先日の中越沖地震の後、原発の安全対策について討論する番組で、言及されていた本。今日上越新幹線の中で、一気に読み終えた。胸がつまった。
1999年9月、茨城県東海村でおきた臨界事故で、大量の放射線を浴びた患者の治療記録。NHKでドキュメンタリーとして放送され、本になったものの文庫版。非常に貴重な記録だと思うが、こうして読者が興味を持ったとしても、NHKが再放送しない限り、僕らの目には触れることないわけだ(と思ったら、ニコニコ動画にのっているような形跡があるな。でも、心無い軽率なコメントが載ってるんだったら見たくないなあ)。
ついこの前まで元気だった人が、一瞬目の前に現れた閃光により、まさに「朽ち果てて」いく。染色体が砕け散るという前代未聞の事態に動揺する医師たち。希望を捨てずに励まし続ける家族。血圧の低下、昇圧剤の使用、反応しない患者に変わらず話しかける看護師や家族。ゴールデンウィークに僕たち家族が経験したことが思い出される。しかもこの東海村の悲劇は、病気ではなく、きわめて稚拙な、人為的ミスによりもたらされた。
この本を読んだあとでもなお、ずさんな安全管理体制で核燃料を取り扱えるとは、とても思えない。それぐらいの衝撃がある。原子力政策にどんな立場を取る人であれ、放射能を浴びた人間がどういう目にあうのか、そのことは最低限、知っておくべきだなと思った。
この本を読む限り、1999年の医学では、大量の放射能を浴びた人間を救うことはできなかったようだ。今はどうなのだろう。
ニコニコに挙げられてますね。
ただニコニコの場合、コメントオフにすればそのまま見られるので別に問題ないようにも思います。
一応アドだけでも出しておきましょう。
http://www.nicovideo.jp/watch/sm351060