沖縄県にある日本最南端の有人島波照間島で、豊作・豊漁を願う祭り「ムシャーマ」が中止となりました。「ムシャーマ」は、波照間の夏祭りで、おそらく戦後初めてではないかと、公民館長のコメントが書かれていました。
波照間最大の行事「ムシャーマ」完全中止 – 琉球新報 – 沖縄の新聞、地域のニュース
7月11日にはムシャーマの各組、東組(北・南集落)、前組(前集落)、西組(名石・冨嘉集落)の構成員が各集落会館で話し合いを持った。規模を縮小して開催する方策も考えられたが、万一感染者が出た場合、医療体制の心配もあることから中止すべきとの声が多く、最終的には公民館審議委員会に一任。臨時に同委員会を開いて決定した。
仲底館長は「私の知る限り、ムシャーマの中止は戦後初めてと思われる。感染症拡大予防の観点からやむを得ず中止となった。関東、関西、中京、沖縄本島、石垣の各郷友会にも連絡した」と語った。
「戦後初」の祭りの中止は、おそらく全国で起こっている現象だと思いますが、人の出入りが少なくなっている離島でも、中止にせざるをえないわけですね。もちろん、通常離島には多くの観光客が訪れますし、医療体制も十分ではありませんから、大事な島の祭礼といえども、中止せざるをえなかったということなのでしょう。
祭りの様子は「たびらい」に詳しく書かれています。私自身も何度か波照間にはいったのですが、いつかムシャーマのときの波照間にも、行ってみたいと思っています。
朝、ドラの音が響くと祭の始まりです。福々しいお面の「ミルク(弥勒)様」を先頭に3組に分かれてのミチサネー(仮装行列)が始まり、ミルク様は五穀豊穣と幸をもたらす神と言われています。ミルク様のあとにミルクンタマー(弥勒の子どもたち)、雨降らしの神「フサマラー」、道化役の「ブーブザー」などが続きます。波照間では各組1人、計3人のミルク様が登場するのが特徴です。
仮装行列の後、笛に合わせて太鼓を打ち踊るテーク(太鼓)という舞いと刀や六尺棒などを持って二人で演じられるボー(棒術)が行われます。その後、輪になって踊る「ニンブチャー」(念仏踊り)、コンギー(狂言)、ブドリ(舞踊)、民謡など様々な芸能が奉納され、最後に獅子舞が演じられます。
「弥勒」がなまって(?)できたミルク様は、八重山諸島一体に似たようなものが残っているそうで、どうやら台湾やベトナムにも似たようなものがのあるともききます。東南アジアの仏教に出てくるものが、波照間にも流れ着いたのか。もう少し調べてみたいと思います。
さて、島の祭りは新型コロナウイルスと共存できるのか。なかなか大変そうです。
島の祭りは、島外の人、特にその町出身者の人達の力を借りる必要があるのかもしれないですね(的外れであったらすみません)。神輿や山車の担ぎ手が不足している中で、祭りの形を維持するために、都会に出ていった出身者とか、さらに「プロの」担ぎ手に参加を依頼しているというのは、地方ではよく聞く話です。波照間島の現状がどうなのかはわかりませんが、似たような状況があるのかも、とは思います。
今後も新型コロナウイルスの感染状況が落ち着くことなく長く続き、「地域だけで小ぢんまりとやる」ことすら難しい状況になってしまったとすれば、どうやったら地域の祭りを再開できるのか。先の見えない大きな課題が、離島のみならず地方の多くの町に突きつけられているといえそうです。
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