判断されがちだ。そういう中では、敬和の採用実績はささやかなものに見えるだろう(実際には、各地域の公立学校の倍率や最終合格者数を見れば、そんなにささやかなわけではない)。しかし、新潟県の私立大学として、現在の受験上のポジションに鑑みるならば、入学後学生たちがいかに努力しているか、また、教職員がそれをいかに指導し支えているかが、想像してもらえるのではないかと思う。「教員採用×新潟」を目指す受験生にとって、敬和は堅実な選択肢だといっていいぐらい、今春の卒業生たちはがんばってくれた。

「受験エリート」とはいえなくとも、大学で自らの実力を伸ばし、生徒たちの心に寄りそえる、人間味あふれる教員になってほしい。指導にあたっている教職課程担当の同僚は、おそらくそのような気持ちで、指導や環境づくりに取り組んでいるはず。その努力に敬意を表する意味も含めて、あまり貢献できていない教員として、手前味噌の記事を書いてみた。皆さんが実際にどのように感じられるかは、近くウェブでも公開されるカレッジレポート78号で確認していただけたらと思う。

小さな大学の小さな教職課程で学ぶということ – 敬和学園大学 新潟県新発田市にあるリベラル・アーツ大学

新潟ソーシャル時評:地域おこし協力隊が定住したくなる街はどうしたら生まれるのか?

(2014年4月4日新潟日報モア「「新潟ソーシャル時評」」から転載。)

十日町市で「地域おこし協力隊」としての任期を終えた人たちが、全員十日町市に定住することになったそうです。

地域おこし協力隊全員定住・十日町|地域|新潟県内のニュース|新潟日報モア

「3月末まで十日町市の地域おこし協力隊員を務めた4人全員が、市内に定住することになった。4人は31日、関口芳史市長にこれまでの活動を報告するとともに、今後の生活や仕事への抱負を語った。」

「地域おこし協力隊」については、昨年Newsナビの配信で津南町秋山郷に出かけた時に初めて知ったのですが、そのときにも、十日町がかなり積極的に取り組んでいることは聞いていました。今回も含めて、19人の協力隊経験者のうち、13人が定住することになったそうで、かなりの実績といってよいでしょう。

「地域おこし協力隊」が入っていく地域は、中山間地域など、生活環境が厳しいエリアが多いわけで、自然に若者が増えていく可能性は高くないはずです。しかしその中で、これだけ高い確率で、定住する方がでてきたというのは、非常に驚異的なことのようにも見えます。今回の4人の方は、いずれも協力隊時代に取り組んだ活動をもとに、十日町で仕事を続けるということのようです。記事には出ていませんが、関わった地元の皆さんからのさまざまな支援があったのかもしれません。

もちろん、定住することだけがこの取り組みのゴールではないでしょう。生活環境の厳しい地方で協力隊として活動した人々が、その後都会に戻って、地域の応援団として活動してくれるということも、重要なことでしょう。しかし活動した地域に残りたいと思ってもらえる人が多ければ多いほど、十日町市の将来について、人々はますます、明るい希望をいだくことができるでしょう。

Facebookで調べてみたところ、元隊員の一人高木千歩さんが開くという飲食店の情報が少し出てきました。今度十日町市に出かけた際に、訪ねてみたいと思います。

十日町市ではなく、津南町からの配信でしたが、昨年、津南町秋山郷の「地域おこし協力隊」について、敬和×日報「Newsナビ」でとりあげました。アーカイブはこちらです。

新潟ソーシャル時評:湯沢の南雲純子さんが佐渡の観光戦略官に

(2014年4月4日新潟日報モア「「新潟ソーシャル時評」」から転載。)

2日の新潟日報朝刊に、佐渡の非常勤特別職として、観光戦略官と広報戦略官に辞令交付があったという記事が出ていました。

観光戦略官と広報戦略官の採用内定者が決まりました(2014年1月 募集分)[佐渡市ホームページ]

私の知人であり、湯沢町で「湯沢日和」というブログを続けていた南雲純子さんが、観光戦略官に就任されました。

今回の非常勤特別職の募集は、私の周りでは結構話題でした。観光も広報のいずれも、佐渡に興味のある人にとっては、チャレンジしてみたくなるポストでした。ただ、今仕事を持っている人が兼業としてやるには、佐渡との往来が大変かなという印象でも有りました。南雲さんもおそらく、佐渡と湯沢を行ったり来たりで仕事をされるのだと思います。

南雲さんはプロフィールにある通り、リクルートの立場で旅行の仕事をされていて、その一環でブログも使われていたのだと認識しています。また、地元のメンバーとUstream番組もやっていた時期がありました。非常にスマートに、小さな町の魅力を伝えてくださる方ですので、未開拓の魅力があふれている佐渡では、大きな力を発揮してくれるのではないかと思います。

逆に佐渡の人達からすれば、「よそもの」が何をしてくれるのか、お手並み拝見というところもあるでしょう。ちょうど新潟ソーシャルメディアクラブでも、「佐渡」の企画を考えようと思っていたところです。一緒に何か企画してみたい、そういう気分になりました。

南雲さんは、すでに「佐渡旅(sadotabi)」というブログをスタートされています。

佐渡旅(sadotabi)

新潟ソーシャル時評:「紙の日報忘れたけれどもモアがあるから大丈夫」は実現できる?:新潟日報モアのリニューアル

(2014年4月1日新潟日報モア「「新潟ソーシャル時評」」から転載。)

4/1から、新潟日報モアがリニューアル、「デジタル紙面ビューア」が登場しました。

デジタル紙面ビューアー|新潟日報モア

「パソコンではもちろんのこと、専用アプリ(無料)を使用することで、スマートフォンやタブレットでも日報やその他の紙面が閲覧いただけます。」

今まで新聞の中身をウェブに変換して表示していた新潟日報モアですが、PC・スマホ・タブレットで、新聞紙面それ自体を表示できるようになったことになります。テキストでの表示も可能ですし、検索もできます。「先週たしか新発田のアスパラの記事が出ていたと思うんだけど」というときにも便利です。見つけた記事のスクラップも可能です。

新潟日報モアは、新聞購読者向けサービスである一方で、読者であることを確認するために画面から改めて「登録」を求めており、正直言って参入障壁が非常に高くなっています。新聞読者の多くはITになじみのない人が多いという相性の悪さもあり、読者サービスといいながら、読者向けサービスとして成立させるのが難しい状況があるように思います。ただしそこは中身との相関もあるでしょう。高いハードルを乗り越えてもぜひ登録したい、というぐらいサービスが充実していれば、どうにか登録しようという読者も増えるはずです。

2月の読者満足度調査特集で私は、「紙の新聞を忘れたけどモアがあるから大丈夫という存在を目指すべき」というコメントをしました。今回の「デジタル紙面ビューア」は、「紙の日報忘れたけれどもモアがあるから大丈夫」に向けて、重要な一歩を踏み出したのではないかと思います。さらに望むならば、対象を地方面以外にも広げてほしいということでしょうか。地方面と「ふむふむ」以外にも、日報ならではの記事はあります。「紙の日報忘れたけれどもモアがあるから大丈夫」といえるには、そこまでぜひ実現してほしいと思います。

「デジタル紙面ビューア」では、写真をクリックすると動画が再生できるようにもなりました。これまで写真を撮るだけだった取材シーンで、動画も必ず撮ることになるのでしょうか。記者の皆さんがしばらく苦労することになりそうですが、これもまた、新しい新聞の読み方として期待したいところで、モアの登録者が増える可能性を秘めているように思います。

このほか、各地方で配布されている「assh」も同時にデジタル化され、地域にかかわりなく読めるようになりました。新潟日報の外付けの「フリーペーパー」的なポジションにある「assh」の、波及力も増すことでしょう。

公開前夜の3/31に、UST番組「敬和×日報『Newsナビ』」でも、新潟日報モアのリニューアルをとりあげました。先行してリリースされた、先生の異動すいすい検索についても紹介しています(モア始まって以来の大きな反響があったとか)。
 

敬和×日報「Newsナビ」(Facebookページ)

「新聞×ネット」は、年々変化を続けており、新潟日報モアのような「購読者限定サービス」としてのコンテンツが増えつつありますが、ソーシャルメディア上での情報流通は、この制限とどうしても衝突します。新潟日報モアもまた、ビジネスの論理を追求し過ぎると、ネットでの存在感が低下するというジレンマの中、さまざまな試行錯誤が続いています。しかし新潟のニュースを発信する存在として、新潟日報は非常に大きな存在です。今回大きな変化への一歩を進めて新潟日報モア。さらなる変化が実現されるのかどうか、注目していきたいと思います。

新潟ソーシャル時評:老獪な新潟人が新潟を救う

(2014年03月31日新潟日報モア「新潟ソーシャル時評」から転載。)

3月31日朝刊にて、連載「再考原子力」の企画。田中角栄氏の秘書官を長らく務めた小長啓一氏をインタビュー、電源三法が原発立地に果たした役割などを聞いています。聞き手は論説編集委員の横井裕さん。

[再考原子力 新潟からの告発]田中角栄氏の元秘書官・小長氏に聞く|社会|新潟県内のニュース|新潟日報モア

オイルショックで電力需給が逼迫し、原子力政策の推進が「まったなし」の状況に陥った結果、立地市町村から歩み寄りを引き出すために交付金を分配するための制度を設ける必要があったと、小長さんは説明しています。どのように立地市町村が受け入れに向かっていったのか、「自分で受け入れたのではないのか」という声もあるでしょうが、電力需給が逼迫している状況を改善することは「国策」としても非常に重視されており、地方は交付金と引き換えに、この状況に貢献する道を選んだとも言えます。

しかしこうした「貢献」が都会で顧みられることはなく、立地市町村のことを消費地の人々は、忘れていったということでしょう。「電気は見えないから」というのが小長さんの説明です。

最後のやりとりが非常に興味深いです。

-立地を急ぐあまり、安全性が置き去りにされたのではないでしょうか。

「決して安全性を無視していたわけではないが、東京電力福島第1原発事故を目の当たりにすると、当時は安全神話に埋没していたと思う。原発誘致を進めていた町長さんの言葉を思い出す。『電力会社の若手社員の安全に関する説明に“お任せ”の気持ちだった。一流大学を出て米国で技術研修を積み、しかも立地地域に住んで通勤するというので自分も納得しました』と。その辺が実態だったのではないか」

「安全神話に安易に乗っかった地元が悪い」、そこまでは言っていないかもしれませんが、文面から見る限り「愚鈍な地元住民たちが安易に受け入れた」というニュアンスも感じます。名指しされた「地元」は怒るかもしれません。しかし「都会」からやってきた「エリート」の「専門家」にお任せしてしまうというのは、原発立地だけではなく、さまざまな事柄について、しばしば見られる現象です。

この対極にあるのが「よそものは出て行け」という排除の空気でしょうか。「よそもの わかもの ばかもの」が地域を変えるとよく言われますが、そのような変化を望まない人々が、外部からの善意の指摘を無視することも多いです。対極ではあるのですが、「お任せ」と「排除」の合わせ技で、「お任せ」しているふりをしていつの間にか「排除」するという現象もあります。

ともあれ、大きな「国策」を背負って、周到にお膳立てをされてしまうと、しかもそこに目先の利益があるならばなおさら、地域住民はついつい「お任せ」の姿勢になってしまうことが多いように思います。専門家と協調しながら、自分たちの利益を守り、地域を発展させられる老獪な人がどれぐらいいるのか。それが地域力になるのかもしれません。私自身は、役に立つ誠実な「よそもの」あるいは「ばかもの」と評価されるように、また、学生の中から老獪な新潟人を一人でも生み出せるように、教育の場所で努力していきたいと思います。