ソーシャル・ウェブと情報セキュリティ


先週配信された、ネットワークセキュリティワークショップ in 越後湯沢のメルマガに、僕が書いたもの。せっかく書いたものなので、こちらにも載せておこう。

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2006年から新潟の敬和学園大学に移籍し、2年半が経過しました。
おかげさまで湯沢WSにも2007年から2年続けて、スタッフとして参
加させていただくことができました。
もともと法学を研究のフィールドとしてきた私ですが、現在の本務
校ではこの2年半、人文系の学生への「コンピュータ実習」を受け
持つこととなり、これに伴って新しいウェブ技術についての動向に
ついても、さまざまに学ぶ機会を得ました。90年代半ばからインタ
ーネットの普及をリアルタイムで経験した一人として、昨今の「ソ
ーシャルウェブ」といわれる新たな諸サービスが、人、コンテンツ、
サービスの緩やかな連携をより強めていく現状に立ち会えることに
10年前と似通った興奮を覚えています。と同時に、サービスの急速
な発展と法律論との乖離に、とまどいを感じてもいます。
 

この数年の間に急速に台頭してきた「ソーシャル・ウェブ」は、誤
解を恐れずに大雑把にまとめるならば、見知らぬ誰かの善意を信頼
することで成り立っているものといえます。
テキスト、写真、動画などのコンテンツから、お気に入り/ブック
マークやつぶやきなどささやかな活動記録、さらには個人プロフィ
ールまで、媒介するものはさまざまですが、それらがもっとも効用
をもたらす場面は、普段顔をあわせることのない人々と交流すると
きでしょう。

しかし日本のSNSが、

実名制と招待制をベースにした信頼の仕組み
を維持できなくなってきているように、ソーシャル・ウェブがある
程度の規模になった段階で、善意のメカニズムを悪用するものが現
われ、困難にぶつかります。

実名はもちろん、詳細な個人プロフィールを公開しビジネスにも活
用されているとされる英語圏のSNS、LinkedInは、デジタルネイテ
ィブが使いこなすビジネスSNSの先例として、NHK特集でも取り上げ
られましたが、今年に入り、マルウェアがばらまかれているケース
が出てきました。
またマイクロブログとしてはもっとも成功を収めているTwitterは、
オバマ米大統領が大統領選で多用したことでも知られていますが、
年明けからフィッシングの標的にされ始めたという報道が出ていま
す。
たしかにこのところ私のところにも、怪しげなユーザからランダム
に送りつけていると思われるfollow通知が、一日何件も届いていま
す。

リアルでの打ち合わせを大事にするといわれる日本社会では、ソー
シャル・ウェブから企業活動を完全に切り離すことに、ほとんど迷
いがないように思います。企業活動から離れて、ソーシャル・ウェ
ブに囲まれて暮らす私から見れば、さぞかし窮屈に違いないと思う
のですが、これらのサービスはほとんどの人にとって馴染みがなく、
ソーシャル・ウェブ的な機能を業務プロセスの中にいかに取り込む
かという問題意識を持つ人は多くないようです。
ただ、今年はビジネスコミュニティ取り込み可能なウェブサービス
が登場するという予測をする人もいますし、変化の兆しは見えてき
ているのかもしれません。新しい時代の「可用性」と「安全性」に
ついて、今年はいろいろと考えてみたいと思っています。

<関連サイト>
LinkedInの偽プロファイルがマルウェア配布に利用される
http://japan.zdnet.com/sp/feature/07zeroday/story/0,3800083088,20386157,00.htm

甘い言葉でだます:新たな展開を見せたTwitterフィッシング詐欺
――餌はiPhone
http://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/0901/06/news082.html

NHKスペシャル デジタルネイティブ(2008年11月10日放送)
http://www.nhk.or.jp/digitalnative/

2009年のIT業界、注目株は何ですか?(GMO VenturePartners村松
竜氏のコメント。業務プロセスへのRIA活用について言及されてい
ます。)
http://japan.cnet.com/panel/story/0,3800077799,20386058-10001339,00.htm

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