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敬和学園大学の集中講義「現代メディア論2」の映像作品を公開(一部):新発田・新潟を題材にした二作品

高谷邦彦先生担当の集中講義「現代メディア論」、2012年後期に制作された映像作品が2本公開されている。この授業は前期後期にそれぞれ集中講義として開講され、期間中に一本の映像作品を作成するというもの。前期は、大学を素材に制作するものだったが、後期は新発田を中心に、学生たちが街に出て撮影・取材して作品にまとめた。

4月に入り、科目登録の時期が近づいているので、今回は2作品を紹介。前期の科目登録の参考にしていただきたい。

1つ目。「新潟うまいもの調査隊(仮)」

この作品は、イタリアン、ぽっぽ焼き、もも太郎、3つの素材を「B級グルメ」の軸でつなげてみようという作品。「インタビュー」「食べる」というパターンでテンポよくまとめてくれた。
学生たちの試食レポが中心だが、県外の人にもわかるような説明を盛り込むとか、「うまさの秘訣」を取材してくるとかすると、もう少し厚みが出て、わかりやすくなっただろうか。
このチームは男子3名で、それはひょっとしたらハンディだったかも。交渉力のある女子学生が1人でも入っていれば、あちこち取材できたかもなあという気がする。

2つ目。「特捜!から寿司最前線」

「から寿司」を提供している、各店舗に突撃し、知る人ぞ知る新発田名物取材してきた作品。短期間で各店舗にアポをとって取材を実現した交渉力は立派であった。最終的に素材が足りなくなってしまって強引にまとめたところはある。構成をしっかり考えて素材を集めておくと、もう一捻りできたかなとは思う。

本当はもう1チーム、新発田市の酒蔵金升酒造を取材した作品がもう1本あり、ほぼ完成しているのだが、4月に突入してしまったので、とりあえず以上2本で公開する。

金升酒造 20130204

今回やってみて、この授業は「総合力」が問われるということが、あらためてよくわかった。そもそも素材をさがせるアンテナが必要だし、取材を進めていく上ではコミュニケーション能力も必要。編集についても、技術というよりは、構成力が必要だ。

取材を通して学生たちは、地域の事をいろんな側面から知ることになる。学生たちが得るものは大きい。まだまだ完成度が高いとはいえないが、学生たちなりの視点で、新発田、新潟など各地の素材をまとめていけば、面白いことができそうだ。

【学生の皆さんへ】
現代メディア論は、前後期とも集中講義として開講され、情報メディアプログラムの対象科目。今年から配当年次は2年になったので、2−4年が科目登録をした上で参加することができる。作品を作ることが目的なので、履修者が増え過ぎない限り、在学生は聴講生として参加することも可能で、単位取得者が再度作品制作に挑戦することも歓迎。

【追記】完成が遅れていた、金升酒造を取材した作品「升酒造の日本酒〜酒へのこだわりと新たな一手〜」が公開された。時間はかかったが、大変見応えある力作となった。

もともと「昔ながらの蔵の風景が絵的によい」という話からスタートした取材だったが、高橋綱男社長の饒舌な語り口にみんな引き込まれ、蔵の風景の映像を生かしつつ、よい作品に仕上がったと思う。メンバーも、Keiwa Lunchのメンバー+芸達者の大竹くんという顔ぶれで、バランスもとれていた。

今回公開された上映作品について、上映と学生たちのトークでつなぐイベントを6/18に予定している。ぜひご参加ください。

社会人向け講座 – 敬和学園大学 新潟県新発田市にあるリベラル・アーツ大学

新発田市オープン・カレッジ 「新発田のお宝・世界のお宝」

2013年6月18日 火 19時00分から20時30分「学生たちが撮ったまちのお宝~学生製作映像上映会~」(会場:新発田学研究センター)

敬和学園大学の情報メディアプログラム、ITパスポート向け新科目開設

4月からの履修科目を検討している敬和生もいるので、そろそろ告知。

敬和学園大学では、昨年から「情報メディアプログラム」をスタートさせている。これに伴い、昨年度も、映像制作の科目「現代メディア論」が始まり、今まで一戸が担当していた「情報管理基礎論」も、清水大輔先生が担当することになった。

Computer Lab in Keiwa College

今年は新しく、従来からあった科目「情報技術資格対策C」を拡充し、ITパスポートの対策講座を開設した。このブログの読者の多くには自明かもしれないが、学生には馴染みがないと思うので、簡単に言うと、IPA独立行政法人情報処理推進機構が実施している情報処理技術者試験の一つで、一番初心者向けのもの。

ITパスポート試験

ITパスポート試験

文系の学生の合格率は30%前後なので、初心者向けとはいえ、それなりにハードルは高い。ただ、これまで「情報技術資格対策」はマイクロソフト製品に関する試験ばかりであったが、ITパスポートは試験問題を実際に解くという部分もあるので、むしろ文系の学生にもチャレンジしやすいという面もあるだろう。

担当は「情報管理基礎論」と同じく清水大輔先生。前期のみの科目で、週2コマの集中講座で合格を目指す。特にほぼ単位を取り切った4年生、就職準備を進めたい3年生に、ぜひチャレンジしてほしい。

20110714 Keiwa Lunch

敬和学園大学で新プログラム「情報メディアプログラム」スタート

敬和学園大学で、今春から、いくつかの新科目がスタートすると書いた。

実はもう一つ新しくスタートするものがある。既存の科目のうち「情報メディア」に関連する科目を履修することで、一定の能力があることを証明する「プログラム」として、「情報メディアプログラム」が4月からスタートする。人文学部一学科で、情報やITとは無縁に見えた敬和学園大学だが、このプログラムはその中では、大きな変化だ。新潟で情報やITといえば敬和が一歩進んでいる、あるいは特色がある、そういう認識を持ってもらえるよう、プログラムの充実を図っていきたい。このプログラムのスタートは、敬和の情報メディア教育全体を変革する「狼煙」のつもりだ。

20110714 Keiwa Lunch

Keiwa Girls

敬和には、従来から「日本語教育プログラム」などの独自認定の制度があったのだが、今回のプログラムはこれに追加する形。所定の科目のうち、32単位を修得することで認定される。現行カリキュラムのままのスタートなので、現在の在学生も認定を受けることができる。ただ現時点では、一戸の演習の単位を含めないと、32単位を積み上げるのは難しいかもしれない。まあ演習の参加者数は少ないので、他ゼミに参加している方でも(国際文化学科以外の学生でも)、時間割の調整がつくなら、どうぞご参加ください(お客さん扱いはしません)。

このプログラムの構想は、1年前からあった。1年前に学内調整用の資料として作ったスライドは以下の通り。提案段階での文書なので、詳細部分まで承認を受けたわけではない。個人的に作成した文書だと理解してほしい。

「副専攻」として情報メディアを学ぶ

敬和学園大学は、「リベラルアーツ大学」を標榜しているが、情報教育は従来「外付け」のポジションで、共通基礎科目の一角に、選択必修科目として置かれてきた。学生の情報リテラシーの向上や一般科目での情報機器、ネットワーク利用が広がる今日、この位置づけは徐々に変化していくべきだという考えも、このプログラムを設置を推進した背景にある。

学生たちにとって、このプログラムの修了証が、何か明るい未来を保証する手形になるかというと、そうではない。どちらかというと、「副専攻」のような位置づけで、情報メディア関連の科目をとらえて、高い意識を持って勉強をするきっかけにしてほしいと考えている。こうした意識と学び、さらにはこれに裏付けられた自信は、学生たちがITやメディアの領域への就職を目指す際の、後押しにはなるだろう。実はいまだに、自分を「アナログ人間」と位置付け、必修科目の単位が取れると、ネットあるいはPCから離れようとする学生がいる。しかもそういっている学生たちは、必ずしも「アナログ」ではない。こうした学生たちの向学心に対して、少しでも刺激になる枠組になればと思う。

どんな科目があるのか

今年度の段階では、新規開講はほとんどないのだが、現在開講されている科目をまとめただけでも、それなりに充実した科目が並んでいる。

情報処理論1、情報メディア論、情報法が一戸の担当。情報法はビジネス著作権検定に対応して今年実施し、初級については18人受験して14人が合格した。

情報処理論1情報メディア論1は、選択必修の初年次科目だが、ソーシャルメディアの利用を全面的に取り入れ、Twitter、Facebook、ブログを活用して展開している。情報メディア論については、既存メディアを含めたメディア環境の変容について、学生とともに調べて学ぶという授業になっている。これらの科目を通じて、ソーシャルウェブの最新事情について実践的に学び、そのメディア論的な意義について、考えを深めることができる。毎年アップデートし、新しいサービス動向について知り、考えることができる科目は、新潟では他にない(というつもりでやっている)。

情報処理論2は、新潟通信サービスの本間誠治先生が担当。ネットワークの基本について学ぶことができる。

メディア英語は、山崎由紀先生と学ぶ英語ニュースの読み方講座といったところ。単に英語を勉強するというよりは、それぞれのニュースの背景まで掘り下げて学ぶことが求められるだろう。履修条件がついているので、英語レベルの低い学生は受講できないようだが、むしろこれぐらいの英語や国際ニュースを理解できる程度の社会常識は備えてほしいと、情報メディアプログラムの側からもお願いしたいところだ。

視覚芸術論は、写真を用いたアート・プレゼンテーションを実践する。担当は吉原悠博先生。新発田市内の写真館、吉原写真館の館主であるとともに、アーティストとしても幅広く活躍されている。

メディア・コミュニケーション論は、新聞社OBの本間正一郎先生が担当。ニュースをめぐるお話が多いが、既存メディアとネットの融合やその課題といった視点でもお話をされているので、学生たちにも人気がある(というのが、学生たちのTweetからうかがわれる)。
現代メディア論は、高谷先生による映像制作の科目。情報管理基礎論は、清水先生によるウェブサイト制作の科目。ということはそれぞれ昨日のエントリーで紹介したところ。

これらに一戸が担当する演習(ゼミ)と、マイクロソフト オフィス スペシャリスト(MOS)関連の科目を加えたものが、4月からスタートするプログラムの全体像。

今後の拡充構想

さらに今後拡充したいもの。お金に糸目をつけずにやるならば、東京や新潟の魅力的な人たちに来てもらい、いろいろ指導してもらいたいのだが、当面は地元を中心に、選択と集中でプログラムの充実を図っていきたい。

一つは資格関係。決して資格至上主義ではないが、MOSと著作権検定だけではちょっとさみしい。文系の学生でも手が届きそうな資格に対応する講座を、来年度から開講できるよう研究と調整を進めている。もう一つは、「発信力」の強化。映像表現とウェブ制作については、今年から科目や担当者を補強した。写真についても吉原先生の講座がある。あとはウェブで検索し、さらに現地で調査して、ブログにまとめるといった、いわば「デジタルジャーナリズム」の領域がほしい。当面一戸自身も、演習などで取組を強めていくつもりだが、できれば経験豊富な方に指導していただく科目を作りたい。イメージとしては、伊藤穣一さんが慶應でやっていた科目だが、これは大学院の科目なので、もう少しレベルを下げるカスタマイズが必要だろう。あと、インフォグラフィクスのような、ビジュアル化に関連した科目も、教えて下さる方がいれば、ぜひ始めたい。プレゼン資料の作成を含めて、恐らくこれからの学生にはとても大事な能力になるだろう。

このほか、インターンシップやスタディツアーなど、対外的な活動の位置づけ。これはこのプログラムに限らず、現地で経験するプログラムの学部教育への導入は、どこでも課題なのだが、本プログラムでも充実をはかっていきたい項目だ。

さて、プログラムの全体像をざっと説明してきた。もちろん欲を言えばきりがないのだが、少なくとも新潟の私立大学のプログラム、しかも「副専攻」のようなプログラムで、これだけ充実した情報メディア関連のプログラムは、他にはないはずだ。しかも、ソーシャルメディアを軸とする新しいウェブの潮流に掉さした科目を充実させているという点にも、ぜひ注目してほしい。構想どおり今後、統合・調整されたプログラムとして進めることができれば、新潟のITやメディアに関連する領域で、敬和生が幅広く活躍できるようになるだろうし、そうなるよう努力していきたい。

情報メディアとリベラルアーツ

ところで、これらの科目群とリベラルアーツとはどういう関係にあるのだろうか。大量の情報がネットワークで行きかい、人々がつながっていく時代にあって、これとは関係なく、教養教育が成り立つわけはない。ネットワーク以前の環境を生きてきた大人たちはともかく、これからの時代を生きる若者たちにとって、ネットワーク社会に対峙できるだけのITリテラシーは、必ず備えるべき教養といってよいだろう。しかもそれらは、「本の読み方」というような、ある程度固定化したスキルではなく、常に変化する環境の中にある。こうした流動的な環境下にあって、情報流通の仕組みを理解し、そこを行きかう情報を読み解き、自らもさまざまな形式で適切に発信し、他者とつながって活動するということは、まさしく現代のリベラルアーツに求められている、最重要課題だと思う。

とここまで書いてみて思い出したのが、前任校稚内北星の設置に関連して、丸山不二夫先生がよく書いていたフレーズ。当時の文書にはよく、「情報メディア教育は現代のリベラルアーツだ」という趣旨の発言が出てきた。検索したら出てきた。

稚内北星の情報教育が目指してきたこと

今ざっとメディアの歴史を駆け足で追って、電信からはじまって、我が国の25年前の 「超大型コンピューター」までざっとみてきました。僕の大学の情報教育の新しい展望を 語る前に、僕らが、これまでどういう関心をもって情報教育を行ってきたかを話させてください。 僕らは、地方の一短大ですが、「最北端は最先端」をキャッチ・コピーに、先進的な情報教育を 展開をおこない、全国的にも評価を受けるようになりました。 最近は、主に2つの関心がありました。第一は、「現代のリベラル・アーツ」として ネットワーク・リテラシーをきちんと学生に教えたいというものです。第二は、高帯域の ネットワーク・マルチメディア環境をつくるということです。

 

「現代のリベラルアート」を重視

最初の、「現代のリベラルアート」ということでは、次のようなことを考えていました。 まず、ネットワークへの自由なアクセスを、技術と環境の両面で学生に保障するということ です。また、メディアの情報を利用するスキルと、内容的には、それを批判的に受容する スタイルを確立すること。同時に、ネットワーク上で情報発信するスキルを育てること。これは、 煎じ詰めれば単なる技術の問題ではなく、表現すべき自己を確立することが重要だということに 行きつきます。そうして、感性の問題もあります。多様な情報を感性的に統合する技術とスキル を重視すること。僕は、「スキル」という言葉をよく使います。情報教育におけるスキルの 重要さを示す一番いい例が、タイピングのスキルだと思います。僕は、タイピングは、 コンピュータを使いこなす上で、非常に大事だと考えているのですが、そうした理解は、 情報教育の世界では、実践的には、必ずしも十分ではありません。たとえば、いつからタイピング を教えるべきかという問題が、あまり議論されているようには見えません。個人的には、 小学生の高学年から、タイピングの練習は可能だと考えています。

また検索の過程で、長崎県立大学の河又貴洋先生の論文「現代教養学としての「情報メディア学」-高等教育におけるリベラルアーツとしての情報メディア教育に向けて-」が出てきた。これまた大変興味深い。

自分自身は、与えられた現場で、担当した科目についてベストを尽くすという仕事しかしてこなかったので、リベラルアーツの中での情報教育の位置づけについては、それほど深く考えてこなかった。ただ時代が変われば変わるほど、「情報メディア」はリベラルアーツの中核に位置してくるような予感はある。それはもちろん、ツールとしての情報機器の操作自体は、大学教育の中では重視されなくなり、本来的な意味での「リテラシー」教育が、主軸となってくるのかもしれないとは思う。しかし、ハード・ソフトともに日進月歩で動く今日においては、「操作」についての習熟度も人それぞれという面があり、これらを含めた形で、「リテラシー」教育が必要になってくるのかもしれない。

しばらくは試行錯誤というか、方向性を考えながら、「情報メディアプログラム」を構築していくことになる。ともあれ、この領域に関心を持ち、ともに学びを深めるとともに、将来ITやメディア領域で活躍することを目指す学生たちが、一人でも多く集ってくれることを願っている。