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中頓別町議が、村上春樹作品に「マジレス」

村上春樹さんの作品をめぐって、急に注目を浴びた中頓別町。自分が2000年代前半を過ごした稚内が属する、宗谷総合振興局管内(旧宗谷支庁管内)の町なので、大変懐かしい。

#かつて「管内」という言葉(支庁の管轄地域を基準にして地域について話すときの言葉?)を聞いて、よく意味がわからなかったが、今でも使われているのだろうか。

村上春樹さん、中頓別町議からの質問状に回答

作家の村上春樹さんが月刊誌「文芸春秋」(昨年12月号)で発表した短編小説「ドライブ・マイ・カー」をめぐり、北海道中頓別町の町議6人が、町への誤解を招く表現があるとして、出版元の文芸春秋に真意を問う質問状を送った問題で、村上さんは7日、文芸春秋を通じて見解を発表した。村上さんは、北海道への親近感を込めて作品を書いたが、単行本化の際に別の名前に変えることを検討しているという。質問状は7日付で送付されたが、文芸春秋はまだ受け取っていない。

小説では、中頓別町出身の女性が車窓から火のついたたばこを外に投げ捨て、主人公が「たぶん中頓別町ではみんなが普通にやっていることなのだろう」と思う場面が描かれていた。

宗谷

地図を見ていただくとわかるが、中頓別は宗谷の中では南側にあり、稚内から100キロ以上離れている。100キロというのは、稚内感覚ではそんなに遠くはないのだが。
ゼミ合宿を、ピンネシリオートキャンプ場で行い、敏音知(これでピンネシリと読む)岳にも登ったこともあった。大きな商業施設はほとんどないが、オホーツク海から少し内陸に入った場所にあって、鍾乳洞があり、砂金採りもできる、静かないい町だった記憶がある。

キャンプ | 中頓別町

個人的には、タバコの車からのポイ捨てを、中頓別でよく見かけたということはない。しかし北海道全般で、窓から投げ捨てはもちろんのこと、扉を開けて灰皿の中にたまった吸い殻を外に捨てる人を、何度も見たことがある。北海道に限らず、人口密度が低い場所では、他人の目が気にならない場所で、こうしたモラルの低い行動が一定割合で見られるということだろう。こうした一般的な状況認識が、たまたま耳に残っていた中頓別という地名と結びついて、今回のようなシーンとして登場しても、さほど違和感はない。しかも今回問題となっている、「たぶん中頓別町ではみんなが普通にやっていることなのだろう」部分は、登場人物の推測にすぎない。

しかし中頓別の一部町議は、これが許せないということで、質問状を送りつけるといういわば「マジレス」を行った(厳密にいうと、レスではないか)。町の評判を著しく害するということなのだろうか。自分だったら作品から消してもらうよりは、せっかく著名作家が「中頓別」を登場させてくれたので、これをネタにして、「実際には喫煙率が低い」とか、あとなんだろう、街の知名度をあげるような使い方をさせてもらう。いやひょっとすると、この「質問状」自体が、町の知名度をあげるための「炎上マーケティング」のような、高等戦術なのだろうか。

自分自身は作品を読んでいないが、小説の中身まで踏み込んで、このような批判をすることは、正直「無粋」だと思う。フィクションの中での取り扱われ方について、町議のような公共的立場にある人が介入するというのは、正直やり過ぎだろう。
しかし「無粋」だろうと「マジレス」だろうと、町の評判は守りたいというのが、質問状を出した人たちの気持ちなのかもしれない。ソーシャルメディアは、世間にたくさんあるこの手の「無粋さ」を可視化した。子連れの家族に舌打ちする大人の無粋さも可視化されたし、「子育てに冷たい社会」んついての議論の中でも、さまざまな「無粋」な意見が可視化された。静かな町中頓別の人たちは、ここまで大事にするつもりもなかったのかもしれないが、結果的に「無粋さ」をさらすことになった。評判はあまり守られなかったような気がするが、(少なくとも短期的には)知名度はあがったかもしれない。

ちなみに、中頓別の隣には、クッチャロ湖で知られる浜頓別町があり、頓別川という川が流れている。「トンベツ」というのは、アイヌ語の「ト・ウン・ペツ」から来ており、「沼に行く川」という意味になるようだ。

中頓別町トップページ | 中頓別町

浜頓別町ホームページトップページ

暴風雪で稚内が「陸の孤島」に

今日の昼間、元同僚の安藤先生から以下のTweetが流れてきて、驚いた。

え、そんなことあるのか、と思ったが、やはりレアな出来事のよう。90年代、まだ稚内北星短大だった時代に、似たようなことがあったようだが、僕がいた時代にはそこまでのことはなかった。

さいほくネットに、荒れ狂う暴風雪の様子が、動画で公開されている。

【ぷちコミ】今日の稚内は陸の孤島。 (さいほくネット)

稚内に通じる交通網はどこも通行止めになっていて、稚内市内の都市機能もマヒしたようだ。いろいろ検索してみると、コミュニティFMのFMわっぴーがかなり細かく情報を出していたことがうかがえる。市民や各機関のTweetでもさまざまな情報が共有されていたことが分かる。

さて完全に「陸の孤島」となった稚内。これだけの事態ならば、さぞ大きく報じられたかと思い(実際、本州でこんなことがあったら大騒ぎだ)、検索してみると、Google検索にはなにも引っ掛からない。北海道新聞のウェブを見てみると、大雪に関する記事が出ていた。

道内大荒れ 交通網寸断-北海道新聞[道内]

道内は低気圧が急速に発達しながら通過している影響で、15日朝から日本海側を中心に風雪が強まった。16日朝にかけて日本海側などで局地的な大雪、太平洋側やオホーツク海側では強風になるなど、全道的に荒天となる見通しで、札幌管区気象台は警戒を呼びかけている。

 

同気象台によると、15日正午までの12時間の降雪量は上川管内幌加内町で24センチ、同管内上川町層雲峡で21センチ、宗谷管内中頓別町で18センチ。旭川市は8センチ、札幌市は4センチだった。最大風速は襟裳岬で22・5メートルを観測した。

 

この影響でJRは午後1時現在、学園都市線の一部で運転を見合わせているほか、特急など19本が運休や部分運休し、約2千人に影響が出た。旭川市の東旭川駅構内では雪で線路のポイントが切り替わらなくなるトラブルがあった。

 

ハートランドフェリーは奥尻―江差、稚内―利尻・礼文の計12便、津軽海峡フェリーは函館―大間の2便が欠航。

 

というわけで、道内全域で大荒れであったこともあるのか、稚内のあらゆる機能が止まってしまったというニュースは、現時点では道新ですら報じていないようだ(ちなみに道新は稚内支局がある)。

そんな中コミュニティFMのFMわっぴーが活躍、わっぴーはおりしも、念願の出力アップを実現し、近々出力50Wになるそうだ。宗谷岬あたりまでカバーするにはたしかにこれぐらいの出力が必要になる。今回の暴風雪は、まさに大出力で市内全域をカバーする必要性を、タイミング良く示した形となった。

またTwitterも力を発揮した。一次情報は大手のメディアからはほとんど報じられなかったが、わっぴーが活躍し、それを補完する形でTwitterを通じて情報が共有された。日本のニュースで、大手メディアがカバーできないことなどないかのように思われがちだが、実は稚内に限らず、離島などでもカバーされていないニュースは多いはず。地域メディア+Twitterにより、この機能が補完され、コミュニティ内部はもちろんのこと、外側との情報共有も、可能になっているように思う。