東京女学館大学が募集停止、と日経が報道


東京女学館大学が募集停止、と日経が報道ICHINOHE Blog

東京女学館大学が学生募集を停止、と日本経済新聞が報じた。大学のウェブページには、まだ何も発表されていない。

東京女学館大、16年3月閉校 ブランド力生かせず  :日本経済新聞

東京女学館大(東京都町田市)が来春の新入生の募集を停止し、在校生が卒業する2016年3月で閉校することが29日、分かった。創設が明治期に遡る名門中学・高校のブランド力を背景にして4年制大学の経営に乗り出したが、大学全入時代を迎える中で学生募集がうまく行かず、累積赤字が約25億円に膨らんでいた。私立大の厳しい経営環境が改めて浮き彫りになった。

比較的余力があると見られている都内の大学でも、学生募集停止を決定する大学が出てきた。東京女学館大学は、都心ではなく町田にキャンパスがあり、立地に優位性があるとはいえないが、「東京女学館」は歴史と伝統のある学校であり、決して無名校ではない。受験偏差値も高いとは言えないが、50前後程度あるようだ。

常見陽平さんが、早速ブログをアップしている。

東京女学館大学閉校が物語るもの 学校経営のプロ登場待望論 : アゴラ – ライブドアブログ

常見氏は、東京女学館大学の学外評価委員でもあり、内情にも詳しいようだ。

学外評価委員会を実施しました。 | 東京女学館大学

キャリア形成支援にも注力している。大学1年の頃からキャリア教育科目を設置する。「死」という、誰にでもやってくる人生に最後についてまで考えることが大きな特徴だ。就業力育成支援にも力を入れており、企業とコラボした多様なインターンシッププログラムなどが注目を集めていた。

この大学における名物ゼミ、西山昭彦ゼミは7年間の内定率が95.4%だという。経営者の本の輪読、毎週のプレゼン、ケースディスカッションなどを行うだけでなく、外部のビジネスコンテストでの発表、企業インタビューなど内容も充実していた。OGの半数以上が東証一部上場企業に進み、それ以外でも成長企業、優良企業と言われる企業に進んでいた。

(中略)

…少人数教育、キャリア教育などに力を入れ、偏差値も48と決して高い方ではないのに、高い就職実績を誇っていた東京女学館大学の閉校は個人的には非常に残念である。

ただ、結局のところ11年連続定員割れ、25億円の累積赤字ということは、市場が評価しなかったということと、経営が上手くいかなかったということなのだろう。これ以上の損失を出す前に撤退するということは、勇気ある決断とも言える。

中堅以下の大学の中で、少人数教育やキャリア教育で実績を上げてきた、東京女学館大学でも、時代の波に飲み込まれたということか。そうだとすればなおさら、心穏やかではいられない大学関係者も多いだろう。

実際のところ、東京女学館大学のウェブページを見ると、2012年から留学、臨床心理士、教職課程など6プログラムをスタートさせるなど新しい取り組みが目立ち、上の記事に出てくる西山先生のゼミのことを紹介するなど、募集停止をうかがわせる雰囲気はない。ひょっとすると現場にとっては「寝耳に水」のニュースだったのではないかと思うほどだ。

常見氏が後半に展開する「プロ経営者」論は、大学教員の多くが一番嫌う類の議論だが、教授会が正しい経営判断ができないのも確か。その意味で自分としては、一概に否定は出来ないと思っている。

今、日本の大学に必要なことは何か?教育の充実、進路指導の徹底だとか、グローバル化だということが言われるが、今日は別な観点で。

それは、経営のプロが大学を担当するべきでは?ということである。学校経営のプロがいなければ、日本の大学は変わらない。日本においては、どちらかというと専門学校の世界などでう呼ばれる人たちはいるのだが、大学においてはまだまだ足りないと言えるだろう。

もちろん、「教育を何だと思っているんだ」という意見は常に起こるだろう。暴走しないように、監視も必要ではある。もっとも、学長よりも教授会が権限を持ちすぎており、決まることも決まらない日本の大学の現状を考えるならば、ここは学校経営のプロを、外部から(それこそ海外から、あるいは民間企業から)連れてくるのも一つの妙案ではないだろうか?

【追記】常見陽平氏から追加エントリー。学内事情が明らかになってきた。

東京女学館大学閉校は「権力の暴走」であり「詐欺」である。 : アゴラ – ライブドアブログ

1)4月21日(土) 全学臨時評議員会・臨時理事会が開催される
議題は「大学の今後について」
ここで、来年度の学生募集停止が可決される

2)4月23日(月) 大学臨時評議会18時~19時
評議会の構成員は、学長(法人理事長、中学高校長を兼務)、事務局長、学長より指名された教員5名(構成員以外の出席:学長補佐)。教員5名は欠席し不成立に。
教員が欠席した理由は文部科学省に提出する「学生募集停止について」の報告書類に評議会開催の日付が利用されることを危惧したためである。
教員は「説明は、水曜日に他の教職員と一緒に聞きたい」との文書に5名で署名して提出した。
翌日、教職員に何も説明してないのに、学長は文部科学省へ募集停止の報告を行った(それは下の4にて質問して、初めて判明した)。

3)4月25日(水) 大学臨時評議会15時~16時半
臨時評議会の招集メールが、24日(火)18時以降に学長から評議会メンバーに届く。
25日(水)に評議会が招集され、「学生募集停止についての意見を聞かせてください」と議長(学長)。
参加者は17時から大学教職員説明会が予定されているのに、評議会を招集して意見を聞く目的を確認。学生募集停止という重要なことについては教授会でも審議するべきではないかと質問した。その回答は東京女学館大学評議会規程4条3項により、「学部、学科、その他重要な組織の設置又は廃止及び学年の定員に関すること」を審議する場は評議会であると説明を受ける。
この臨時大学評議会にて審議し、賛成1、反対5で議決(よって、学長のいう教学側の最高意思決定機関の議決は否決。4月25日)。
学長が「この評議会での議決を文部科学省に報告する」と明言。

4)4月25日(水) 大学教職員説明会 17時~19時30分
文部科学省への届けが4月24日(火)に行われていたことが判明。
直後に学生と保証人に対する郵送・説明会の予定が発表されたところ、反対の意見表明が圧倒的。

5)4月26日(木)大学臨時教授会 18時~20時
学生と保証人に対する説明会の日程の発表。案内状の発送は4月28日(土)と説明。
前日に続き、発送後の在学生への対応を確認しても、具体策はないことが判明。
この臨時教授会から学長補佐は、「25日大学評議会は意見確認をしただけである」と前日の発言とは異なる言明を行ったが、証拠もあるので賛成1、反対5という議決をその場で確認した。
学生募集停止手続きの規程違反との判定を教授会決議。

6)4月27日(金)全学説明会 18時半~22時
小中高大の教職員百数十名が参加。説明後の質問、意見が続出し20時終了を延長し、22時まで実施。その場で、大学教職員は基本的に全員4年後に解雇なのに、学長、学長補佐は対象外だと説明があった。大学以外の小中高の教員から、「初年度納入金が高すぎるのが学生募集を達成できない最大要因なのに、報告書にその記述が皆無。大学の教職員に責任押し付けるのはおかしい」「こんな大事なことを今日知らされて、明日朝全学生・生徒・保護者へ郵送では、次の授業日の対応がとれない」など反対が続出した。が、法人事務局長は、これが最善と強行を宣言した。

引用の出典は不明だが、おそらく学内関係者から提供された情報であろう。学長・学長補佐、あるいは理事会が募集停止を強行した様子がうかがえる。文部科学省に報告した後で、教職員への説明会が開かれているのも、教職員からの厳しい反発を受ける前に、既成事実化を図ろうとしたように見える。

常見氏はまた、「ここ数年学園自体は黒字」だったことも指摘している。大学単体では「黒字化」できていなかったとしても、大学を募集停止するほどまで追い込まれていたとはいいがたいということだろう。この二本目のエントリーを常見氏は、「正しい経営」の必要性を述べて締めくくっている。

東京女学館のこの騒動は、大学の経営と、文科省のお役所仕事に対して考える好材料となりそうだ。

大学には強い経営者が必要であるという私の考えは変わらない。ただ、前提として正しい経営が行われなくてはいけないのだ。そして、第二のこのような事件が起こらないためにも、この大学の募集停止の報告を白紙撤回すべきである。大学の経営を文科省はちゃんと監視しなくてはならない。