大学時代はSNS観の切り替え時期:就活生のFacebook「のぞき見」について

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(タイトルを一部変更。「大学生」→「大学時代」に)

ソーシャルメディアを利用した就職活動、「ソー活」の一側面。企業側が学生のFacebookをのぞくことに対して、批判の声があがっているという、j-castの記事。

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Photo by caffeineslinger.

「本音書けないSNSなんて…」 就活生のFacebook「のぞき見」に疑問の声 (1/2) : J-CASTニュース

「就活生の素を知るため、学生のFacebookを覗く」――こんな動きが企業の間で広まっているが、インターネット上では批判の声があがっている。
若者の間では友人などとの交流のために使われることが多く、FacebookをはじめとしたSNSにはプライベートな空間というイメージがあるが、就活に影響してくるとなると、本音を言えない場所になっていくのではないかと懸念されている。

「公開されているけど(公開されていたとしても)、気分はプライベート」というSNS観は根強い。これには2種類あって、1.リアル接続型プライベート限定利用、2.バーチャル匿名利用、に分けられるのではないか。主としてFacebookに広がっているのは1のタイプだと思うが、2の世界観が、Facebookでも展開されていることもなくはないだろう。

1のタイプは、友人関係で楽しくSNSを利用しているのだが、それが不特定多数の人に公開されているということを忘れてしまう人たち。Twitterでは、知らない人に話しかけられるとびっくりしてしまう。あるいは仕組みをよく理解できていない人も結構いると思う。過去の学生炎上事例はこのタイプの学生によるものが多いだろう。「内輪からパブリックに緩やかにつながる」という感覚は、案外理解するのが難しく、こうした人達に、思い切り敷居を下げて、「友達とつながる」シンプルなスタイルをアピールして成功しているのが、LINEということになるだろうか。

2のタイプは、Facebookにはあまり出てこない、どちらかという「非リア」の人たちが多く、リアルでのアイデンティティとネットでのアイデンティティを完全に切り離そうとする傾向が強いように思う。このタイプは、2ちゃんねるや、今はTwitter利用者にも多くなってきたのだろう。j-castがとりあげている、Twitterからの批判的意見は、この層から出てきていると考えられる。この人達はFacebookで笑顔でプロフィールを公開することへの抵抗も強く、前向きな自分を「作り上げる」ことに批判的なのではないかと予想できる。

一方1のタイプには、「プロフィール写真は正面から撮った笑顔のアップ、友人の数は50人以上、週2回以上前向きな内容の書き込み」といった具体的なアドバイスは、たしかに有効だろう。このアドバイスで学生から金をとっているというあたりに、ちょっと悩ましいものがあるし、多少やりすぎ感はあるけれど。企業側がネガティブチェックにFacebookを利用する傾向が多い中にあって、とりあえずこの程度の体裁を作っておくというのは、それ自体前向きとはいえないが、最低限の措置ということになる。これぐらい具体的なアドバイスじゃないと実践できないというのは情けない話だが、そんな大学生を作ってきたのは、ソーシャルメディアを理解できない大人たちだ。

そこから先、大学生の内輪受けから抜けだしていけるかどうかは、Facebookの中だけに閉じられた問題ではなく、少なからずその人の生き方の問題でもある。就活の時期が迫って、急に体裁を繕ったとしても、中身の底の浅さは、すぐにバレる。この辺は一朝一夕には改善できないので、学生生活を送る中で、徐々にギアチェンジをしていく必要がある。

ここまで書いて、GLOCOM豊福先生の最近のTweetを思い出した。

「仮面人格」ではなく、そのままの自分(これも程度問題なのだが)が受け入れてもらえるかどうかは、SNSとは何ら関係がなく、どんな学生生活を過ごすかにかかっている。おおむね、高度なコミュニケーション能力が求められるという意味で、非リアには辛い状況だと言われれば、その通りかもしれない。しかし少なくとも大学生になったら、過去のSNS観とは決別して、リアルと接続した人格を反映させながら、SNSと付き合えるよう、少しずつ試運転を重ねていくのがよいと思う(すぐにはできるようにならない)。

一方大人たち。もう一つ豊福先生のTweetから。

SNSやケータイとの距離の置き方は教えるが、現実生活とリンクしたSNSの使い方や「発信力」については、ほとんど教えられていない。教えられないといったほうが正しいだろう。そもそも大人たちの多くが、「匿名なら何でもあり」か「匿名で見てるだけ」という経験しかない(教育界には後者が多い?)ので、オンラインでのアイデンティティの育て方など、想像もつかない人が多いはずだ。この点はより根深い問題だが、一人一人のリテラシーが高まるのを待つよりほかない。スマホ時代の到来ははたして、保守的な教育界が変わっていく、きっかけになるだろうか。

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