大手民放ラジオが、ネット同時放送に踏み切る


東京大阪の大手ラジオ局が、ネット配信に踏み出すという話題。日経BPが未明に単独で配信し、今朝から大きな話題になっている。

リンク: 大手民放ラジオ13社、ネット同時放送解禁へ:日経ビジネスオンライン.

AM、FM、短波の大手民放ラジオ局13社は、3月中旬から、地上波と同じ放送内容をインターネットでもサイマル(同時)送信することを決めた。日本音楽著作権協会(JASRAC)や日本レコード協会といった権利団体とも合意を得た。2月中にも正式発表する。
 

パソコンなどから「RADIKO(ラジコ)」のウェブサイトにアクセスすれば、無料で地上波と同じラジオ放送を聴けるようになる。ただし、アクセス元のIPアドレスから住所を類推する仕組みを用いて、当面は首都圏と大阪府の利用者に限定する。

モバイル配信(携帯やiPhone向け?)はなし。IPの制限をかけることで、エリア外で聞くことはできないようになっている。同じように、首都圏でなければ聞こえないといわれている、TokyoFMのiPhone版については、イーモバイルの回線(どこでもWifi)を使うとエリア外でも聞こえてしまうといううわさを耳にしたが、実際のところはどうなのだろう。いずれにしても、地方局に配慮すると、エリア限定なしの配信には踏み切れないようだ(そもそもがまだ「実験」としての位置づけだ)。

この「限定的」な取り組み、もう後には引けないのではないか。ラジオが家庭から消えつつある今、とにかくリーチを増やしていかなければ、大きく落ち込んでしまった広告費を、V字回復させることは難しいという判断なのだろう。「ラジオ広告費は91年の約2400億円をピークに、2008年の約1550億円まで減少している。」とある。すでに何年も前に、ネット広告費に抜きされているはず。この記事を読む限り、各局が単独で踏み切るのは不可能だったところを、まとめ役の電通がとりまとめ、権利団体との交渉に持ち込んだかのように見える(これは憶測)。これでたとえばV字回復できれば、もちろんやめられないし、回復できなかったとしても、やめるのは難しいはずで、うまくいかなければむしろ、エリア限定を外す可能性を模索する可能性すらでてくるのではないか。

視聴者から見れば、これは歓迎すべきこと。エリアの限定も外してもらえれば、ネットを通じて、ラジオの存在感は高まるだろう。もちろん、地方局には大きなチャレンジになると思うが、地元には地元のニーズがある。新潟市内では、FM KentoからJ-Waveが流れているが、新潟人と話していてその話題になることは少ない。もちろん、知名度の問題もあると思う(KentoはコミュニティFM)が、J-Waveの交通情報は東京の交通情報で、新潟の人には全く関係がない(僕には懐かしいけど)。Tokyo FMのDiaryという番組は先日、@ksoranoさんをゲストに迎え、スタジオダダ漏れをやりながら放送を行った。大きな反響があったはずで、僕も知らなかったDiaryという番組に親近感を持った。

TBSラジオのLifeは、ずいぶん前からストリーミングでサイマル放送をしていて、僕もたまにライブで聴いている。J-WaveのDJの多くは、最近Twitterを使い始めていて、Ust中継も行っている。

こうした取り組みの必要性は、放送しているエリアの実情によっても異なるのであるが、放送している側の意欲の問題もある。一番気づくべきは、これまでラジオが果たしてきた身近なインタラクティブメディアとしての役割は、ネットでのやり取りを通じてさらに進化していくかもしれないということだ。

プロの仕事はプロの仕事。ネット上のUst動画とラジオが同じ土俵に並んだとしても、こうしたたくさんのコンテンツの中にラジオ番組が埋もれてしまうわけではないのだろう。少なくとも今はまだ大丈夫だ。キー局はとりあえず、地方でのサイマル放送に踏み切らなかった。今のうちに地方局も頭を切り替えて、ソーシャルメディアの中にいかにきり込み、自分たちのポジションを築いていくかを考えてみたほうがいいだろう。

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