名護の私立大学、名桜大学が、公立大学法人への移行を検討しているそうだ。「大学を考える」の記事で知った。
【名護】北部12市町村と県が設置し、学校法人名護総合学園が運営する「公設民営」の名桜大学(瀬名波栄喜学長)が、運営形態を現行の公設民営から公立大学法人への移行を検討していることが26日までに分かった。公立法人化で授業料を安くし、学生や保護者の負担を減らすのが目的。経済的に学びやすい環境を整備し、少子化などによる志願者数減少を食い止め、厳しい経営事情を打破したい狙いもある。
公設民営型大学の場合、地方自治体が設置時の経費等を負担するが、運営は学校法人によって、つまり、私立大学として運営される。したがって、学生は私学並の高い学費を支払うことが前提になる。公立大学法人に移行するということは、学生から見ると、学費が国公立並みに下がるということを意味することになるだろう。
公立大学に移行する最初の例となるのが、この4月から公立大学法人となる高知工科大学。すでにかなりの高倍率になっているようだ。
- 高知新聞:高知のニュース:教育:高知工科大に出願殺到
- 高知工科大 私大から公立大への転換を計画 について考える | 大学を考える
- 「経済状態の厳しい地方にこそ公立大学は馴染む」~さらば工学部(9):日経ビジネスオンライン
工学部の場合には私立の学費非常に高くなりがちなので、公立化によりおそらく学費はかなり抑えられるはずだ。経済的な意味でも、公立化された高知工科大学が非常に魅力的であろう。
「大学を考える」の上の記事では、名桜大学の状況について以下のように述べている。
名桜大の場合は、国際学群と人間健康学部。
看護学科のある人間健康学部はともかく、国際学群の学費は、初年度納入金で92万円程度。入学金を除くと70万円程度です。
決して安いとは言いませんが、これが国立大学並みの50数万円になったとしても、受験生やその保護者の心を動かすことができますでしょうか?
非常に鋭い指摘であろう。少なくとも金額的な意味では、大きなインパクトを出すのは難しいだろう。
ただ一方で、地方の場合、国公立大学か私立大学かで、評価にかなりの開きがあるということもまた事実であろう。沖縄県の場合には、他県と陸続きではないという点や、大学の数が限られているという特性もあり、他県と同じように語っていいのかどうかわからないが。
短大が四年制大学に改組転換すると、公立の場合にはかなり大きなインパクトがあり、急に志願者数が増えるというケースは多い。公立短大には魅力を感じないが、看板が「大学」にかけかわるととたんに志願者数に急変が起きるほどに、「公立」大学の魅力は大きいようだ。「公設民営」が「公立」に変わることが、同じように大学のブランド力に大きな変化をもたらすものかどうか、これからが注目されるところだ。
「大学を考える」のkangeです。
AMNのサイバー大学のイベントで、ご挨拶はできませんでしたが、ご一緒していますね。質問の内容から「大学関係者だろうなぁ」と思っていましたが、やはり先生でしたか。
今回は、取り上げていただきありがとうございます。
名桜大学のほかにも、静岡文化芸術大学も県立大学に転換される予定だそうです。http://www.suac.ac.jp/change/index.html
学費が下がる分、税金による負担が増えるということなので、それもこのご時勢、どうだかなぁ、という気がします。
コメントありがとうございます。いつもブログ拝見しています。
サイバー大学のときにご一緒でしたか。失礼しました。
公立大学への転換は、できることならやりたい私立大学が多数あると思いますが、さまざまな条件が整うところは少ないでしょう。
地域貢献に力を入れている私大は多いですが、公立にしてまで支援することに、地域住民も賛成するケースは稀でしょうね。