白浜シンポジウムの感想


二泊三日で、第11回サイバー犯罪に関する白浜シンポジウムに行ってきた。情報ネットワーク法学会のお知り合いも結構参加していたけれども、全く新しい人とも出会えたし、3日間とも非常に有意義で、かつ考えさせられる内容であった。稚内時代、ずっと参加できなかったのだが、無理してでも参加しておけばよかったかもしれない。

基本的な論調としては、今後も情報セキュリティは完全にはなりえない。でも、啓発も必要だし、法整備も必要だし、地道にがんばりましょう、という感じ。啓発に関しては、非常に限界を感じつつも、結局一番大事なのは親の教育なんじゃないかという話になる。

参加者の間で、実は根っこのところで意見がわかれてそうだなと思ったのが、「素人」にどこまで使わせるかっていうこと。基本的にはバランスをとっていくしかないというのが、全体としての穏当な結論なんだけど、根っこのところで価値観の違いがあるんじゃないかなあという気がした。専門家が集まると、やれ「ネット免許制」だの「シンクライアント」だの、とにかく
インターネットにはやばい事が多すぎるから、子供でも大人でも「素人」には何もさせるなっていう論調になりがちだ。たしかに企業等に求められているセキュリティ水準が、どんどん厳
しくなってきているのはたしかだし、攻撃の態様も巧妙になってきている。

でも「ウェブ進化論」的な意味で、新しいウェブ技術によって人間活動が活性化されていく局面があるのだすれば(それを信じるのであれば)、初心者ユーザに対してゾーニングをしすぎるのは、少なくともいいことではない。というのも、新しいサービスを使ってみてはじめて、その人間活動に対する意義を理解できるからだ。みんな最初は素人だっていうこともまた真実だし、バランスをとりながら、子どもの保護についても考えていくしかないのだろう。

「素人」をコンピュータ好きにするのが今の僕の任務なので、「素人」に余計なこと教えるな、っていわれてしまうと、正直やることがなくなってしまう。厳密に言えば、やることはなくならないのだけれども、啓蒙と実践の微妙なバランスをとらないで、「危ないインターネット」の話に偏りすぎると、「やっぱりパソコンは怖いから触らない」ということになってしまう。でも大学の中で「啓蒙」の部分をうまく織り込んで行くやり方については、あらためて考えてみようと思った。

1 個のコメント

  • お疲れ様でした。
    あんな感じで湯沢でもやりますので、一つよろしくお願いします。
    湯沢ワークショップのほうは後発なぶんだけ規模が小振りなので、なんとか白浜Sなみの盛況に持って行きたいと思っているのですが・・。

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