ソーシャルメディアが歴史を作る


Clay Shirky氏の「How cellphones, Twitter, Facebook can make history」という講演。ソーシャルメディアが歴史を作るのだ。非常に面白く、ネットユーザに果たすべき役割について、示唆に富んだ内容だ。社会変革とネットをあまりつなげていない日本のネット界には、特にインパクトがあり、既存メディアに対しては刺激的かもしれない。

動画で表示できるのは英語字幕だけで、残念ながら日本語訳はなかったのだが、小林啓倫さんが、ブログで翻訳をつけてくれた。訳があってもなお難しいところがあるかもしれないが、敬和の学生たちにもぜひこのビデオを見てもらいたい。

リンク: POLAR BEAR BLOG: クレイ・シャーキーのTED講演「ソーシャルメディアはいかに歴史をつくるか」.

この訳がブログに乗るのと前後して、イランの選挙抗議運動、ウイグルの問題が相次いで起こった。いずれについても、Twitter上を流れてくる情報の正しさについて、常に考えさせられる事態になっていて、Retweetする際にも、少しためらいを感じることはある。だが、一方で情報統制の網の中から漏れ出したものが、多対多の新しいメディア環境で拡散していて、その中で人々がつながり対話しているという瞬間に、遭遇できるようにもなってきている。

講演にはこんなくだりも出てくる。

We are increasingly in a landscape where media is global. social, ubiquitous and cheap. Now most organizations that are trying to send messages to the outside world, to the distributed collection of the audience, are now used to this change. The audience can talk back. And that’s a little freaky. But you can get used to it after a while, as people do.
メディアはますますグローバルに、ソーシャルに、ユビキタスに、そしてチープになってきています。メッセージを届けようとする組織の多くがこの変化に慣れてきました。そして聴衆はメッセージを返すこともできます。ちょっと怖いですが、他の人々のように慣れなければいけません。

But that’s not the really crazy change that we’re living in the middle of. The really crazy change is here. It’s the fact that they are no longer disconnected from each other. The fact that former consumers are now producers. The fact that the audience can talk directly to one another. Because there is a lot more amateurs than professionals. And because the size of the network, the complexity of the network is actually the square of the number of participants. Meaning that the network, when it grows large, grows very very large.
しかしそれが、本当の意味で重要な変化ではありません。本当に重要な変化はこれです。人々はもはや分断された状況にはないという事実。いまや消費者は生産者でもあるという事実。聴衆はお互いに会話ができるという事実。プロよりもずっと多くのアマチュアが存在し、ネットワークのサイズと複雑さは、参加者の数の二乗になる――つまりネットワークが大きくなると、それがもたらす価値はずっとずっと大きくなるのです。

多対多の価値は、単純な足し算ではない。たしかに、Twitterでウイグル情勢を見ていると、そのことを強く感じる。Retweetによる情報の伝播力はかなりのものだ。中国政府がウイグル問題で外国メディアにオープンさをアピールしているのも、こうした変化を中国政府なりに感じ取っているからなのだと思う。ただ現地からのネット利用をせき止めながら、外国メディアの動きもある程度コントロールするという今のやり方が、どこまで有効に機能するか、まだなんともいえない。

個人的には、「The audience can talk back. And that’s a little freaky. But you can get used to it after a while, as people do.」、みんな慣れていこうよということなのだと思う。

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