地方でネットの利用が進んでいない話についてちょっとだけ


昨日から今日にかけてちょっと話題になっている以下の記事。

地方生活8年(稚内6年、新潟2年。)で、地方の学生の情報リテラシーを観察してきた僕にとっては、他人事ではなく、非常にうなづける内容であった。 後期の授業でも取り上げたいし、機会があれば敬和の同僚にも紹介したいと思うが、まずはブログで。

原因をいろいろ推測しているけれども、結局僕は情報の絶対量の問題だと思う。

人口が100万人の都市なら情報発信してる人の数は1万人になって、それなりにいろんなジャンルを網羅できるだろうし、ブログまで行かなくても口コミサイトなどで口コミ情報を書いてくれるような人もそれなりにいると考えられる。

でも、これが人口5万人の都市になると情報発信してる人の数は500人。この数では、発信される情報のジャンルに偏りがあるだろうし、上述の地方でのネット利用の遅れを考えると、数的にはもっと少ない情報発信である可能性も十分に考えられる。

 

まず役に立つ情報が少ないのだ。新潟でも生活に役立つ情報は非常に少ない。

稚内の場合には大学から発信されている情報を除けば、あとは役所からの情報ぐらいであって、口コミ情報はほとんど壊滅的な状態にあった。しかも小さいコミュニティなので、口コミはほんとに口コミのままリアルに共有されていて、たいていはネガティブな情報なので、真偽不明のまま表に出ない形で流通していた。

新潟の場合には、ローカルのタウン誌がフリーペーパーも含めてかなりあって、まだまだその情報は健在のようだ。これらの媒体を作っているところが、ネット口コミに乗り出せるかというところで、今止まっている感じがある。

こうして、個人による情報発信も少ない地方では、地元の情報に関してネットを利用して便利さを体感できるという事例が必然的に少ない。そして、「何かを知り
たくてネットを見てみたものの知りたかった情報は見つけられなかった」というように、便利さが感じられないからネットを利用しなくなるという負の連鎖が起
こって、なかなかネットによる情報発信が広まらない。

ということで、ライトユーザはパソコンから離れていき、コアなユーザも生まれにくく、さらにそうした人たちが新しいサービスを開発する土壌も生まれないというサイクルになっているのであろう。

この状況にあらがって、自ら積極的に情報発信、というアクションに出た場合にも、リアクションが少なくてしょんぼりするケースが多く、具体的な「マネタイズ」という面でも、結局補助金を取りに行くしかなくなる。

ただどこが分水嶺かはわからないのだが、ある程度の規模の地方都市は、もう少し便利になっていいような気がする。名古屋や関西圏と東京とのギャップは、もっと狭まってもいいような気がするし、福岡や札幌だとどうだろうか。人口5万人の街では仕方がないのだけれども、たとえば政令指定都市クラスの街に新しいウェブ技術が根付かないのは、原因がよくわからない。

「政令指定都市」新潟のネットユーザの皆さんは、どんな感想を持つだろうか?

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