マレーシアのブログ規制問題


人種間の微妙なバランスを保ちながら発展を続けてきたマレーシアでは、人種間憎悪をHate Speechへの規制は、やむをえないものとして、受け取められる傾向にある。しかしこうしたマレーシアなりの「常識」もまた、少し変化しつつあるように思う。

リンク: BBC NEWS | Asia-Pacific | Malaysia cracks down on bloggers.

リンク: 誹謗中傷のブロガー告発も辞さず、ナズリ首相府相 | マレーシア発ニュース速報 | マレーシアナビ!.

今回槍玉にあがっているのは、Malaysia Todayというサイトで、ブログというよりも、Nucleustというブログソフトを使っているが、かなり総合的なニュースサイトではないかと思う。このサイトで、Raja Petra Kamarudinというエディタの書いている内容が、イスラムを侮辱して人種的憎悪をあおっているとされ、本人が警察に出頭、反論してきたとBBCが報じている。

Deputy Prime Minister Najib Razak told The Straits Times that the move was aimed at getting some moderation in postings on the internet, especially on sensitive issues: "Some people feel that they have crossed the line, in making racist remarks," he said.

But the BBC’s Jonathan Kent in Kuala Lumpur says the government also appears increasingly concerned about the growing online criticism of its record.

BBC特派員は、Hate Speechだという言いがかりをつけているが、本当はオンラインでの政府批判をやめさせたいというのが本音ではないかと見ているようだ。

マレーシアの歴史を見るとき、人種間の融和を優先せざるを得ないこの国の事情は、たしかに一定程度理解ができる。人種間の微妙な利害調整に成功したからこそ、今のマレーシアの発展があるともいえる。

しかしこうしたコントロールもそろそろ限界だろう。通信と放送の融合を早くから見越して、マレーシアはCommunications and Multimedia Act を98年に作っている。実はこの法律は同時に、通信コンテンツへの自主規制の導入が行われていた。通信コンテンツも規制しなければならないという問題意識は、特に強かったように思う。が、すでにそれから10年弱のときが過ぎ、インターネットの情報流通環境も、急激に変化している。この時代にブロガーたちの言論をコントロールするのは不可能で、やればやるほど政府批判は内にこもることなく、いろいろな形で表に出てしまうはずだ。

じゃあ代替手段として何があるのか。多様な人種がともに豊かさを享受する「Truly Asia」という認識を、きれいごととしてではなく、国民が本心から思えるよう-ブロガーたちが自然にその融和の価値を説きたくなるよう-政府として検討するのはどうだろう。

この場合、著名ブロガーを招いてなにをやったらいいんだろうなあ。

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