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敬和学園大学の教職課程は、「教員採用×新潟」を目指す学生の堅実な選択肢になるか

敬和学園大学カレッジレポート78号が発行された。表紙はまるりさんが卒業式で答辞を読むシーン。

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巻頭特集では、教職課程の座談会が掲載されている。敬和には、英語と社会(地歴、公民)の教職課程が設置されている。
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自分の担当する科目は教職必修になっているものの、上級学年になってからの関わりは薄い(いや、「デジタル教科書」時代が近づく今、非常に大事だと個人的には思っているのだが)。というのも、教職課程から路線変更した学生がゼミに来ることはあるのだが、教員免許取得までがんばっている学生は、うちのゼミに来ることはほとんどないからだ(別に教職志望者を門前払いしているわけではない)。

ともあれ、教職課程でがんばっている学生たちは、着実に実績を積み上げている。昨年度は公立学校で3名、私立に1名が現役で合格。大規模校に比べるといかにも人数は少ない。しかし少人数の私立大学としては、非常に高い確率で狭き門を突破してくれたということになる。記事を見ると、これまでにも45人が採用になっているそうだ。

教員採用は、教育学部の実績がよいのは当然だし、より一般的にも、地元国公立で、過去にもたくさんの採用者が出ているところが、採用に近いと判断されがちだ。そういう中では、敬和の採用実績はささやかなものに見えるだろう(実際には、各地域の公立学校の倍率や最終合格者数を見れば、そんなにささやかなわけではない)。しかし、新潟県の私立大学として、現在の受験上のポジションに鑑みるならば、入学後学生たちがいかに努力しているか、また、教職員がそれをいかに指導し支えているかが、想像してもらえるのではないかと思う。「教員採用×新潟」を目指す受験生にとって、敬和は堅実な選択肢だといっていいぐらい、今春の卒業生たちはがんばってくれた。

「受験エリート」とはいえなくとも、大学で自らの実力を伸ばし、生徒たちの心に寄りそえる、人間味あふれる教員になってほしい。指導にあたっている教職課程担当の同僚は、おそらくそのような気持ちで、指導や環境づくりに取り組んでいるはず。その努力に敬意を表する意味も含めて、あまり貢献できていない教員として、手前味噌の記事を書いてみた。皆さんが実際にどのように感じられるかは、近くウェブでも公開されるカレッジレポート78号で確認していただけたらと思う。

小さな大学の小さな教職課程で学ぶということ – 敬和学園大学 新潟県新発田市にあるリベラル・アーツ大学

敬和学園大学での4年間を振り返る「敬和ひとりひとりの4年間」、卒業式に合わせて公開

3月20日、2013年度の卒業式が行われた。ここ数年のゼミの活動を引っ張ってきてくれたメンバーが、これで卒業ということになった。私のゼミのメンバーからははじめて、まるりこと丸山るり子さんが、卒業生代表に選ばれ、すばらしい答辞を読み上げてくれた。

かねてから4年ゼミで撮影・編集を続けてきた、4年生のインタビュー、「敬和ひとりひとりの4年間」も完成、卒業記念パーティの席で上映させてもらった。4年間での成長を知る教員から見ると、登場する学生たちの成長した姿を確認できる動画であり、卒業する学生たちにとっては、お互いの思いを共有できる動画になっていたように思う。

前回、この動画への取材協力を求める記事で、こんなことを書いた。

敬和学園大学での4年間を振り返るインタビュー、敬和4年生の皆さんご協力ください | ICHINOHE Blog

敬和学園大学は高い偏差値の学校ではないので、一般受験志向だった学生たちが「誇らしげに」入学するということはあまりない。過去の経験からすると、何らかの「コンプレックス」を感じたまま、入学してくることすらある。自分たち大学側の人間は、こうした気持ちにも寄り添い、受験勉強で培ってこなかったために足りない学力にも向き合い、社会との接点もうまく作りながら、成長の機会を設けているつもりだが、果たしてその成果はどうなのか。例年、卒業する頃には、「コンプレックス」の角も取れて、前向きな気持で4年間を総括し、走りだしてくれる学生も多いので、前向きなコメントが続々出てきてくれるだろうか。

映像全体は前向きなコメントが続いており、敬和学園大学という共同体がきちんと機能して、ひとりひとりがきちんと成長してくれたんだなと、明るい気持ちにさせられる映像であった。1年生の頃の様子を覚えている学生たちのコメントは、とりわけ感慨深いものがあった。敬和学園大学のことをよく知らない人も、知っているつもりの人も、ぜひご覧いただければと思う。

個人的に感じたこと。「バイト」によって成長したという発言が何度か出てくる。大学として、あるいは、教員として、考えさせられる現象であった。もちろん一定程度は、アルバイトが人生の転機になる学生もいるだろうし、たまたま印象に残ったのがアルバイト経験だったのかもしれない。ゼミや教職課程のことを挙げている学生だっている。大学で身についたことは抽象的で言語化しにくいということもあるだろう。

しかしもし、バイトに明け暮れて全然勉強する機会を持たないまま(少なくとも勉強によって成長したという実感を持てないまま)卒業している学生がいるのであれば、それを「自己責任」と割りきってはいられまい。映像中の学生たちのコメントに、アルバイトに関する言及が出てくるたびに、自分はこれから学生たちにどんな働きかけをしていくべきなのか、大学にはどんなことを提案していくべきなのか、いろいろ考えていた。

卒業生の皆さん、おめでとう。これからの活躍をお祈りしています。

東京女学館大学が募集停止、と日経が報道

東京女学館大学が学生募集を停止、と日本経済新聞が報じた。大学のウェブページには、まだ何も発表されていない。

東京女学館大、16年3月閉校 ブランド力生かせず  :日本経済新聞

東京女学館大(東京都町田市)が来春の新入生の募集を停止し、在校生が卒業する2016年3月で閉校することが29日、分かった。創設が明治期に遡る名門中学・高校のブランド力を背景にして4年制大学の経営に乗り出したが、大学全入時代を迎える中で学生募集がうまく行かず、累積赤字が約25億円に膨らんでいた。私立大の厳しい経営環境が改めて浮き彫りになった。

比較的余力があると見られている都内の大学でも、学生募集停止を決定する大学が出てきた。東京女学館大学は、都心ではなく町田にキャンパスがあり、立地に優位性があるとはいえないが、「東京女学館」は歴史と伝統のある学校であり、決して無名校ではない。受験偏差値も高いとは言えないが、50前後程度あるようだ。

常見陽平さんが、早速ブログをアップしている。

東京女学館大学閉校が物語るもの 学校経営のプロ登場待望論 : アゴラ – ライブドアブログ

常見氏は、東京女学館大学の学外評価委員でもあり、内情にも詳しいようだ。

学外評価委員会を実施しました。 | 東京女学館大学

キャリア形成支援にも注力している。大学1年の頃からキャリア教育科目を設置する。「死」という、誰にでもやってくる人生に最後についてまで考えることが大きな特徴だ。就業力育成支援にも力を入れており、企業とコラボした多様なインターンシッププログラムなどが注目を集めていた。

この大学における名物ゼミ、西山昭彦ゼミは7年間の内定率が95.4%だという。経営者の本の輪読、毎週のプレゼン、ケースディスカッションなどを行うだけでなく、外部のビジネスコンテストでの発表、企業インタビューなど内容も充実していた。OGの半数以上が東証一部上場企業に進み、それ以外でも成長企業、優良企業と言われる企業に進んでいた。

(中略)

…少人数教育、キャリア教育などに力を入れ、偏差値も48と決して高い方ではないのに、高い就職実績を誇っていた東京女学館大学の閉校は個人的には非常に残念である。

ただ、結局のところ11年連続定員割れ、25億円の累積赤字ということは、市場が評価しなかったということと、経営が上手くいかなかったということなのだろう。これ以上の損失を出す前に撤退するということは、勇気ある決断とも言える。

中堅以下の大学の中で、少人数教育やキャリア教育で実績を上げてきた、東京女学館大学でも、時代の波に飲み込まれたということか。そうだとすればなおさら、心穏やかではいられない大学関係者も多いだろう。

実際のところ、東京女学館大学のウェブページを見ると、2012年から留学、臨床心理士、教職課程など6プログラムをスタートさせるなど新しい取り組みが目立ち、上の記事に出てくる西山先生のゼミのことを紹介するなど、募集停止をうかがわせる雰囲気はない。ひょっとすると現場にとっては「寝耳に水」のニュースだったのではないかと思うほどだ。

常見氏が後半に展開する「プロ経営者」論は、大学教員の多くが一番嫌う類の議論だが、教授会が正しい経営判断ができないのも確か。その意味で自分としては、一概に否定は出来ないと思っている。

今、日本の大学に必要なことは何か?教育の充実、進路指導の徹底だとか、グローバル化だということが言われるが、今日は別な観点で。

それは、経営のプロが大学を担当するべきでは?ということである。学校経営のプロがいなければ、日本の大学は変わらない。日本においては、どちらかというと専門学校の世界などでう呼ばれる人たちはいるのだが、大学においてはまだまだ足りないと言えるだろう。

もちろん、「教育を何だと思っているんだ」という意見は常に起こるだろう。暴走しないように、監視も必要ではある。もっとも、学長よりも教授会が権限を持ちすぎており、決まることも決まらない日本の大学の現状を考えるならば、ここは学校経営のプロを、外部から(それこそ海外から、あるいは民間企業から)連れてくるのも一つの妙案ではないだろうか?

【追記】常見陽平氏から追加エントリー。学内事情が明らかになってきた。

東京女学館大学閉校は「権力の暴走」であり「詐欺」である。 : アゴラ – ライブドアブログ

1)4月21日(土) 全学臨時評議員会・臨時理事会が開催される
議題は「大学の今後について」
ここで、来年度の学生募集停止が可決される

2)4月23日(月) 大学臨時評議会18時~19時
評議会の構成員は、学長(法人理事長、中学高校長を兼務)、事務局長、学長より指名された教員5名(構成員以外の出席:学長補佐)。教員5名は欠席し不成立に。
教員が欠席した理由は文部科学省に提出する「学生募集停止について」の報告書類に評議会開催の日付が利用されることを危惧したためである。
教員は「説明は、水曜日に他の教職員と一緒に聞きたい」との文書に5名で署名して提出した。
翌日、教職員に何も説明してないのに、学長は文部科学省へ募集停止の報告を行った(それは下の4にて質問して、初めて判明した)。

3)4月25日(水) 大学臨時評議会15時~16時半
臨時評議会の招集メールが、24日(火)18時以降に学長から評議会メンバーに届く。
25日(水)に評議会が招集され、「学生募集停止についての意見を聞かせてください」と議長(学長)。
参加者は17時から大学教職員説明会が予定されているのに、評議会を招集して意見を聞く目的を確認。学生募集停止という重要なことについては教授会でも審議するべきではないかと質問した。その回答は東京女学館大学評議会規程4条3項により、「学部、学科、その他重要な組織の設置又は廃止及び学年の定員に関すること」を審議する場は評議会であると説明を受ける。
この臨時大学評議会にて審議し、賛成1、反対5で議決(よって、学長のいう教学側の最高意思決定機関の議決は否決。4月25日)。
学長が「この評議会での議決を文部科学省に報告する」と明言。

4)4月25日(水) 大学教職員説明会 17時~19時30分
文部科学省への届けが4月24日(火)に行われていたことが判明。
直後に学生と保証人に対する郵送・説明会の予定が発表されたところ、反対の意見表明が圧倒的。

5)4月26日(木)大学臨時教授会 18時~20時
学生と保証人に対する説明会の日程の発表。案内状の発送は4月28日(土)と説明。
前日に続き、発送後の在学生への対応を確認しても、具体策はないことが判明。
この臨時教授会から学長補佐は、「25日大学評議会は意見確認をしただけである」と前日の発言とは異なる言明を行ったが、証拠もあるので賛成1、反対5という議決をその場で確認した。
学生募集停止手続きの規程違反との判定を教授会決議。

6)4月27日(金)全学説明会 18時半~22時
小中高大の教職員百数十名が参加。説明後の質問、意見が続出し20時終了を延長し、22時まで実施。その場で、大学教職員は基本的に全員4年後に解雇なのに、学長、学長補佐は対象外だと説明があった。大学以外の小中高の教員から、「初年度納入金が高すぎるのが学生募集を達成できない最大要因なのに、報告書にその記述が皆無。大学の教職員に責任押し付けるのはおかしい」「こんな大事なことを今日知らされて、明日朝全学生・生徒・保護者へ郵送では、次の授業日の対応がとれない」など反対が続出した。が、法人事務局長は、これが最善と強行を宣言した。

引用の出典は不明だが、おそらく学内関係者から提供された情報であろう。学長・学長補佐、あるいは理事会が募集停止を強行した様子がうかがえる。文部科学省に報告した後で、教職員への説明会が開かれているのも、教職員からの厳しい反発を受ける前に、既成事実化を図ろうとしたように見える。

常見氏はまた、「ここ数年学園自体は黒字」だったことも指摘している。大学単体では「黒字化」できていなかったとしても、大学を募集停止するほどまで追い込まれていたとはいいがたいということだろう。この二本目のエントリーを常見氏は、「正しい経営」の必要性を述べて締めくくっている。

東京女学館のこの騒動は、大学の経営と、文科省のお役所仕事に対して考える好材料となりそうだ。

大学には強い経営者が必要であるという私の考えは変わらない。ただ、前提として正しい経営が行われなくてはいけないのだ。そして、第二のこのような事件が起こらないためにも、この大学の募集停止の報告を白紙撤回すべきである。大学の経営を文科省はちゃんと監視しなくてはならない。

新潟で情報通信学会モバイルコミュニケーション研究会

12月4日に、新潟大学ときめいとで、情報通信学会のモバイルコミュニケーション研究会が開催される。
テーマは、「モバイル・メディア教育の課題」。
モバイルコミュニケーション研究会 | 情報通信学会 -The Japan Society of Information and Communication Research-
【日 時】 12月4日(土) 18:00~20:00
【場 所】 新潟大学駅南キャンパス 「ときめいと」講義室A
新潟市中央区笹口1丁目1番地(PLAKA1・2階)
【テーマ】 モバイル・メディア教育の課題
【司 会】 岡田朋之 氏(関西大学総合情報学部教授)
【報告者】 上松恵理子 氏(新潟大学教育学部非常勤講師・博士研究員)
【討論者】 松下慶太 氏(実践女子大学人間社会学部専任講師)
【概要】 デジタル教科書全導入に向けた動きが日本で始まった。文部科学省は2020年度までに,タブレット端末を一人一台活用できる環境を実現することを公表した。これは,総務省のビジョンと近いものとなっている。今後は,モバイル機能やテキスト特性に沿った新リテラシーが重要となってくる。しかし,教育現場では,子どもとケータイの関係が未だ取り沙汰され,授業実践は蛸壷化し,情報が共有されていない。
 一方,韓国はDMBやIPTV等のブロードバンド環境,モバイルインターネットが普及し整備されている背景もあり,来年度はデジタル教科書が義務化される。そこで韓国との比較を通し,日本のモバイル・メディア教育の現状とその課題を検討する。
【申込先】 事前に学会事務局(下記アドレス)にお申し込み下さい。
kenkyu6@jotsugakkai.or.jp
この日は、新潟ソーシャルメディアクラブの開催日なので、僕は参加することができないが、モバイルメディアに関心のある方、教育に関心のある方、参加してみてはいかがだろうか?教職課程で学ぶ学生は、あまり縁のないトピックだと思うけれども、ぜひ参加するべきだと思う。

個性と創造性を重視した教育を提唱するケン・ロビンソン卿の講演(TED)

Creativity expertのSir Ken Robinsonが、TEDで講演した時の動画。最近見つけたが、最初の講演は2006年に行われ、非常に大きな反響があったそうだ。

こちらがプロフィール。

Ken Robinson | Profile on TED.com

学校教育が子どもたちをいかに型にはめ、才能を殺してしまっているか。個々の才能を生かす、多様性を生かす教育に変わっていくにはどうしたらいいのか。ユーモアを交えながら語っている。

2006年の講演。

「Ken Robinson says schools kill creativity」


2010年の講演。
「Bring on the learning revolution!」。

教育に携わる人はぜひ見るべき内容であろうし、教職課程/教育学部で学ぶ学生にもぜひ見てもらいたい。それと、学校で落ちこぼれたり、コンプレックスを感じた経験のある人にも、面白く見てもらえるかもしれない。翻訳なので少し骨が折れるけれど、非常にユーモアに富んだ講演だ。