今日、妻の提案により、映画『テルマエ・ロマエ』を見てきた。先日映画館で予告編を見ていたし、初日を見てきた人の評判も見てはいたのだが、原作のことは一切知らなかった。

映画のあらすじは以下のようなテンプレ。
古代ローマの浴場設計技師ルシウス(阿部)は、生真面目すぎて時代に乗り遅れ、職を失った。友人に誘われて行った公衆浴場で、あまりにやかましく湯の中に潜って考えていると、排水溝に吸い込まれ現代日本の銭湯にタイムスリップする。漫画家志望の山越真実(上戸彩)ら“平たい顔族”(日本人)が生み出した画期的な浴場やグッズに衝撃を受けたルシウスは、ローマに戻って斬新な浴場をつくり、一躍名声を得る。
古代ローマ人の多くは、イタリア人、なのかどうかわからないが、少なくとも日本人風の人たちではない、西洋の顔立ちの人々が演じているのだが、主要な古代ローマ人の役柄は、阿部寛を筆頭に「濃い顔」の日本人が演じている。少なくとも日本人が見ると、いかにも「それっぽい」配役に笑ってしまう。映画版ならではの見所となっている。予告編に出ていた人も多いが、何人かは出てきたところで「この人が出てきたか」とそれ自体で笑ってしまった。
阿部寛演じる「古代ローマ人」という大枠での滑稽さが、阿部寛の演技力で加速し、現代日本の風呂文化を生真面目に観察するルシウスのおかしさと結びついて、相乗効果で笑いを呼ぶ作品であった。
タイムマシンものにありがちな、「もう一度元の時代に戻る困難」は全く話題にのぼることはなく、ルシウスは古代ローマと現代日本を何度も行き来する。これは原作からの設定だろうけど、古いフォーマットで発想しがちな自分にとっては、斬新であった。
日本人が演じる「古代ローマ人」で、イタリア人を笑わせるのは困難であるように思えたが、映画祭では非常に好評だったという報道も出ている。
「古代ローマ人」阿部寛にイタリアが爆笑 – シネマニュース : nikkansports.com
21日に北東部のウディネで行われたプレミア上映会は、爆笑の連続になった。温水洗浄便座で肛門にお湯を浴び、味わったことのない感覚に驚いて奇声を発し、便座を見詰めるシーンには拍手も起きた。1200人収容のメーン会場に観客が入りきらず、急きょ再上映が行われるほどの大盛況。観客の1人は「阿部さんはローマ人くらい顔が濃い。とても日本人とは思えない」と驚きの声を上げた。
阿部ら顔の濃い日本人が古代ローマ人になり切った演技が、ハートをつかんだようだ。加えて温水洗浄便座やシャンプーハットなど、欧州に浸透していない日本ならではの文明の利器が登場するたびに、観客は阿部が演じたルシウスのように好奇の目でスクリーンを見詰めた。ネット投票NO・1という結果が、欧州の映画ファンからの厚く支持された証明だ。
映画祭に出席した武内監督は「イタリア人の国民性なのか日本の3倍くらいの笑いが起きていた。イタリアで公開されることを期待してます」。阿部も「イタリアでも多くの方に見ていただけるとうれしいです」と期待した。