今日の午前、MiAU設立記者発表会をのぞいてきた。詳細についてはすでに各社からレポートが出ていて、MIAUがそのリンクを提供している。
リンク: MIAU : 設立発表会の報道・報告リンク.
まずは、今回短期間でMiAU設立に動いた人たちの努力には、素直に拍手を送りたいと思う。
「インターネット先進ユーザ」という言葉に、違和感を感じる人もいるようだが、その違和感はあまり本質ではない。「ある程度わかっている人」にとって、ネットワークに関わる法の制定や適用が、現実にそぐわないと感じるものであったとき、その「違和感」をどうやって社会的にあらわしていくのかというのが、本当の問題だ。
その意味では、「ネットユーザーが意見表明するためのサポートを行っていく」という部分が、MiAUの活動としては、実はきわめて重要な部分だ。白田先生は質疑応答で、ゆくゆくは、個々のユーザが問題を効率よく理解できる、コースウェアのようなものを作りたいとおっしゃっていた。が、手間もかかる迂回的な作業であり、そこまでいけるかどうかは未知数であろう。
今日の会合でも明らかになったけれども、この団体には中立的な部分とそうでない部分が混在している。「当面の」活動の柱のうち、もっとも緊急課題である、「ダウンロード違法化」については、反対の立場を鮮明にしているし、それ以外のダビング10や著作権延長問題についても、反対の立場をとることになるのだろう。この点について、僕はMiAUが中立的でなければならないとは思わない。特に「ダウンロード違法化」については、MiAUの立ち位置云々を内部で議論していたら、それで時間切れになってしまうのであるから、発起人その他構成員の意見に一致があるのであれば、その立場は鮮明にしてかまわない、というか、そうするべきなんだと思う。
ただ立場を明確にすればするほど、「ネットユーザーが意見表明するためのサポート」や「コースウェア」というのも、中立的な材料を与えるものではなくなることになる、あるいはそのようにみなされることになる。つまり色のついたサポートやコースウェアという風に、外から見られてしまうのではないか。そういう危うさをはらんでいるように感じた。
もっと極端にいうと、立場を鮮明にした上で、緊急の事柄、たとえば「ダウンロード違法化」について、たくさんのユーザにパブコメを提出させるということが目的だとするならば、論理構成までフォーマット化してあげれば、賛同者たちが群れをなしてパブコメを提出することになるので、コースウェアなんて迂回的なものはなくたっていいということになる。短期間で政治的目標は達成されることになろう。
もちろん、MiAU発起人のみなさんは、そのような中立性を完全に放棄したあり方を望んではいないだろう。しかしとにかく中立性を維持するために、個々の問題に対してMiAUとしての立場を明らかにしないというわけでもないのだろう。
今日会合に出ている間に、Twitter上でgoyouが「今さらネットワークの自由について団体を作らなくてはならないこの国って一体…。」というコメントをしていた。たしかにその通りかもしれない。でも今ここで団体が一つでき、とにかくユーザたちが世間の気づかないところで意見を述べるのではなく、きちんと影響力を確保しながら発言しようということになったわけで、まずは第一歩、ということなんだと思う。今までは、それほどシリアスに捉えるべき状況がなかったのかもしれないし、その割にはブログなりSBMなり、いろんなところで、「先進ユーザ」の意見っていうのは、(一般の人には見えないけど)ある種の「世論」として鮮明に現れてきている。環境さえ整えれば、いろいろな意見がある種塊となって出てくるきっかけになるのかもしれないと思った。
最後に、「参加」ということについて。どうやって「参加」なり「支援」をしたらいいのかという意見が、出てきている。今回の会合でも、それはよくわからなかった。でもまあ形式的な「参加」の仕方というのはどうでもよくて、MiAUがこれから次々に表明するであろう主張について、自らが考え、賛同できるのであればそのように意見を表明し、そうでないのであれば、違う意見を言えばいい。それが「参加」だということでいいのではないか?
明日、「ダウンロード違法化」関係の文化審議会の文書を、じっくり読もうと思う。