新潟駅―白山駅にBRT、2014年までに導入


新潟市中心部に、専用車線に連結型バスを走らせる「BRT」を導入することが決まったようだ。

 

asahi.com:14年度までに「BRT」-マイタウン新潟

新たな公共交通の導入を検討している新潟市は、2014年度までに、市中心部に専用車線を走る2両編成の連節型バス「BRT」(Bus Rapid Transit)の運行を目指すことを盛り込んだ基本方針をまとめた。新潟駅―白山駅間を走らせ、運営は新潟交通(新潟市)に任せたい考えだ。13日の市議会全員協議会で説明する。

新潟日報社 netpark ::: 新潟市、BRTを14年度内導入へ

新潟市は信濃川を挟んで、万代と古町という二つの中心市街地が併存。さらに市役所、新潟県庁が、いずれもやや離れた位置に移転、新潟駅を挟んで反対側、「駅南」エリアも飲食店が並ぶなど、街が拡散している。かつてはそれだけ広がったエリアに見合った形での成長を予定していたのだと思うが、もはやその見込みはあまりなく、今後人口減少に向かう試算が出ているくらいだ。

市街地としての「老舗」、古町地区は、対岸の新潟駅から万代までのエリアが発展、郊外型店舗が力を増す中で、どんどん存在感を低下させている。原因は簡単。電車の駅がないなど公共交通が不便なうえ、無料の駐車場が整備されているわけでもなく、車でのアクセス環境も悪いから。古町地区はお店にも老舗があり、街並みも趣があるところが多いのだが、大和百貨店が撤退するなどで、大型商業施設は三越しか残っていない。

そこで、この市内中心部の「大動脈」を強化し、老舗古町を含めた中心部の利便性を高めるため、さまざまな案が取りざたされてきた。朝日の記事を読むと、LRT(新しいタイプの路面電車)の導入もまだ将来構想としては残っていて、とりあえずはBRTで、ということのようだ。

で、当然いろいろ意見が出てくるわけで、新潟ネタではめずらしく(?)、2ちゃんねるも騒がしくなっている模様。

【交通】新潟市、BRT(バス高速輸送システム)を14年度内導入へ

自分なりに整理すると、ポイントはこんな感じ。

1.既存のバスで十分

「公共交通が不便」と書いたが、実は新潟駅から古町にかけての交通は、そんなに不便ではない。駅のバスターミナルから各地域に向かうバスは、かなりの確率で古町を経由する。したがって、この区間の足が不便で人が来ないわけではないという意見がある。たぶんその通りで、新潟駅の利用客にとっては、結局乗り換えて移動する手間がかかることには変わりがない。

ただしよそ者目線で見ると、○番線、○番線、○番線、どれも古町まで行きます、というのはちょっとわかりにくい。乗り場が統一されるならば、旅行者には便利だと思う。それと、新幹線含めて、電車利用の人は電車の時間が気になるので、どうしても駅近くで夜会食するケースが多くなる。終バスの時間や夜の運行頻度が改善されれば、「夜の部」の人の流れも変わるかもしれない。

2.渋滞を引き起こす

BRTの専用路を作ることになるので、路線が減るのは間違いない。さてどれぐらいの渋滞が発生するのか。自分はどちらかというと柳都大橋という、一本隣の橋で信濃川を超えることが多いので、柾谷小路の車線が減ってもあまり影響ないように思うが、車の流れが変わると、いろいろ影響が出るのかもしれない。

恐らく問題は、「車を使わずに移動しよう」と思わせる仕組みになるかどうかだろう。JRや路線バスとの接続、割引、郊外から車で出てきた場合の駐車場の確保など、使い勝手が鍵になる。

3.どっちにしても古町にはいかない

古町で商売をしている人たちにとっては、古町の活性化は大きな課題だが、それ以外の人たち、とりわけ古町のお店をほとんど利用しない人たちにとっては、あまり関係のない話だ。新潟駅から白山駅まで、たかだか4キロ区間の交通網を整備したところで、その状況が変わるわけではない。

他の都市でも同じだが、新潟市民の多くも、すでに郊外型店舗を中心にした生活スタイルに移行していて、中心部の店に行かなくなってしまった世代が増えてきている。あくまで平均すればの話だが、学生と話している時と、自分と同世代以上の人たちと話している時では、古町という町の存在感が、かなり違うように感じる。そういう意味では、「いまさら」の措置だといわれても仕方がない面はある。

結局足の問題もあるが、町に人を呼び戻す力がなければ、どうしようもない。古町地区は個性的な街並み、個性的な小規模店舗がいくつもある。しかしながら、全体としては古い、あか抜けないイメージに転落してしまっているというのが正直なところ。新しい店を開こうにも、「老舗」ゆえにか、集客力の落ちてしまった今でも、家賃が高い物件が多いという話も聞く。

4.他のエリアのインフラ整備は?

新潟市は政令指定都市になるまでに周辺市町村を合併してきたので、同じ市内でも、周辺地域の中には、鉄道がなく、バスもかなり不便、という地域があるようだ。中心部でも、「駅南」と言われるエリアは、住民の数が増えているように思うのだが、開発が遅れたせいか、バス路線があまり充実していないし、新潟駅の南北を貫く道路もない。このところ新潟市では珍しく、雪かきが必要なぐらい雪が降っているのだが、にもかかわらず、自転車で移動している人をよく見かける。それだけ市内中心部も、他の代替交通機関が整備されていないということなのだろう。

これらの地域のインフラを整備するよりも、曲がりなりにもそれなりの交通手段が整っている、新潟駅から古町に、BRTが新規に整備されるべきなのか。もし古町が押しも押されぬ新潟の中心市街地として、今後も支持されるとするならばいいのだが、実際にはその地位もかなり揺らいでいる。いや、もし今後も古町が中心市街地として支持されるのだとしても、周辺地域から新潟駅への公共交通でのアクセスが改善されない限り、これらの地域の人々は、車で買い物に出かけることになるし、そうなれば古町を渋滞させるか、あるいは郊外型店舗に行くかということになる(恐らく後者だろう)。

以上大まかにまとめてみたがどうだろうか。

ちなみに、「新潟シモフルのおんぼろビルに暮らす」でも、昨年この話題を取り上げていて、どちらかというと懐疑的な見解。

本当にいいの?BRT :: 新潟シモフルのおんぼろビルに暮らす

真ん中の車線がバスレーンになれば停留所も車線の中にできる。岐阜にかつてあった市電のように道路に白線を引いただけ(すぐ脇をクルマがびゅんびゅん通る)ということはなく、ちゃんと屋根付きの停留所を作るのだろう。その分車線は狭くなる。現在片側3車線の柾谷小路は、バスレーンと停留所で事実上1車線に…?

専用バスのみをレーンに走らせるとしたら、現在1日に2700台走っている路線バスは実質1車線に押し込められる。もっとも、この区間の路線バスの多くは専用バスに取って代わられるのだろう。ということは、東区方面から古町、西区方面から新潟駅まで乗っていた人は、市役所や新潟駅で乗り換えなくてはならないということ…?

結局カネかけてかえって不便になるんじゃない? 車線の真ん中の停留所で乗り降り不便になって、乗り換えまで強いられるバスになんて誰も乗らなくなるのでは。柾谷小路の実質1車線に路線バスとタクシーとマイカーがダンゴになるのでは、古町に行こうなんて誰も思わなくなるのでは。

住んでいる地域によって利害が異なっているため、なかなかコンセンサスを得るのは難しいだろう。バス路線の充実していない駅南エリアで、しかし新潟駅までそれほど遠くない地域に住んでいる自分としては、さほどの違和感もないが、新潟駅までは依然として歩くよりほかないので、もろ手を挙げて賛成、というほどでもないといったところだ。

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