インタビュー:池田信夫氏(3)通信と放送の未来:阿部重夫編集長ブログ:FACTA online


池田信夫氏インタビューの続き。

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池田 ニュースやスポーツのように一度に何百万人が見るものや、災害情報などリアルタイム性が必要とされるものは、1対多の通信としてずっと残るでしょう。

一方、放送局側が録画して作ったものを視聴者がリアルタイムで見る必要はないわけです。例えば、NHKの番組の約90%は録画です。長期的に見れ
ば、番組も本や雑誌と同じように、欲しいときに取りに行くオンデマンドが当たり前になる。そうなれば通信と放送を区別することに意味がなくなります。

これは全くその通り。それ以上のことを「放送」というぜいたく品でやる必要はない、といえば、ない。バラエティをぜいたく品でやらなくてもいいだろうといったら、「いやそうはいっても、ぼうっとバラエティ番組でも見たいってときもあるじゃない?」という声が出そうだ。が、それもHDで録画したものを見ればいいし、それならブロードバンドで安上がりに流してもいいのだろう。

ただ制作費をどこからひねり出すか。結局テレビCMというのも、「テレビCMは効果がある」という幻想に成り立っていたのだすれば、その幻想がコンテンツを作り出す原資だったわけだ。徐々にそれが消えていったとき。。。まあバラエティの代わりにFoodies TVを見ることになっても、僕はあまり困らないけど。。タレント以外に困る人はいるかなあ。

速報性はないけどもう少し公共性の高い番組「NHK特集」とか『わが愛しのキャンディーズ』みたいな番組は、どうなるのか。恐らく一斉放送で、ブログでわっと噂になる(キャンディーズはかなり話題になっていた)というような現象は、だんだんなくなって、どちらかというと、WOWOWのジェーミーオリバーのように、じわじわといくケースが増えるということか。いずれにせよ、「紅白」を筆頭とする「はい、国民の皆さん、テレビの前に集まって」という番組の流し方は、なくなってもあまり困らなさそうだし、実際になくなってしまっている。

いまのテレビ画質の映像をオンデマンドで見るには、DSL(電話線を使った高速デジタルデータ通信)では難しいし、何百万人が一斉にオンデマンドで
接続しても耐えられるサーバはありません。パイプの部分は光ファイバーになれば何とかなりますが、サーバがボトルネックになってしまう。

また、事業者側から見ても、IPを使って快適な映像配信サービスを行うには、利用者数に比例した設備増強が必要でコストの負担が重い。事業者曰く、
テキスト主体のサービスとはコスト構造が異なるのだそうです。USENの「GyaO」がインフラコストに苦しんでいることがその証左でしょう。

仮に今後もムーアの法則どおりに半導体技術が進歩しても、日本全国の視聴者がオンデマンドで映像を見られるようになるまでは、5年から10年は掛かるかもしれません。

この視点は、僕の中で欠けている部分なのだが「テキスト主体のサービスとはコスト構造が異なる」というあたりが、きちんと世の中に出てきてもらえると、理解しやすい。大学で学生たちと話していても、Bittorrentについてはあまり学生たちは知らない。が、恐らくこのボトルネックの解消に、BittorrentもLooc(というかGrid?)も少なからず関係しているのだろう。

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