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蘇州大学の中の東呉大学

今年6月、蘇州大学を再訪した。昨年短期留学プログラムを作った後、蘇州で暴動が起きてしまい、プログラムの遂行が難しくなってしまったところ。今後どのように再開をしていくか、有意義な話をすることができた。

蘇州大学の中に、「東呉大学」と書かれた門がある。東呉大学は、現在台北にある大学だ。東呉大学は、1900年にキリスト教宣教師たちにより設立された大学で、国共内戦ののち、1954年に台北で再スタートしている。

蘇州大学

蘇州での説明では、関西学院大学と同じ人が創立者だということであったが、関西学院大学のウェブでの説明は、やや異なる。もちろん同じ教会の人たちが深く関わっており、関連性は深いのだろう。

中国語研修(蘇州大学) | CIEC 国際教育・協力センター Kwansei Gakuin University Center for International Education and Cooperation

前身の東呉大学は本学と同じ南メソジスト教会の宣教師によって創立され、本学創始者のW.Rランバス先生の妹夫婦がその創立に大きく関与しています。

その後残ったキャンパスは、再編を何度か経て、1982年から「蘇州大学」になっている。1900年当時の建物がいくつも残っていた。

「すごい時間割」に授業評価機能

大学生向けの時間割共有サービス「すごい時間割」に、授業評価機能が搭載された。

すごい時間割
【プレスリリース】すごい時間割、22万件の授業に履修者がクチコミを投稿できる「授業評価」機能を公開。満足度や単位取得度などを調査。公開3ヶ月で、国内918大学で利用実績。 │ Labit

今回の授業評価機能のアップデートによって、 授業の満足度、後輩への履修アドバイス等を記入できるほか、出欠の有無、テストの難易度・頻度などをクチコミとして投稿することができます。 大学の授業に対する履修者からのクチコミを集めることで、より良い授業が可視化されることになり、大学生にとって有益な国内最大級の授業情報プラットフォームを目指します。

学生が時間割を自分たちで作り、共有する(一度誰かが登録した科目については、二人目は選択するだけで時間割を生成できるというソーシャル時間割)というサービスに、授業評価がついて、さらにパワーアップというところ。スマートフォンでの利用がメインで、PCからも利用可能。大学が高い導入コストをかけてシステムを導入しても、それを凌駕する勢いで、デファクトのサービスが浸透していくという展開になるのだろうか。

大学自身が実施する授業評価については、いろんなコストをかけて実施しているが、時間がかかりすぎるというのが正直なところ。学生にとっては「忘れた頃に公開」されているという印象だろう。敬和の学生の皆さんには、すごい時間割でいろいろとご意見を書いていただければ、生のご意見として拝見したいと思います。もちろん匿名じゃないので、書きにくいのかもしれないけれど。

Yale大学の広報ビデオ「That’s Why I Chose Yale」

先週のセミナーで、倉部史記さんの講演で出てきた話題。有料セミナーで紹介された内容ではあるが、これはすでに公開済なので、書いてもいいだろう。昨年公開されたエール大学のビデオで、広報担当者が、ミュージカル風にエール大学を紹介している。

倉部さんが昨年のブログで紹介記事を書いている。

東京芸術大学のイベント告知用Webページがすごい : 大学プロデューサーズ・ノート

ハーバード大学と並ぶアメリカの名門、イェール大学のアドミッションズ・オフィスが制作したもの。同大の魅力を、受験生達に知ってもらうための映像なのですが、まさかの全編ミュージカル調という演出が、業界で話題になりました。

しかも脚本、作曲、総合プロデュースを行ったのは、イェール大学を卒業し、実際に同大のアドミッションズ・オフィスで働いているスタッフ。劇中の俳優や歌い手など、制作に関わったスタッフも、ほとんどイェール大学の卒業生で構成されているというこだわりようです。

学生や卒業生のプライドが発揮され、実際の動画の形で現れているというの大変興味深い。自分たちにできることを見つめる上でも、大変参考になる取り組みといってよい。

東京女学館大学が募集停止、と日経が報道

東京女学館大学が学生募集を停止、と日本経済新聞が報じた。大学のウェブページには、まだ何も発表されていない。

東京女学館大、16年3月閉校 ブランド力生かせず  :日本経済新聞

東京女学館大(東京都町田市)が来春の新入生の募集を停止し、在校生が卒業する2016年3月で閉校することが29日、分かった。創設が明治期に遡る名門中学・高校のブランド力を背景にして4年制大学の経営に乗り出したが、大学全入時代を迎える中で学生募集がうまく行かず、累積赤字が約25億円に膨らんでいた。私立大の厳しい経営環境が改めて浮き彫りになった。

比較的余力があると見られている都内の大学でも、学生募集停止を決定する大学が出てきた。東京女学館大学は、都心ではなく町田にキャンパスがあり、立地に優位性があるとはいえないが、「東京女学館」は歴史と伝統のある学校であり、決して無名校ではない。受験偏差値も高いとは言えないが、50前後程度あるようだ。

常見陽平さんが、早速ブログをアップしている。

東京女学館大学閉校が物語るもの 学校経営のプロ登場待望論 : アゴラ – ライブドアブログ

常見氏は、東京女学館大学の学外評価委員でもあり、内情にも詳しいようだ。

学外評価委員会を実施しました。 | 東京女学館大学

キャリア形成支援にも注力している。大学1年の頃からキャリア教育科目を設置する。「死」という、誰にでもやってくる人生に最後についてまで考えることが大きな特徴だ。就業力育成支援にも力を入れており、企業とコラボした多様なインターンシッププログラムなどが注目を集めていた。

この大学における名物ゼミ、西山昭彦ゼミは7年間の内定率が95.4%だという。経営者の本の輪読、毎週のプレゼン、ケースディスカッションなどを行うだけでなく、外部のビジネスコンテストでの発表、企業インタビューなど内容も充実していた。OGの半数以上が東証一部上場企業に進み、それ以外でも成長企業、優良企業と言われる企業に進んでいた。

(中略)

…少人数教育、キャリア教育などに力を入れ、偏差値も48と決して高い方ではないのに、高い就職実績を誇っていた東京女学館大学の閉校は個人的には非常に残念である。

ただ、結局のところ11年連続定員割れ、25億円の累積赤字ということは、市場が評価しなかったということと、経営が上手くいかなかったということなのだろう。これ以上の損失を出す前に撤退するということは、勇気ある決断とも言える。

中堅以下の大学の中で、少人数教育やキャリア教育で実績を上げてきた、東京女学館大学でも、時代の波に飲み込まれたということか。そうだとすればなおさら、心穏やかではいられない大学関係者も多いだろう。

実際のところ、東京女学館大学のウェブページを見ると、2012年から留学、臨床心理士、教職課程など6プログラムをスタートさせるなど新しい取り組みが目立ち、上の記事に出てくる西山先生のゼミのことを紹介するなど、募集停止をうかがわせる雰囲気はない。ひょっとすると現場にとっては「寝耳に水」のニュースだったのではないかと思うほどだ。

常見氏が後半に展開する「プロ経営者」論は、大学教員の多くが一番嫌う類の議論だが、教授会が正しい経営判断ができないのも確か。その意味で自分としては、一概に否定は出来ないと思っている。

今、日本の大学に必要なことは何か?教育の充実、進路指導の徹底だとか、グローバル化だということが言われるが、今日は別な観点で。

それは、経営のプロが大学を担当するべきでは?ということである。学校経営のプロがいなければ、日本の大学は変わらない。日本においては、どちらかというと専門学校の世界などでう呼ばれる人たちはいるのだが、大学においてはまだまだ足りないと言えるだろう。

もちろん、「教育を何だと思っているんだ」という意見は常に起こるだろう。暴走しないように、監視も必要ではある。もっとも、学長よりも教授会が権限を持ちすぎており、決まることも決まらない日本の大学の現状を考えるならば、ここは学校経営のプロを、外部から(それこそ海外から、あるいは民間企業から)連れてくるのも一つの妙案ではないだろうか?

【追記】常見陽平氏から追加エントリー。学内事情が明らかになってきた。

東京女学館大学閉校は「権力の暴走」であり「詐欺」である。 : アゴラ – ライブドアブログ

1)4月21日(土) 全学臨時評議員会・臨時理事会が開催される
議題は「大学の今後について」
ここで、来年度の学生募集停止が可決される

2)4月23日(月) 大学臨時評議会18時~19時
評議会の構成員は、学長(法人理事長、中学高校長を兼務)、事務局長、学長より指名された教員5名(構成員以外の出席:学長補佐)。教員5名は欠席し不成立に。
教員が欠席した理由は文部科学省に提出する「学生募集停止について」の報告書類に評議会開催の日付が利用されることを危惧したためである。
教員は「説明は、水曜日に他の教職員と一緒に聞きたい」との文書に5名で署名して提出した。
翌日、教職員に何も説明してないのに、学長は文部科学省へ募集停止の報告を行った(それは下の4にて質問して、初めて判明した)。

3)4月25日(水) 大学臨時評議会15時~16時半
臨時評議会の招集メールが、24日(火)18時以降に学長から評議会メンバーに届く。
25日(水)に評議会が招集され、「学生募集停止についての意見を聞かせてください」と議長(学長)。
参加者は17時から大学教職員説明会が予定されているのに、評議会を招集して意見を聞く目的を確認。学生募集停止という重要なことについては教授会でも審議するべきではないかと質問した。その回答は東京女学館大学評議会規程4条3項により、「学部、学科、その他重要な組織の設置又は廃止及び学年の定員に関すること」を審議する場は評議会であると説明を受ける。
この臨時大学評議会にて審議し、賛成1、反対5で議決(よって、学長のいう教学側の最高意思決定機関の議決は否決。4月25日)。
学長が「この評議会での議決を文部科学省に報告する」と明言。

4)4月25日(水) 大学教職員説明会 17時~19時30分
文部科学省への届けが4月24日(火)に行われていたことが判明。
直後に学生と保証人に対する郵送・説明会の予定が発表されたところ、反対の意見表明が圧倒的。

5)4月26日(木)大学臨時教授会 18時~20時
学生と保証人に対する説明会の日程の発表。案内状の発送は4月28日(土)と説明。
前日に続き、発送後の在学生への対応を確認しても、具体策はないことが判明。
この臨時教授会から学長補佐は、「25日大学評議会は意見確認をしただけである」と前日の発言とは異なる言明を行ったが、証拠もあるので賛成1、反対5という議決をその場で確認した。
学生募集停止手続きの規程違反との判定を教授会決議。

6)4月27日(金)全学説明会 18時半~22時
小中高大の教職員百数十名が参加。説明後の質問、意見が続出し20時終了を延長し、22時まで実施。その場で、大学教職員は基本的に全員4年後に解雇なのに、学長、学長補佐は対象外だと説明があった。大学以外の小中高の教員から、「初年度納入金が高すぎるのが学生募集を達成できない最大要因なのに、報告書にその記述が皆無。大学の教職員に責任押し付けるのはおかしい」「こんな大事なことを今日知らされて、明日朝全学生・生徒・保護者へ郵送では、次の授業日の対応がとれない」など反対が続出した。が、法人事務局長は、これが最善と強行を宣言した。

引用の出典は不明だが、おそらく学内関係者から提供された情報であろう。学長・学長補佐、あるいは理事会が募集停止を強行した様子がうかがえる。文部科学省に報告した後で、教職員への説明会が開かれているのも、教職員からの厳しい反発を受ける前に、既成事実化を図ろうとしたように見える。

常見氏はまた、「ここ数年学園自体は黒字」だったことも指摘している。大学単体では「黒字化」できていなかったとしても、大学を募集停止するほどまで追い込まれていたとはいいがたいということだろう。この二本目のエントリーを常見氏は、「正しい経営」の必要性を述べて締めくくっている。

東京女学館のこの騒動は、大学の経営と、文科省のお役所仕事に対して考える好材料となりそうだ。

大学には強い経営者が必要であるという私の考えは変わらない。ただ、前提として正しい経営が行われなくてはいけないのだ。そして、第二のこのような事件が起こらないためにも、この大学の募集停止の報告を白紙撤回すべきである。大学の経営を文科省はちゃんと監視しなくてはならない。

20110714 Keiwa Lunch

敬和学園大学で新プログラム「情報メディアプログラム」スタート

敬和学園大学で、今春から、いくつかの新科目がスタートすると書いた。

実はもう一つ新しくスタートするものがある。既存の科目のうち「情報メディア」に関連する科目を履修することで、一定の能力があることを証明する「プログラム」として、「情報メディアプログラム」が4月からスタートする。人文学部一学科で、情報やITとは無縁に見えた敬和学園大学だが、このプログラムはその中では、大きな変化だ。新潟で情報やITといえば敬和が一歩進んでいる、あるいは特色がある、そういう認識を持ってもらえるよう、プログラムの充実を図っていきたい。このプログラムのスタートは、敬和の情報メディア教育全体を変革する「狼煙」のつもりだ。

20110714 Keiwa Lunch

Keiwa Girls

敬和には、従来から「日本語教育プログラム」などの独自認定の制度があったのだが、今回のプログラムはこれに追加する形。所定の科目のうち、32単位を修得することで認定される。現行カリキュラムのままのスタートなので、現在の在学生も認定を受けることができる。ただ現時点では、一戸の演習の単位を含めないと、32単位を積み上げるのは難しいかもしれない。まあ演習の参加者数は少ないので、他ゼミに参加している方でも(国際文化学科以外の学生でも)、時間割の調整がつくなら、どうぞご参加ください(お客さん扱いはしません)。

このプログラムの構想は、1年前からあった。1年前に学内調整用の資料として作ったスライドは以下の通り。提案段階での文書なので、詳細部分まで承認を受けたわけではない。個人的に作成した文書だと理解してほしい。

「副専攻」として情報メディアを学ぶ

敬和学園大学は、「リベラルアーツ大学」を標榜しているが、情報教育は従来「外付け」のポジションで、共通基礎科目の一角に、選択必修科目として置かれてきた。学生の情報リテラシーの向上や一般科目での情報機器、ネットワーク利用が広がる今日、この位置づけは徐々に変化していくべきだという考えも、このプログラムを設置を推進した背景にある。

学生たちにとって、このプログラムの修了証が、何か明るい未来を保証する手形になるかというと、そうではない。どちらかというと、「副専攻」のような位置づけで、情報メディア関連の科目をとらえて、高い意識を持って勉強をするきっかけにしてほしいと考えている。こうした意識と学び、さらにはこれに裏付けられた自信は、学生たちがITやメディアの領域への就職を目指す際の、後押しにはなるだろう。実はいまだに、自分を「アナログ人間」と位置付け、必修科目の単位が取れると、ネットあるいはPCから離れようとする学生がいる。しかもそういっている学生たちは、必ずしも「アナログ」ではない。こうした学生たちの向学心に対して、少しでも刺激になる枠組になればと思う。

どんな科目があるのか

今年度の段階では、新規開講はほとんどないのだが、現在開講されている科目をまとめただけでも、それなりに充実した科目が並んでいる。

情報処理論1、情報メディア論、情報法が一戸の担当。情報法はビジネス著作権検定に対応して今年実施し、初級については18人受験して14人が合格した。

情報処理論1情報メディア論1は、選択必修の初年次科目だが、ソーシャルメディアの利用を全面的に取り入れ、Twitter、Facebook、ブログを活用して展開している。情報メディア論については、既存メディアを含めたメディア環境の変容について、学生とともに調べて学ぶという授業になっている。これらの科目を通じて、ソーシャルウェブの最新事情について実践的に学び、そのメディア論的な意義について、考えを深めることができる。毎年アップデートし、新しいサービス動向について知り、考えることができる科目は、新潟では他にない(というつもりでやっている)。

情報処理論2は、新潟通信サービスの本間誠治先生が担当。ネットワークの基本について学ぶことができる。

メディア英語は、山崎由紀先生と学ぶ英語ニュースの読み方講座といったところ。単に英語を勉強するというよりは、それぞれのニュースの背景まで掘り下げて学ぶことが求められるだろう。履修条件がついているので、英語レベルの低い学生は受講できないようだが、むしろこれぐらいの英語や国際ニュースを理解できる程度の社会常識は備えてほしいと、情報メディアプログラムの側からもお願いしたいところだ。

視覚芸術論は、写真を用いたアート・プレゼンテーションを実践する。担当は吉原悠博先生。新発田市内の写真館、吉原写真館の館主であるとともに、アーティストとしても幅広く活躍されている。

メディア・コミュニケーション論は、新聞社OBの本間正一郎先生が担当。ニュースをめぐるお話が多いが、既存メディアとネットの融合やその課題といった視点でもお話をされているので、学生たちにも人気がある(というのが、学生たちのTweetからうかがわれる)。
現代メディア論は、高谷先生による映像制作の科目。情報管理基礎論は、清水先生によるウェブサイト制作の科目。ということはそれぞれ昨日のエントリーで紹介したところ。

これらに一戸が担当する演習(ゼミ)と、マイクロソフト オフィス スペシャリスト(MOS)関連の科目を加えたものが、4月からスタートするプログラムの全体像。

今後の拡充構想

さらに今後拡充したいもの。お金に糸目をつけずにやるならば、東京や新潟の魅力的な人たちに来てもらい、いろいろ指導してもらいたいのだが、当面は地元を中心に、選択と集中でプログラムの充実を図っていきたい。

一つは資格関係。決して資格至上主義ではないが、MOSと著作権検定だけではちょっとさみしい。文系の学生でも手が届きそうな資格に対応する講座を、来年度から開講できるよう研究と調整を進めている。もう一つは、「発信力」の強化。映像表現とウェブ制作については、今年から科目や担当者を補強した。写真についても吉原先生の講座がある。あとはウェブで検索し、さらに現地で調査して、ブログにまとめるといった、いわば「デジタルジャーナリズム」の領域がほしい。当面一戸自身も、演習などで取組を強めていくつもりだが、できれば経験豊富な方に指導していただく科目を作りたい。イメージとしては、伊藤穣一さんが慶應でやっていた科目だが、これは大学院の科目なので、もう少しレベルを下げるカスタマイズが必要だろう。あと、インフォグラフィクスのような、ビジュアル化に関連した科目も、教えて下さる方がいれば、ぜひ始めたい。プレゼン資料の作成を含めて、恐らくこれからの学生にはとても大事な能力になるだろう。

このほか、インターンシップやスタディツアーなど、対外的な活動の位置づけ。これはこのプログラムに限らず、現地で経験するプログラムの学部教育への導入は、どこでも課題なのだが、本プログラムでも充実をはかっていきたい項目だ。

さて、プログラムの全体像をざっと説明してきた。もちろん欲を言えばきりがないのだが、少なくとも新潟の私立大学のプログラム、しかも「副専攻」のようなプログラムで、これだけ充実した情報メディア関連のプログラムは、他にはないはずだ。しかも、ソーシャルメディアを軸とする新しいウェブの潮流に掉さした科目を充実させているという点にも、ぜひ注目してほしい。構想どおり今後、統合・調整されたプログラムとして進めることができれば、新潟のITやメディアに関連する領域で、敬和生が幅広く活躍できるようになるだろうし、そうなるよう努力していきたい。

情報メディアとリベラルアーツ

ところで、これらの科目群とリベラルアーツとはどういう関係にあるのだろうか。大量の情報がネットワークで行きかい、人々がつながっていく時代にあって、これとは関係なく、教養教育が成り立つわけはない。ネットワーク以前の環境を生きてきた大人たちはともかく、これからの時代を生きる若者たちにとって、ネットワーク社会に対峙できるだけのITリテラシーは、必ず備えるべき教養といってよいだろう。しかもそれらは、「本の読み方」というような、ある程度固定化したスキルではなく、常に変化する環境の中にある。こうした流動的な環境下にあって、情報流通の仕組みを理解し、そこを行きかう情報を読み解き、自らもさまざまな形式で適切に発信し、他者とつながって活動するということは、まさしく現代のリベラルアーツに求められている、最重要課題だと思う。

とここまで書いてみて思い出したのが、前任校稚内北星の設置に関連して、丸山不二夫先生がよく書いていたフレーズ。当時の文書にはよく、「情報メディア教育は現代のリベラルアーツだ」という趣旨の発言が出てきた。検索したら出てきた。

稚内北星の情報教育が目指してきたこと

今ざっとメディアの歴史を駆け足で追って、電信からはじまって、我が国の25年前の 「超大型コンピューター」までざっとみてきました。僕の大学の情報教育の新しい展望を 語る前に、僕らが、これまでどういう関心をもって情報教育を行ってきたかを話させてください。 僕らは、地方の一短大ですが、「最北端は最先端」をキャッチ・コピーに、先進的な情報教育を 展開をおこない、全国的にも評価を受けるようになりました。 最近は、主に2つの関心がありました。第一は、「現代のリベラル・アーツ」として ネットワーク・リテラシーをきちんと学生に教えたいというものです。第二は、高帯域の ネットワーク・マルチメディア環境をつくるということです。

 

「現代のリベラルアート」を重視

最初の、「現代のリベラルアート」ということでは、次のようなことを考えていました。 まず、ネットワークへの自由なアクセスを、技術と環境の両面で学生に保障するということ です。また、メディアの情報を利用するスキルと、内容的には、それを批判的に受容する スタイルを確立すること。同時に、ネットワーク上で情報発信するスキルを育てること。これは、 煎じ詰めれば単なる技術の問題ではなく、表現すべき自己を確立することが重要だということに 行きつきます。そうして、感性の問題もあります。多様な情報を感性的に統合する技術とスキル を重視すること。僕は、「スキル」という言葉をよく使います。情報教育におけるスキルの 重要さを示す一番いい例が、タイピングのスキルだと思います。僕は、タイピングは、 コンピュータを使いこなす上で、非常に大事だと考えているのですが、そうした理解は、 情報教育の世界では、実践的には、必ずしも十分ではありません。たとえば、いつからタイピング を教えるべきかという問題が、あまり議論されているようには見えません。個人的には、 小学生の高学年から、タイピングの練習は可能だと考えています。

また検索の過程で、長崎県立大学の河又貴洋先生の論文「現代教養学としての「情報メディア学」-高等教育におけるリベラルアーツとしての情報メディア教育に向けて-」が出てきた。これまた大変興味深い。

自分自身は、与えられた現場で、担当した科目についてベストを尽くすという仕事しかしてこなかったので、リベラルアーツの中での情報教育の位置づけについては、それほど深く考えてこなかった。ただ時代が変われば変わるほど、「情報メディア」はリベラルアーツの中核に位置してくるような予感はある。それはもちろん、ツールとしての情報機器の操作自体は、大学教育の中では重視されなくなり、本来的な意味での「リテラシー」教育が、主軸となってくるのかもしれないとは思う。しかし、ハード・ソフトともに日進月歩で動く今日においては、「操作」についての習熟度も人それぞれという面があり、これらを含めた形で、「リテラシー」教育が必要になってくるのかもしれない。

しばらくは試行錯誤というか、方向性を考えながら、「情報メディアプログラム」を構築していくことになる。ともあれ、この領域に関心を持ち、ともに学びを深めるとともに、将来ITやメディア領域で活躍することを目指す学生たちが、一人でも多く集ってくれることを願っている。

大学の自由とは「考える自由」:立教大学総長の言葉

「リベラルアーツ大学」である敬和学園大学で仕事をはじめて、5年が過ぎた。いつのまにか入試広報の仕事を任されて数年がたつ。地方の「実学志向」の中で、「リベラルアーツ」の学校が学生やその父兄にアピールするのは大変なこと。自分自身は「実学志向」に近いところにいる人間なので、仕事の中で「リベラルアーツ」をアピールする作業(さらにそれによって成果を出す作業)は、正直かなり骨が折れる。「リベラルアーツ」という言葉は、わかっているつもりでも、説得力のある説明が、なかなかできないのだ。

以下は3月24日に行われた、立教大学大学院の学位授与式における、吉岡知哉総長の言葉。「考える」技法を習得するための訓練体系である「リベラルアーツ」を、立教大学はなぜ重視しているのか。非常に説得力ある説明をされている。

卒業生の皆さんへ(2011年度大学院学位授与式) | 立教大学

では、大学の存在根拠とはなにか。
一言で言えばそれは、「考えること」ではないかと思います。
大学とは考えるところである。もう少し丁寧に言うと、人間社会が大学の存在を認めてきたのは、大学が物事を徹底的に考えるところであるからだと思うのです。だからこそ、大学での学びについて、単なる知識の獲得ではなく、考え方、思考法を身につけることが大切だ、と言われ続けてきたのでしょう。

現実の社会は、歴史や伝統、あるいはそのときどきの必要や利益によって組み立てられています。日常を生きていく時に、日常世界の諸要素や社会の構造について、各自が深く考えることはありません。考えなくても十分生きていくことができるからです。あるいは、日常性というものをその根拠にまで立ち戻って考えてしまうと、日常が日常ではなくなってしまうからだ、と言ったほうがよいかもしれません。
しかし、マックス・ウェーバーが指摘したように、社会的な諸制度は次第に硬直化し自己目的化していきます。人間社会が健全に機能し存続するためには、既存の価値や疑われることのない諸前提を根本から考え直し、社会を再度価値づけし直す機会を持つ必要があります。

大学は、そのために人間社会が自らの中に埋め込んだ、自らとは異質な制度だと言うことができるのではないでしょうか。大学はあらゆる前提を疑い、知力の及ぶ限り考える、ということにおいて、人間社会からその存在を認知されてきたのです。
既存の価値や思考方法自体を疑い、それを変え、時には壊していくことが「考える」ということであるならば、考えるためには既存の価値や思考方法に拘束されていてはならない。つまり、大学が自由であり得たのは、「考える」という営みのためには自由がなければならないことをだれもが認めていたからに他ならない。大学の自由とは「考える自由」のことなのです。
言葉を換えると、大学¥は社会から「考える」という人間の営みを「信託」されているということになると思います。

「スキル」や「技術」に特化した「実学志向」は、大学に「考える」という社会的役割が、もはや期待されなくなってしまったことの表れではないか。この点を、以下の通り強く危惧しているように思う。

しかしさらに考えてみると、大学への不信はもっと以前から存在していたのではないかと思われます。ある時期から、もはや大学には「考える」という役割が期待されなくなったのではないか。
社会が大学に求めるものが、「考える」ことよりもすぐに役立つスキルや技術に特化してきたことはそれを示しているのではないでしょうか。大学について語る場合の語彙も、「人材」、「質保証」、「PDCAサイクル」など、もっぱら社会工学的な概念に変わってきています。
近年、大学の危機が論じられることが多くなりましたが、その際問題になるのは、「グローバル化」と「ユニバーサル化」です。しかし、人間社会が大学に、考える場所であることを期待しなくなっているのであれば、そのことのほうがずっと深刻な危機ではないでしょうか。

このお話は、大学院生を前に話されている。学部生の卒業式では、少し違う内容でお話しされたようだ。

社会が揺らぐ中にあって、それぞれの大学が自ら存続しつつも、あるいは存続するために、特徴を出そうと躍起になっている。その中で「考える自由」、あるいは大学の自由をどのようにとらえるか。さらにはその自由をどのように学生に享受させ、一人一人の未来につなげていくのか。吉岡総長の言葉が、この時代の波をせき止めるパワーを持つのか、それは正直未知数だが、少なくとも「反時代的・反社会的な」発言としては、非常に大きな力を持っているように感じた。

Appleが1月19日「教育イベント」を開催、電子教科書で新たな動き?

Appleが電子教科書事業に大きく踏み込むのか。憶測が広まっている。

iPad Writers

Photo by BarbaraLN

アップル、1月19日に「教育イベント」を開催へ – CNET Japan

同社は米国時間1月11日、報道機関宛てに招待状を送付し、「Big Apple(ニューヨークの愛称)で開催する教育関連の発表会に参加」するよう求めた。発表内容は明かされていない。イベントは、ソロモン・R・グッゲンハイム美術館で開催される予定。

FoxのClayton Morris氏は2012年1月に入ってから、Appleが2011年に教育関連イベントをニューヨークで開催しようと計画していたが、2012年に延期したと報じている。Morris氏は、情報筋らの話として、1月のイベントはAppleの「iTunes University」プログラムに関するものになると述べた。

Apple、1月19日にメディアイベントを開催 電子教科書関連か – ITmedia ニュース

会場がシリコンバレーではなく、教科書関連の出版社が集中している地域であるニューヨークであるというのも、意味があるだろうという見方だ。

最近、日本での電子教科書をめぐる議論を追いかけているわけではないのだが、「アップルに全部持っていかれるぐらいなら日本独自仕様で」というような、日本の出版業界に見られるような動きすらも、見当たらないように思う。単なる不勉強だろうか。高校までの教科書には「検定」があり、その「護送船団」の下で使用されているのであるから、電子教科書に向かうのか、そのときのフォーマットはどうするのか、恐らく行政の意向が強く働くのであろう。高等教育については、高い教科書を学生が買わないというのが問題があり、たとえばiTunesが米国でデファクトスタンダードの地位を確立し、これが日本に流れ込んでくるとするならば、恐らく圧倒的な価格競争力を持つわけで、大きなブレークスルーになる可能性はあるだろう。もちろんアップル以外の別のプラットフォームでもかまわないのだが、ハードウェアではiPhone、iPadが人気を維持し、それと親和性が高いのがiTunesという構造が崩れないとするならば、そして学生に使わせるということを考えると、アップルのプラットフォームに乗っかるのは楽だし、そちらに流れる可能性は高い。

日本の教育界でこの動きに注目している人の割合は、かなり低いと思われるが、実際には日本にもかなり影響のある発表なのかもしれない。とりあえず、19日の発表を待ちたい。

孫正義のデジタル教育が日本を救う  角川SSC新書 (角川SSC新書)デジタル教科書革命

ケルン大学の全学生にiPhoneが配布される

日本では、青山学院大学の社会情報学部で、学生にiPhoneが配布され、話題になっているが、ドイツのケルン大学は、45000人の全学生に配布されるそうだ。

リンク: Köln University to buy 45,000 iPhones for students.

坂東慶太さんから、敬和でもどう?っていう反応をいただいた。
Twitter / keita bando: @shinyai 敬和学園大学も!!ww

敬和の場合には規模が小さいので、実は全学で実施してもケルン大学よりも、青山学院の規模に近い。またちっともパソコンを持ち歩かない学生たちのことを考えると、iPhoneを持たせるというのは、かなり現実的な解決策ではある。

この分野で他大学よりも先に可能性を追求していこうという機運が、もっと学内で盛り上がってくれるといいのだけど。

YouTube、大学チャンネルをまとめたYoutube EDUをスタート

Youtubeが大学の公式チャンネルの「ハブ」となるYoutube EDUをスタートさせた。以前から大学の公式チャンネルというのはあったのだが、それをまとめたということなのか。

リンク: YouTube Blog – 日本.

Earlier this week, we announced the launch of YouTube EDU (youtube.com/edu), a hub for videos from over 100 of our leading university and college partners. Think campus tours, news about cutting-edge research, and lectures by professors and world-renowned thought leaders. There are also 200 full (and free!) courses, in a range of subjects, from some of the world’s most prestigious universities, including IIT/IISc, MIT, Stanford, UC Berkeley, UCLA, and Yale.

100以上の大学が参加しているとなっているが、日本の大学が含まれているかはよくわからない。少なくとも文面には出ていない。

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加藤寛先生、ニコ動に登場

山口浩先生のブログで、加藤寛先生がニコニコ動画に登場していることを知った。

リンク: H-Yamaguchi.net: カトカン、ニコ動に降臨しニコ厨を誘うの巻.

かつて「ミスター税調」といわれた「カトカン」先生は、今も僕らよりも上の世代にはよく知られた経済学者だが、10代の若者にとってどうかわからない。まあその親の世代にはよく知られているということになるかもしれないが。

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