毎日の英文サイト「毎日デイリーニューズ」上のコラム「WaiWai」に、「不適切な記事」が掲載されていた問題で、本日付毎日新聞朝刊に内部調査結果の報告が掲載され、ウェブにも公開された。
ウェブ上の調査結果報告のインデックスは、mainichi.co.jp上のhome.htmlに作られていてリンクしにくいので、本日付の報告内容を下にリストしておく。
- 毎日新聞社:英文サイト問題検証(1)
- 毎日新聞社:英文サイト問題検証(2)
- 毎日新聞社:英文サイト問題検証(3)
- 毎日新聞社:英文サイト問題の経緯
- 毎日新聞社:検証チームの分析
- 毎日新聞社:検証踏まえ2人追加処分
- 毎日新聞社:「開かれた新聞」委員会委員に聞く(1)
- 毎日新聞社:「開かれた新聞」委員会委員に聞く(2)
- 毎日新聞社:「開かれた新聞」委員会委員に聞く(3)
- 毎日新聞社:「開かれた新聞」委員会委員に聞く(4)
記事本文に関する部分については、特に驚くような記述を見つけることは出来なかった。本誌ではない英文の記事で、しかも一般ニュースでもないということもあって、目が行き届かなかったと。そんな経緯であろうというのは、まあ予想の範囲内ではある。
ただここまでの騒ぎになる前に、手をうつタイミングはあったようだ。まず、2006年4月に高橋弘司編集部長が就任した際に、女性記者が「WaiWaiは内容を見直した方がいい。社会的な切り口でやった方がいいのではないか」と問題を示唆し、高橋氏から担当記者に口頭で注意をした段階。しかしその後詳細に内容がチェックされることはなかったため、状況は変わらなかったということのようだ。その後、昨年10月、今年3月にも同様の批判が外部からメールで寄せられていたが、これも無視された。この対応の遅れの原因もおそらく、「本紙ではないという気の緩み、位置づけがはっきりしないという背景があった」という田島泰彦先生(「開かれた新聞」委員会委員)の指摘通りであろう。
僕が注目していたのはむしろ、「Hentai」「Japanese girl」といったキーワードが、英文サイト「全体」のMetaタグに設定されていた問題。こちらは「ニュースも『WaiWai』も、全コーナーのキーワードが同じだった」せいだとしている。一般記事をアダルト系の記事と誤解されてもかまわないという姿勢だったということなのだが、どうしてそんな取扱いになったのかの検証は行われていない。これも「本紙ではない」英文の記事だからということなのか。このようなキーワードが設定されたのは、昨年10月のリニューアルのときで、外国人スタッフと技術スタッフの間だけのやりとりで設定され、「上司は把握していなかった」という。しかし「毎日新聞問題の情報集積wiki – METAタグ事件」には、この手のMetaタグは、リニューアル以前から入っていたという指摘も出ており、これも同じような経緯であればそのように書けばいいものを、なぜか昨年10月以前のことには触れていない。
「開かれた新聞」委員会委員の一人、柳田邦男氏のコメントは、なぜか最後になって「匿名ネット批判」にすり替わり、「失敗に対する攻撃が、ネット・アジテーションによる暴動にも似た様相を呈しているのは、匿名ネット社会の暗部がただごとではなくなっていると恐怖を感じる」となっている。広告を引き上げさせるようクライアント企業に圧力がかかった問題については、たしかに評価しがたい「行き過ぎ」を感じないわけではない。しかしこの問題を「匿名ネット社会の暗部」の話につなげるのは適切ではないだろう。以下のようなwikiが存在したことで、wikiの情報と毎日から公式に出てきた情報を見比べて検証ができる。「匿名」なるものがこうした情報の流通を促進したとするならば(そうなのかどうかはよくわからないが)、今回はむしろ「匿名」をプラスに評価すべきであろう。
毎日の英文サイト問題について、朝日にコメントしました
毎日の英文サイトについて、先ほどの記事を書いている間に、asahi.comに記事
WaiWai問題
mixiで、今回毎日新聞が改めて処分をしたのを知りました。釈明…の積もりなんだろうけど、読んでる限りでは誰もそう取りませんよね。
池田信夫さんを始め、様々なアルファブロガーが言及してるので、今更ながらとは思いましたが、私のようなオールドタイマーが記憶する昔の事件を思い出しましたので、それを書かせてもらいます。
今から20年以上昔、昭和天皇がご不例だった頃、英文毎日が追悼記事を載せてしまいました。印刷の段階で気づかず、配達されてる最中に「やばいでこれは」となり、急遽回収。その顛末が、週刊…..