入試ナシ、選抜はロト抽選で公平に! サイバー大学 吉村作治学長 - @IT


サイバー大学の続報。

結局サイバー大学については、「口コミ」でどんどん話題増幅中だ。どのみち最初は「キワモノ」と見られてもかまわないつもりだろうから、これはまずまずの滑り出しといえそうだ。ちなみに、@ITは現在ソフトバンクグループに属している。

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日本の大学では産業界で即戦力となる人材の教育をしていない、とは長年言われてきたことだ。この点でもソフトバンクが出資しているだけあって、サイバー大
学はプラクティカルだ。例えばIT総合学科で「コンテンツ制作」について現場の一線で活躍するビジネスマンによる講義があるほか、長期間のインターンシッ
プ制度や、ボランティア・留学プログラム、語学検定の個別指導といったメニューを充実させている。

この説明の「実践性」については、突破口日記: サイバー大学.が具体的な要求事項を羅列している。既存の「実践性」を標榜する大学でも、ここまでを「実装」しているところは少ないだろう。無名のWAKHOKが東京でそれなりに評価してもらえたのも、ここにニッチが存在したからだ。「一流のビジネスマン」から「コンテンツ制作」を学ぶというのは、少なくともIT産業が望むような地道な「実践」ではなく、デジハリ式の夢を語る世界に近い。つまり現実には「学生募集」という入り口がまず重要なのであって、目先の「派手さ」を捨ててまで、地道な「実践」を追求しないということになるだろう。もちろん地道さが評価されるべきだと思うが、それを社会が受容し、正当に評価する素地がなければ、結局は人の集まる派手なやり方を取るものが増えるしかないし、誰もそれを責められない。

こうした実践的教育に対しては、大学教育は教養教育や人格陶冶までカバーする全人教育であるべきだという批判がある。こうした批判に対する吉村学長
の言い分は、いささか歯切れが悪い。吉村氏は「ビジネスにも教養や理念は必要。サイバー大学の使命は教養ある社会人を育てる」と言うが、その一方で「ソフ
トバンクと吉村作治がやったからITと世界遺産という学部ができたんじゃないかと言う方がおられますが、違うんです、いや、そのとおりでもあるのです
が……」と口ごもる。考古学調査でいまやITは不可欠だと実例を挙げて説明してみても、ITと考古学という取り合わせのチグハグさは取り繕えない。
 

前段と後段は別の話で、誰も世界遺産学部が実践的だとは思ってないだろう。吉村氏の看板だけで、世界遺産をサイバー大で学ぶというちぐはぐな印象を払拭できるのか、みんなとりあえずはお手並み拝見といったところではなかろうか。前段の「教養教育や人格陶冶」、僕も「実践性」を看板とする大学から「教養教育や人格陶冶」を看板とする大学に移ってきたところなので、非常に考えさせられる。

ただ一つだけいえることは、サイバー大学で「人格陶冶」までカバーするのは大変だろうなあということ。
急激な「実践性」の要請の中で、「教養教育」の中身も見失われつつあるのは確かであり、現代的GPなどで、補助金というニンジンをぶらさげて「大学間競争」させてみたところで、まともな目標が設定されてきたとはあまり感じられない。ただもう一方の「人格陶冶」については、ずっと学生と粘り強く付き合い続けることが大事であり、教員が情熱を持って学生とともに大学に泊り込むようなことをするのが、実はもっともいいことなのかもしれないと思う。もちろん教員自身の「人格」に問題があるとちょっと厄介だけど、暗くなったら学生を大学から追い出すのではなく、常にキャンパスが学生を歓迎し、むしろそこに居させるような教育は、なかなかいいことなのかもしれないと思う。と、稚内に赴任した頃の自分を美化してみたりして。

で、サイバーに話を戻すと、実はネットでもできないことはなく、メンターや教員が「泊り込み」で学生とつきあうことができ、学生の側からゼミの「オフ会」(?)をやろうといいたくなるような関係になれればいいわけだ。その意味では、メンターを置くとか、ちゃんと質問に答えるとかいうのは、入り口に過ぎず(むしろこれだとカスサポ的な大変さのほうがばかりが想起される)、どういうバーチャルキャンパスを創造できるかが、成功の鍵を握っているのかもしれない。

Second Lifeは、僕のLet’s Noteでは重たすぎるので、一度入ってみたきりになっているが、ああいう感じでキャンパスを作ったみたらどうなんだろう、とふと思った。

入学者はロトではなくスペックで決めます。

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