テレビばかりかPCインターネットの利用時間も減少:アスキー総合研究所の消費者動向調査「Media&Contents Survey」


MXTV「東京ITニュース」でおなじみ、アスキー総合研究所所長の遠藤諭さんのエントリー。「未来のテレビ」がテーマなのだが、背景としてメディアの「イス取りゲーム」、つまり限られた個人の24時間を、さまざまなメディア、デバイスを奪い合っている構図が紹介されている。数字は、アスキー総合研究所が行った消費者動向調査「Media&Contents Survey」から。

 

集計結果を見て驚かされるのは、ここ1年間のメディアの利用状況の激変である。1999年にiモードがスタート、2004年にGREEやmixiがサービス開始、2006年にニコニコ動画、2008年にiPhoneが日本で発売と、我々をとりまくメディアは、この5~10年で大きく変化してきてはいた。しかし、それを加味したうえでも、「1日のテレビの視聴時間」が152.0分(2010年末)から134.1分(2011年末)に減少したなど、劇的と言わざるを得ない。

 

日本人1人の1日の平均テレビ視聴時間は、1950年代にテレビ放送が開始されて以来、基本的に増加してきた。1960年代には「テレビの黄金時代」があったが、まだ核家族化されておらず、個人視聴もなかった。唯一、1980年代の半ばにビデオやテレビゲームで停滞したが、その後もバブル期をはさんで視聴時間は伸び続けた。ここ数年の総務省統計では横ばい、一部で減少も指摘されていたが、ここまで大幅な減少ではなかった。

 

テレビだけではない、「PCからの1日のネット利用時間」も、この1年間で173.5分から151.4分へと大幅減少。これは、1995年頃からひたすら発展してきたインターネットの歴史の中でも大きな転換点といえる。一方、携帯電話(スマートフォンを除く)も、2010年から2011年にかけては所有率が88.3%から80.3%へと減少。これも、1990年代に一般に普及が加速してから、初めての減少といえる。

 

そうした中で大きく伸びたのはやはりスマートフォンで、所有率は4.9%から13.1%へと167.3%も増加した。タブレットも、数値は小さいとはいえ、1.0%から2.1%へ増加。こうしたメディア機器に加えて、新聞などの紙媒体、ラジオやゲーム機などすでに減少傾向のあったものも含めて、それぞれの10%~20%が同時多発的に流動しているようすを想像してみていただきたい。消費者の限られた時間やお金やメンタルな部分で、壮大なイス取りゲームが行われているのだ。

 

スマートフォンを始めとする携帯端末に、他のメディアは時間を奪われている。ネットの普及でテレビを見る時間は減っている話、これはさらに顕著に出てきているのだけど、それだけでなく、PCでのネット利用の時間も減っている。これは大きなパラダイムシフトと言えそうだ。

主としてこの記事のテーマは「テレビの未来」なのだけど、実は「テレビの未来」といいながら、もはやそのイメージは、現在のテレビのイメージを超えたものになるということが、示唆されている。

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