新潟日報のインタビュー記事(10月20日)で、最後の結びに、「既存メディアの将来について言及されたが、、、」というくだりがあった。ここが「差しさわりのある部分」で、いろいろお話したのだが、
一つは新聞社ウェブサイトの記事の保存期間の問題。これに言及したということは、言っておこう。
ちょうどGigazineの毎日.jp(毎日新聞社デジタ
ルメディア局次長 兼 編集局の磯野彰彦氏と、デジタルメディア局マーケティングG
ディレクターの日比野真士氏)へのインタビューが出ていて、非常に興味深かったのだが、その中で、記事の全文引用その他の二次利用についてのやりとりが紹
介されている。保存期間の問題それ自体ではないが、関係がある。
詳細に述べるのは別の機会にしたいが、参考までに以下のようなやりとりだ。
リンク: 「毎日jp」を運営している毎日新聞デジタルメディア局にインタビュー – GIGAZINE.
◆記事の引用について
G:
毎日jpの記事をブログなどで引用する際、何か気をつけることはありますか?
日比野:
引用に関しては毎日jpにリンクを貼っていただいて、記事の一部を引用することは構いません。しかし、やはり記事の修正、削除の問題や、プライバシーの問
題があります。リアルタイムで事件が変化していることなどを考えますと、全文コピー&ペーストだけで貼り付けられて、修正が反映されないままそこで完結さ
れてしまうと困ります。
磯野:
たとえば逮捕された場合に「容疑者」として実名報道された人が、裁判で無罪だとされた場合に、当事者の方から修正を求められる場合がありますし、もちろん著作権の問題もあります。実を言うと私は編集局でブログをやっているんですね。そして自分が10年前に書いた「記者の目」をコピーして、全文引用しましたところ、デジタルメディア局の人から抗議を受けました。それくらい厳しい運用をしています。
G:
Web2.0系のサービスの中にはスクリーンショットや本文の一部をキャッシュするものがあるが、これらについて毎日jpはどのように考えていますか?
日比野:
先ほどの問題と重なりますが、記事の修正や削除が反映されないので、プライバシーの問題があった場合などに困ります。実際に当事者などから相談があり、弊社内で協議した結果、GoogleやYahoo!に連絡してキャッシュを削除してもらうこともあります。
おそらくだが、毎日のお二人はほとんど不可能なことを言っていると自覚しつつ、社の立場を表明されていると思う。いくら著作権を主張したところで、コ
ピーして全文引用する今の流れを止めるのは困難だ。
プライバシーの問題に関していえば、場合によっては、修正ではなく、どのように情報が
訂正されていったのかというプロセス、たとえば、容疑者として報道された段階から無罪がなるまでの間の一連のプロセスを可視化するという責任の示し方もあ
るだろうし、これはそんなに難しいことではない。元の記事を修正削除し、キャッシュを削除した段階で、それで新聞社としては義務を果たしたという理解になるかもしれないが、しかし人の頭に記憶されてしまったものは消えない可能性は高いし、ブラウザキャッシュやウェブ魚拓など、記録が残ってしまう可能性もある。そう考えると、自分たちの発信する記事内容そのものの完全な同期が実現できたとしても、それで新聞の社会的責任が果たされたとは考えられない。人々があやまって個人情報を流出させるのと同様、新聞の流したネガティブ情報もまた、もし間違っていても訂正のきかない形で流れていくのだと考え、それを前提に報道のあり方を考えるべきだろう。
[編集日誌]2007-10-26(Fri): ブログまとめ読み−図書館総合展への学生参加、寄付による大学財務、ウェブ時代にける新聞報道の責任所在
惜しむらくは平日開催だから学生の大半は聞きに行けない、ってことだよなー。 実に勿体ない。 興味のある人だったら絶対聴いて損はないのに。 っつーか、むしろ「知識情報・図書館学類」って名乗るくらいだったら図書館総合展と6月のNIIオープンハウスの2つくらいは授業全部…