情報通信政策フォーラム(ICPF): 第20回「著作者は著作権をどのように捉えているか」


昨日の情報通信政策フォーラムに参加し、きょう新潟に戻ってきた。

リンク: 情報通信政策フォーラム(ICPF): 第20回「著作者は著作権をどのように捉えているか」.

すでに池田信夫先生のエントリが話題になっている。ブログの中身もかなり手厳しいが、会場での辛らつさもいつも以上で、講演の途中に割って入っていた。

リンク: 池田信夫 blog 三田誠広氏との噛みあわない問答.

池田先生の三田批判に僕も基本的に同調するのだが、会場の雰囲気はもうちょっと穏やかであった。途中まで自分でもメモを作っていたのだけど、Twitterにつないでみたら、隣のテーブルで津田大介さんがリアルタイムでレポートをあげていたので、それに頼ることにした。津田メモのほうが、昨日の講演会全体を客観的に再現していると思う。

最後に僕も質問させてもらったが、結局三田氏のいう「登録制度」が何を意味しているのかってことが鍵だなと思った。池田先生をはじめとして、質問者が言っている「登録制度」というのは、登録しない限り権利が発生「しない」ようにする仕組みのことなのだが、三田氏が言っていたのは「登録してもいい」という制度のことで、つまり、今もある選択的な登録制度をもっと充実させていこうというものにすぎない。

三田氏は、音楽であれ映像であれ、さまざまな「リミックス」がすでにネットのあちこちで行われ、価値を生み出しているという認識が、おそらく全くない。もしそうした認識があったとしても、そこで生み出されているものは、価値のない「情報」に過ぎず、「文化」を生み出していないというだろう。

「無方式主義」は国際ルールであって、これに抵触する「登録制度」は採用できないし、著作権保護期間の70年への延長も「国際的潮流」であるから、追随すべきだ。三田氏の歯切れは悪かったが、著作権の国際的ハーモナイゼーションの必要性は、疑う必要がないという立場だった。

池田先生が、自分のエントリに以下のようにコメントしている。田村先生によると、方式主義にしてしまってもベルヌ条約との抵触は回避できるのか。

         

         

          

         

         

          

         

         

          

         

         

          

ベルヌ条約 (池田信夫)
2007-07-25 21:09:38
田村善之『著作権法概説』(p.30)によれば、ベルヌ条約は他国の著作物に方式主義を課すことを禁じているだけで、自国の著作物に方式主義を採用することは同盟国の裁量にゆだねられています。

したがって登録制度は「ベルヌ条約を脱退」しなくても可能です。こういう嘘(あるいは無知)を公の場で吹聴する岡本氏のような人物が日本の著作権行政を牛耳っているのは、かなり危険な状況ですね。

「国際的ハーモナイゼーション」はつねに耳障りのよい殺し文句だ。しかし、現状を見れば、「ハーモナイゼーション」が文化を発展させることはなく、むしろ衰退させるように思う。
著作権の登録制度とベルヌ条約の無方式主義
、もう一回ちゃんと勉強しなおそうと思う。

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