敬和読書同好会

敬和学園大学でも読書同好会があるというので、今日メンバーの写真が公開された。今年新しいサークルとしてスタートしたらしい。たぶん以前にも存在していたのだと思うが、新しく立ちあげられたということだろう。

20120516読書同好会

本を読むという営みは、それ自体個人で行われるものであるが、同じ分野の本を読む人たちのグループが、多重に編成されていくというのは、大学生活を確実に豊かにしてくれるはず。このサークルの活動は、もっと評価されるべきだし、情報の発信もしていってほしいと思う。

ちなみに僕のゼミは今学期、各学年ともに藤代裕之「発信力の鍛え方」を読んでいる。3年生はコグレマサト・するぷの「必ず結果が出るブログ運営テクニック100 プロ・ブロガーが教える“俺メディア”の極意」も、並行して読み始めた。ゼミはオープンなので、このテーマで勉強してみたいという人は、ぜひ参加してほしい。

ゼミの学生が、まずはネットの使い手として一人前となり、さらに発信力を備えたブロガーになるところまで、育っていってほしいものだと思う。

本を読むという営みを学生の自主的な団体がサポートしようというのは、大学のゼミがこうした需要に応えきれていないということかもしれないが、学生同士が集まって、ああでもないこうでもないと語っているのだとすれば、きわめて健全なこと。こうした学生たちの活動からフィードバックを受けて、大学教育の中身が変わっていってもいいだろうし、逆に大学教育が自主的に読む題材を提供してもいいんじゃないかと思う。かつて、ゼミで勉強したのをきっかけに、法学部なのにマックス・ヴェーバーやニーチェを友人と読んでいたのを思い出した。

『保護者のためのあたらしいインターネットの教科書』発売:一戸も執筆に参加

一般社団法人インターネットユーザー協会 (MIAU)の、『保護者のためのあたらしいインターネットの教科書』が発売された。

Innocent girl on laptop

Photo by PictureYouth

若年層のネット利用が広がる中で、保護者が理解しておくべき項目を、わかりやすくまとめたもの。

東浩紀さん、西田宗千佳さん、小寺信良さんといった執筆陣とともに、自分も参加させていただいた。

MIAU : 公式サイト

 

西田さんのアカウントは、@mnishi41 が正しいようだ。

岡田朋之・松田美佐編『ケータイ社会論』(有斐閣選書)

ケータイを通して現代社会を学ぶ、主として社会学系教員からなる入門書。2002年の『ケータイ学入門』の全面リニューアルという位置付けだ。「社会とケータイのかかわりについて、できるだけ多様な側面から光を当てよう」という趣旨での改定。執筆陣には、新潟大学から、博士研究員の上松恵理子先生、人文社会・教育科学助教の吉田達先生が加わっており、お二人から献本いただいた。どうもありがとうございます。

「ケータイ社会論」

全体に目を通すに至ってはいないが、目次と、編者のお一人関西大学岡田朋之先生による、第一章を読んだところで、雑感を書いておく。

この本では、「ケータイ」という言葉により、携帯「電話」としてではない多能な側面を表現している。大変興味深いのは、IT、情報化、若者文化、青少年保護、教育といったセクターで、それぞれの(業界の?)立場からケータイが毀誉褒貶にさらされてきた、という見方だ。これに対して本書では、「ケータイをはじめとする情報メディア」が、これらの各領域それ自体を揺るがしている(恐らく教育分野が念頭にある?)中で、いわば部分最適ではなく、トータルな最適化、総合的視点の必要性を強調している。

Say goodbye...

Photo by Cheo70 on Flickr.

実際この本の提示するトピックは多様だ。全体を貫いているのは、「社会的存在としてのケータイ」「当事者の視点」の二つの視点。ケータイは、技術的側面ばかりが注目されがちだが、「さまざまな立場の人々がさまざまな思惑のもとにかかわることで具体化しているもの」であるという意味では、社会的存在であるということ。この視点が一つ目。二つ目の「当事者」というのは、送り手や売り手ではなく、利用者の目線ということ。利用者の目線で見たときには、ケータイをめぐるさまざまな領域の実情が見えてくるということだろう。

章建てとしては、メディアとしてのケータイ、さらには、普及や多機能化に至るケータイの歴史といった、オーソドックスな記述に加えて、コミュニケーション、自己意識、身体感覚と言った側面、家族コミュニケーションのあり方、ケータイと学校教育という側面にも光を当てる。教育とケータイ、もう少し広げて、教育と情報機器、というのは、現在も微妙な緊張関係をはらんでいる。大学で同僚と話していても、電子機器やネットへの理解がネガティブなイメージに固まっていて、なかなかうまく話を進められないことは多い。まして初等中等教育では、こうした緊張関係は現在も非常に強いと聞くし、まさしくこの本の取り組むべき肝の部分だろう。第7章は新潟大学博士研究員の上松恵理子先生のご担当。

終盤はさらに視点を広げ、ケータイがもたらすネットとリアルの交錯(たとえばARなど)、ケータイと監視社会、流行や風俗上のアイテムとしてのケータイ、などのトピックが登場するほか、海外のケータイ事情について、11章で韓国、フィンランド、ケニアが取り上げられている。「監視社会」が新潟大学吉田達先生のご担当。

全体を通読してはいないのだが、印象としては、「社会的存在としてのケータイ」をさまざまな側面から分析するにあたり、ケータイや情報化社会のネガティブな側面にも一定の配慮をしてはいるものの、ことさらに不安をあおる立場には与することなく、ある種の中立性を保っているように感じる。こうした「入門書」が、メディアやネットに比較的ネガティブな立場をとる「文系」の大学・学部の教育課程に導入されていくならば、徐々に大学の教育課程にもよい変化がもたらされるのではなかろうか。

ケータイ社会論

音楽プレーヤー、読書端末、財布としての機能まで有し、日常に欠かせないものとなった「ケータイ」は、私たちのコミュニケーションや社会の変化にどのように関わっているの...

販売価格: 2,310 円 (2012/5/21 19:04 更新)

販売店舗: 楽天ブックス

平和博『朝日新聞記者のネット情報活用術』(朝日新書)

朝日新聞編集委員の平和博さんの新刊。『月間ジャーナリスト』という雑誌で連載された「新人記者のためのネット取材講座」の現行が元になっていて、いわば新人記者に向けたネット利用指南なのだが、「デジタルネイティブ」ではあるものの「発信者」としては未熟な大学生、あるいは一般のネットユーザに対しても、非常に示唆のある内容となっている。

本書では、梅棹忠夫『知的生産の技術』を始めとする「情報の扱い方」についての過去の著作を例にとりつつ、本格的なネット時代でにあわせてこれらノウハウにもアップデートや新しい基礎知識が必要になってきたとし、その新たな能力を総称して「ネット力」と称している。その上で「ネット力」を、「収集」「保存」「確認」「編集」「発信」「共有」「安全」の7項目に分けて説明している。

普段から、ソーシャルメディアを含むネットを使いこんでいるユーザであれば、さほど新しい情報は出てこないのだが、大学で教えている立場からすると、整理の仕方は非常に参考になる。その中でも、Wikipediaを含む「ネット情報」の確かめ方に関する「確認」の項目は、学生はもちろんのこと、普段何気なく使っている大人にも役立つノウハウである。さらに、情報のまとめ方(編集)には、新人新聞記者を意識して、ウェブと紙の違いを踏まえた文章の書き方が書かれている。

全体的には、コグレさん・するぷさんの「プロブロガー」とは異なり、どちらかというと、藤代さん「発信力」に近い内容かもしれない。情報を収集・発信・共有といった全プロセスについて、網羅的にカバーしているのは、この平さんの本だろうか。いずれにしても、ソーシャルメディアやブログ、いやもう少し広く、メディアの世界に関心をもつ大学生は、この三冊、是非読んでみるべきだろう。

「村上信夫のおそうざいフランス料理」:家庭で楽しめるフランス料理を紹介

帝国ホテル総料理長だった村上信夫氏。かつてはNHKの料理番組でも活躍していた村上氏が、家庭でも楽しめるフランス料理を紹介した。村上氏はすでに数年前に亡くなっているが、NHKでときどき昔の映像が流れることがある。個人的には、稚内に引っ越す直前に、職場の企画で帝国ホテルで食事をする機会があって、そのときに村上氏が最後にご挨拶に見えたことをよく覚えている。

このは、かつて稚内時代に譲り受けた一冊なのだが、読むだけでも大変面白いので、今でも蔵書として我が家に生き残っている。この春休みの在庫一掃作業で、古いをかなり処分しているのだが、それでもこれだけは手元に残そうかと。

村上信夫のおそうざいフランス料理

以前「かきのクリームスープフランス風」というのを試してみて、濃厚でとてもおいしかったので、また試してみたいと思っている。「家庭でも楽しめる」ことを意識しているので、お店で食べるフランス料理のように、凝った食材や道具を使わないようにしている一方、70年代の「家庭料理」なので、それなりに手のかかる作り方が多いようにも思う。

「ムック」ではあるのだが、Amazonで調べてみたら、古書で結構いい値段がついていた。

増田雅史・生貝直人『デジタルコンテンツ法制』

昨日新宿東口の紀伊国屋書店で見かけて、すぐに買ってきた一冊。

財団法人デジタルコンテンツ協会での研究活動をベースにして、研究会メンバーのお二人がまとめたもの。ちなみにお二人ともTwitterでも早くから発言をされているし、クリエイティブコモンズジャパンでも、早くから活動されている。

デジタルコンテンツ法制

I,II章は増田さんが担当。第I章で著作権法を解説したあと、第II章でデジタルコンテンツ法制の変遷を、1996年以降の第1期、2001年以降の第2期、2006年以降の第3期に分けて解説している。自分自身、敬和に移ってきたのが2006年で、それ以後デジタルコンテンツ法制の変遷を、詳細にまとめる作業からは離れてしまっているのだが、それがまるまる第3期ということになる。2006年以降は「コンテンツ法制・通信法制のリフォーム」という小項目となっている。

第III章は生貝さんが担当。2010年代の動きをまとめている。ブロッキング、モバイルコンテンツとフィルタリング、ライフログ、行動ターゲティング広告など、おなじみのトピックのほか、生貝さんが昨今別に出版された「共同規制」に関するトピックも含まれていて、盛りだくさんだ。

生貝さんのブログには、随分前に告知が出ていた。

本が出ました:『デジタルコンテンツ法制』 – 『情報社会と共同規制』ブログ

ちなみに生貝さんが別途出版された『情報社会と共同規制』は、テレコム社会科学賞の奨励賞を受賞している。

第27回「テレコム社会科学賞」受賞論文:TAF

情報社会と共同規制: インターネット政策の国際比較制度研究

ダン・ギルモア「あなたがメディア! ソーシャル新時代の情報術」

今回大阪出張の際に(重いけど)持っていった本。ダンギルモア(Dan Gillmor)さんの「Mediactive」の翻訳。翻訳したのは朝日新聞編集委員の平和博さん。
まだ1章までしか読んでいないが、非常に興味深い。

新聞を読ませて、ちゃんとしたリテラシーを育てろ。今の学生たちはネットばかりやっていて、活字を読まないからダメなんだ。同世代より上の人たちと話していると、そんな話はよく出てくるのだが、「ちゃんとしたブログを書かせろ」とか「Twitterでの効果的な発信方法を指導しろ」とか「Facebookでは、どんなときにシェアをして、どんなときにいいねを押すべきか、反射的に行動しないように指導しろ」とか、そういう声はあまりあがらない(Twitterでヤバイことを言いださないように静かにさせろ、という圧力を、最近感じないこともないが)。

そのような危惧は、全く外れているわけではないのだが、もはや受信力を鍛えるだけでは不十分。自ら情報発信し、インタラクティブなやり取りの中で、信頼に足る情報も得るというプロセスを、構築する必要がある。学生たちや同僚など同世代以上の人たちにも、よくこんな話をするのだが、なかなか通じない。どちらかというと、「わたしそんなに暇じゃない」というような反応が多いような気がする。

本書は、既存メディアの存在が揺らぐ中、消費者もただ受け手としているのではなく、「メディアアクティブ」となって、働きかけながら新しい地平を作るべきだとし、その方法を解説している。まだその「解説」のところまでは読み進んでいないが、非常に実践的に、TwitterやFacebookなどソーシャルメディアを用いて、「行動する消費者」として活動していくべきかが書かれているようだ。

原武史『震災と鉄道』 (朝日新書)

今日、日帰りで東京まで行ってきた道すがら、読み終えた本。アマゾンのレビューは今のところ、なかなか厳しい。

日本政治思想史が専門の原先生による、鉄道の話。もちろんかなりの「鉄分」を感じさせるのだが、それだけではない。被災した三陸地域の鉄道が、いまどのような扱いを受けているか。これまでどのような扱いを受けて、利用率の低い路線になってしまったか。
一方新幹線のネットワークを広げる中で、日本が失ったものは何なのか。

「非鉄系」の自分は、JR東日本の営利追求を批判する姿勢を、当初割り引いて読んで始めたが、次第に「鉄道を通して見えるもの」がわかるような気がしてきた。山田線、三陸鉄道、気仙沼線などに乗ってみるのはもちろん、北海道の廃線跡も、ぜひ訪れてみたいと思った。情報系の研究者や企業人には、鉄系の人が非常に多く、自分には提供できる話題がなかったのだが、この本をネタに共通の話題ができそうだ。

アマゾンのレビュアーたちが述べるとおり、公共的な政策としてどこまで現実的なものになりうるのかは、よく検討が必要だろう。しかしこの「鉄系」の発想には、拡大路線が望めない日本が、効率化のために地方を切り捨てるのではなく、地方も含めて活性化させ、身の丈にあった幸福を追求するためのヒントが、隠れているように思った。
震災を切り口としながら、基本インフラとしての鉄道をどのように支えていくべきなのか、非常に示唆に富む一冊。

「鉄学」概論―車窓から眺める日本近現代史 (新潮文庫)

個人向け電子書籍作成サービス「パブー」

paperboy&co.が、個人向け電子書籍作成サービス「パブー」をスタートさせた。

ブクログのパブー | 電子書籍作成・販売プラットフォーム (by shinyai)

「パブー」は、ウェブ上で電子書籍の作成・公開・販売が行えるオンラインサービス。アカウントを作成することで無料で利用できる。サイト上の作成画面から、本のタイトルやカテゴリーなどを決め、ページを追加してテキストや装飾、画像などを編集していくことで、電子書籍が作成できる。
 

作成した電子書籍は、「パブー」のサイト上で公開できる。また、EPUBおよびPDF形式のファイルも自動作成され、iPadやKindleなどの電子書籍リーダーでも閲覧できる。
 

書籍を公開する際には無料または有料を選ぶことができ、有料で販売する場合には10円~3000円の販売価格が設定できる。販売価格から手数料を差し引いた70%が作者の報酬となる。無料で読める試し読みページの分量も設定できる。

作者が70%取る仕組みは、アマゾンがKindleで導入している印税率と同じということなのだろうか。

個人の電子出版がこれで一気に加速するのかどうかはよくわからない。だが、有料のオプションも選択できる、個人向けの電子出版というのは、画期的なサービスといっていいだろう。今後対応する予定として、以下のような項目が挙げられている。

    *  複数人で本を編集できる機能
    * ブログからのインポート
    * 本へのタグづけ機能
    * クレジットカードでの本の購入
    * iPad アプリ・表示最適化
    * iPhone アプリ・表示最適化
    * 携帯電話対応
    * Amazon DTPへの登録代行
    * iBooks storeへの登録代行

ここまですべて対応したら、書き手だけでなく読み手の注目も集まってくるだろう。その時にどこまでコンテンツがそろうかが、このサービスにとってはカギになりそうだ。

ドン・タプスコット「デジタルネィティブが世界を変える」

「いまどきの若い者は。。。」という冷ややかな態度で、ネット世代を見るのではなく、企業、社会、学校、家庭、政治などにどんな影響力を与えているかを知り、彼らに有効にアプローチするべきだとと説く一冊。

原題は「Grown Up Digital – How the Net Generation is Changing Your World」。



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