社会人になったら新聞、というのは刷り込み?:サントリー次世代研究所「若者メディアライフスタイル調査」


先日情報通信学会でお会いしたサントリーの宍戸奈津子さんに、3月で活動を終了したサントリー次世代研究所の研究成果「若者メディアライフスタイル調査」の報告書を贈っていただいた。 ありがとうございます。




from shinyai

リンク: 刊行物・報告書 次世代研究所 サントリー.

Vol.1 若者たちを取り巻くメディアライフスタイルの実態とその将来像
Vol.2 新しいメディアを使った若者たちの距離感の測り方
Vol.3 デジタル時代の友だちづきあい

という三部作になっている。ネットアンケート調査に先駆けて、ワークショップ形式での聞き取り調査を行っていて、関西大学、上智大学に加えて、弘前大学での聞き取りが行われている。「青森」であるがゆえに出てきた特殊な要素というのは少なかったというようなお話をうかがったが、もう少し詳細に読ませていただきたいと思う。

以下は研究成果の意義を否定するものではなく、むしろやむをえないものだと思うが、印象として、回答する学生たちに「模範解答」バイアスのようなものが働いているような気がしてならない。たとえば以下のような記述がある。

「社会人になったときにどんなメディアから情報を得ていると思いますか?」と尋ねたところ、約86%の人が「新聞」と回答。「テレビ番組」「ホームペー
ジ・ブログ」を上回り、最も多い。一方で、現時点で毎日「新聞」を読んでいるのは、約3割で、全く読まない人も2割強存在する。
また、近年Mixiに代表されるSNSの利用は急増し、本調査でも男性の56%、女性の69%が利用していると答えている。しかし、社会人になったときに
「SNSを使って情報を得ていると思う」と回答しているのは、全体の3割強。現時点でSNSを利用している人だけでみても5割を切り、社会人になってから
もSNSを利用して情報を得続けようとは思っていない。

そう、まともな大人は新聞で情報収集をするものだ、という刷り込みは、どこかで行われていて、かつ学生たちの多くは普段新聞を読んでいない。その結果、新聞の社会人への適合度というか、マストアイテムとしての地位を、「想像上」確立してしまっているのではないだろうか。新聞とウェブで、新聞社の発信する情報の内容にはどのような違いがあるかとか、それが紙に印刷された新聞であるかウェブであるかによって、読み方にどんな違いが出るのかとか、そんなところまで考えている学生はあんまりいない気がする。まして、RSSをどの新聞社が配信していているのか、それらはどのようにTwitterに流れ込んでいるのか、全文配信されているものはあるのか、配信されていないのに全文配信する方法はあるのか、といったことにアンテナを向けている大学生は、、、、上智、関西大、弘前大の三大学の学生でも、5%もいればいいほうだろう。

SNSについても、日本ではビジネス利用が極めて低調だという事情も関係がありそうだ。普段の学生の利用形態も非常にカジュアルなものが多いだろうから、それが社会人になって利用され、情報を得るためのものになるとは考えてないというということだろう。世間で言われている、社内SNSや地域SNSのような話は、たぶんほとんど知られていない(学生じゃなくても、知らない人のほうが多いだろう)ので、そうすると、「仕事中にオレンジの画面を出して、仕事になるのか?」という発想で回答することになる。数字としては下に下がってしまうだろう。

で、結局このような彼らの回答というのは、現在彼らが体験しているメディア環境を前提にしたものであるのだが、実際には彼らは上の世代とは違って、もっと柔軟なのではないかと予想している。「そうかSNSで仕事になるね」とか「新聞は紙でなくてもいいね」とか、すぐに言い出す用意はあるはずだ。

宍戸さんのご報告を先日うかがって、そんなことを考えていた。実際に調査結果を見て、もう一度考えてみようと思う。

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