英語学習SNS「iKnow!」は学習プラットフォームを目指す

Andrew Smith Lewis, iKnow!

一昨日、都内で開かれた英語学習SNS「iKnow!」のユーザイベントに、お招きいただいたので参加してきた。ユーザと対話することを目的としつつ、メディア関係者も招かれていて、すでに何本か記事が出ている。
iKnow!を運営する、セレゴ・ジャパンから、事業本部長のマイケル長谷川さんが主にプレゼンを行い、代表取締役社長 Eric Young さん代表取締役会長 Andrew Smith Lewis さんも登壇した。

Andrew Smith Lewis, iKnow!


from shinyai

iKnow!ユーザでない人が多いという前提で、事業本部長のマイケル長谷川さんが、細かい機能のプレゼンをしたが、最後に利用している人に手を上げてもらったところ、(当日イベントの前に試してみたという人も含めてだが)ほとんどの人の手が挙がった。Q&Aでは、ユーザからのリクエストに関するものと、記者や僕のような「ウォッチャー」的質問の両方が出た。

プレゼンの中で非常にインパクトがあったのが、以下のスライドにある数字。

Figures about iKnow!


from shinyai

ユーザ数は開始から半年で13万人に到達。全ユーザの総学習時間が64万時間で、約73年分に相当する。全ユーザに閲覧された学習アイテムが6064万。これらは、ページビューのような考え方と異なり、それぞれのユーザが自分の学習進度に合わせて、非常に集中した形で時間を使っているものを積み上げたものである。

SNS的な機能がとかく注目されがちで、たしかにそれによってユーザ同士が励ましえるという利点を彼らも強調するのだが、もっとも肝心な部分はあくまでも、学習履歴を管理するBrainbankというシステムということになる。忘却曲線(Ebbinghaus)の理論に従って、適切なタイミングでリマインドするような仕掛けで、実際学習中に出てくる語彙について、一つ一つ履歴をとっているそうだ。学習のデバイスとしては、PC以外にも、携帯やWiiなどがあるが、そこでの学習履歴も、同じデータの中で処理されているという(podcastについても、学習進度に合わせて提供されるが、podcastの再生内容は、たぶん履歴管理されていないだろう)。学習履歴といっても、それぞれの項目を学習したかどうかや正解できたかどうか、だけでなく、回答のスピードも含めて、さまざまな観点で、ログイン後のアクティビティの履歴をとり、その状況に合わせて、次の出題の仕方が自動的に設定される。また同様に、しばらく勉強していなかったというような場合にも、ブランクに対応した学習コンテンツが提供される。

iKnow!は、SNS的な機能を自ら提供するとともに、他のサービス、たとえばTwitter、Tumblr、ブログなどからフィードを読み込む機能も備えている。日記はmixi日記と同様の形で、iKnow!の中で完結する日記アプリケーションが提供されている(RSSは吐き出せるようだ)が、近日リリースされる新バージョンでは、FlickrとYoutubeを入力画面上で検索し、日記に関連するコンテンツを貼り付けられるようになるようだ。アンドリューさんに後で質問してわかったのだが、Flickrの検索対象は、CCライセンスのものに絞ることになるという。

今後は、このプラットフォームを生かして、学習コンテンツの拡充を図る予定で、日本語学習が最初に予定されていて、その次が「中国語」だと言っていた。「中国語」というのは、僕は「中国語学習」のことだと思っていたのだが、試験版の画面は「中国語のiKnow!」、つまり、中国語圏の人のための英語学習サイトのようだ。ひょっとしたら中国語に関しては、双方向で進めるのかもしれない。その次がスペイン語。ユーザの方はフランス語はできないのか、ということであったが、プライオリティは低そうだった。

いずれにしてもコンテンツ作成は、「UGC」化し、自分たちはプラットフォーム提供者としての地位を中心にやっていきたいと強調していた。今回の英語学習のコンテンツは、Ceregoが自ら作ったけれども、これからはオーソリティとなる人物やコミュニティによって、新しいコンテンツが作られるような仕組みにしたいそうだ。もちろんその場合の品質管理の問題は難しいわけで、実際質問も出ていたが、少なくとも全部自前でコンテンツ制作をやるつもりはないという意味であろう。

で、結局、今の無料モデルのまま、どうやって収益を上げるのかという質問が、何回か出た。これに対する回答はかなり慎重で、「学習者が集中しているという状況に応じた広告を考えたい」というのが公式回答であった。おそらく「集中」ということと同時に、英語学習に興味を持つようなセグメント化された、high-profileな13万ユーザ、「ユーザの質」をウリにして、広告モデルを考えていくのではないかという気がした。また別の収入源として、ある程度普及が進んだ段階で、会社や学校等で閉じた形でのサービスを有料で提供することを検討しているそうだ。ただ、mixiのコミュニティのようなものはまもなく作られ、それらを法人、学校の単位で利用するのは無料だ。つまり、学校内で学生の履歴管理をチェックするというようなことをするのではなく、ブログパーツに出てくるような学習進度をみんなで共有するようなことは、無料のまま実現できそうだ。

僕としては、英語学習という独特のサービスに付随したコミュニティサービスが、今のソーシャルサービスとどのようにかかわっていくつもりなのか、そこに興味があった。それについてはいろいろ意見交換させていただいたが、僕の感触としては、オープンなウェブ上のサービスとの連携は切らず、常にキャッチアップしつつもあくまで付随的な位置づけにとどめておくのではないかと感じた。あくまで、コミュニティの中で勉強できればそれで十分という人をメインターゲットにすえるということだ。Flickr、Youtube、ブログなどからのコンテンツの取り込みとともに、iKnow!のコンテンツを外側に切り出していくような、何か切り口はあるのかを知りたかったが、それはおそらくまだ具体化はしてない(学習進度を表示させるブログパーツはある)ように感じた(後で調べてわかったが、実際には学習進捗を、自動的にTwitterに吐き出すことはできる)。

スタッフも英語学習だけでもウェブだけでもない、非常にバランスの取れた人たちで、お話ししていて非常に面白かったし、可能性を感じるミーティングであった。これを機に、さぼっていたiKnow!での勉強も、もう少しがんばりたい。

それといつものことながら。iKnow!の学習プラットフォームが、教育界での「チープ革命」をよりいっそう推し進めるものになるとすれば、大学教育という旧来の枠組みにいる人間として、どうやって自分自身や大学という仕組みの付加価値を出していくのか、深く考え込まざるを得なかった(実は上の広告モデルについて、エリックさんから後でオフレコ話として、もう少し突っ込んだ構想を聞いたのだが、その中身は、革命の可能性をよりいっそう現実的に感じさせるものがあった)。

 

How to iKnow! 英語学習コミュニティ「iKnow!」オフィシャルガイド
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