敬和学園大学のLIPDUB、撮影終了:デレク・シヴァーズ 「社会運動はどうやって起こすか」を思いだした

今日敬和学園大学で、Lip Dubの撮影が行われた。Lip Dubはいわゆる口パクによる、勝手プロモーション動画。最近、最後にプロポーズが行われる動画がかなり話題になったので、その際にLip Dubという言葉を耳にした方も多いだろう。

これはステキ!世界初のLip Dubパフォーマンスによるプロポーズ[動画] | インターネット・インバウンドマーケティング ブログ

このLip Dub、実は世界中の大学で、キャンパス内を紹介しながら撮影された作品が作られ、公開されている。

敬和でもLip Dubをやろうという話題が出たのは、今年に入ってからだっただろうか。年度をまたいた計画であったが、何度も行われたミーティングのほか、Facebookグループでもやり取りが続き、数度にわたる昼休みリハーサルを経て、今週ついに本番撮影が敢行された。自分も出演するつもりであったが、最終的に本番撮影が一週延期され、出張先の中国で撮影の様子を垣間見るだけになってしまった。

ただKeiwa Lunchの配信をやっているゼミの学生たちが、一戸の写真の入ったボードを用意して、それを持って踊ってくれたので、写真だけで参加する形になった。遠足に行けなかった友達の写真扱いだ。

Source: instagr.am via Shinya on Pinterest

 

先ほど今日撮影された動画の、最初のバージョンを見たが、非常によくまとまっていて、驚いた。参加している各サークルなどがギリギリまで調整して準備していたこともあるのだろうが、なにより参加者たちが楽しそうに笑って参加している様子が、とてもよかったと思う。

2年から編入してきて今年3年にあがった学生が、Twitterで、「Lipdubの動画見て、なんか涙出てきちゃった。編入してきて、本当に本当にほんっとーに良かった。こんな温かくて素晴らしい大学はありません!」と書いていた。彼女が編入するときの面接をよく覚えているので、このTweetを見る日が来たことを、とてもうれしく思った。と同時に、彼女からそのような言葉を引き出した、今日の撮影の現場に、自分がいられなかったことを、つくづく残念に感じた。

さてこのプロジェクトが今日ここまでたどり着いたところで、自分が思い出したのは、TEDで行われた有名なプレゼンテーション、デレク・シヴァーズ 「社会運動はどうやって起こすか」。最初の「フォロワー」の大事さを解いたプレゼンテーションだ。以下に字幕つきの動画を貼り付けておく。

今回のプロジェクトで、一人目に「踊った」リーダーがayaco先生なのは間違いないのだが、二人目、最初のフォロワーは誰なのか。今となってはよくわからない。少し時間はかかったけれども、じわじわと多くの人々がプロジェクトの趣旨を理解し、アイデアを出し、準備をして、今日の本番に結びついた。きっと何人ものメンバーが、「二人目」を自認し、ayaco先生とともに踊りはじめていたに違いない。敬和でともに学ぶ仲間たちとの濃密な人間関係を愛し、そのための場所としての小さなキャンパスを愛して、今日の撮影にみんな一致団結して「踊って」いるのはよくわかった。ayaco先生の「マキコミ」のうまさはもちろんすごいのだが、学生たちの「マキコマレ」もなかなかのもの。フォロワー(追随者)となるノリのよさ・前向きさも、小さな大学を盛り上げていく、大きな要素になるのだと思う。「断る力」も大事なのだが、「マキコ」まれる、ノリのよさのほうが、若いうちは大事なのではないか。

実学・資格志向の強まる中、大学、とりわけ、地方にある大学は、直接的な「実学」たることを求められる傾向にある(専門学校への進学率の高い地域は特にその傾向にある)。その中で、キャンパスの「自由」なるものが軽んじられている部分もある。学生たち自身も、「資格を取って何とかチャンスをつかめ」という、世知辛い世の中からのプレッシャーにさらされている。しかし、今日の撮影で多くの参加者が見せた表情は、そういう社会的な要請と対立はしないが、全く異なる次元にある、敬和学園大学の「自由な空気」「自由な雰囲気」の重要性を、示唆しているように感じた。この「空気」「雰囲気」をきちんと定義できるわけではないし、すべての構成員が「空気」「雰囲気」を共有しているわけではない。むしろ今回のムードは、ayaco先生のパーソナリティによって、できあがった部分が大きいかもしれない。ただひょっとすると、大学が時流に流されず、大事にし、不足があれば補ってでも、発展させていくべきものが、今日の撮影の中にあるのではないかと思うし、この「空気」「雰囲気」を、新潟で学ぶ学生たちに提供できることの意義を、再確認すべきなのだろう。

今日撮影した映像は、これからさらに編集した上で、コンテストへの出品を計画しているようだ。結果がどうであれ、参加者の皆さんが共有した「思い」が、一番大きな成果であったのではないかと思う。