情報通信政策フォーラム(ICPF): 第19回セミナー参加


26日、東洋大学で行われた情報通信政策フォーラム(ICPF): 第19回「政府の知的財産戦略」に行ってきた。今回は、内閣官房 知的財産戦略推進事務局 参事官補佐の大塚祐也氏による、知的財産推進計画に関するお話。すでに議事録がアップされている。

リンク: 情報通信政策フォーラム(ICPF): 第19回セミナー議事録.

大塚氏は、民間からの出向メンバーの一人だという紹介があった。
日本の「コンテンツ振興」という視点での知的財産権の強化に傾きがちで、質問は逆にユーザ側の視点での厳しい指摘が多かった。

以下はメモ。議事録ほど詳細なものではない。

知的財産推進計画は、2006年から第二期

実動の調査会は、計画2006では、
-知的創造サイクル専門調査会
-コンテンツ専門調査会
があった。了承した結果を2007につなげてきた。

このサイクルの下で出てきた知的財産戦略は、推進本部から各省庁に「宿題」としてだされる。
実際の法案は、各省庁が書く。経産省なら特許法等、文科省なら著作権法、農水省なら種苗法。
各省庁からの出向者は、出向下との関係が悪くなりがち。あえて「宿題」の中身は過激なものになりがち。

これまでの成果(1-6参照)

計画2007について
基本的な考え方
-イノベーション25
-アジア・ゲートウェイ構想/日本文化産業戦略
こうした動きと連携を強める(成長と活力の源泉としての知的財産)

コンテンツ産業は、13.6兆円の規模。自動車や鉄鋼と比べても決して小さくない。

しかしGDP比では2.66%なので、世界平均の3.0にも及ばない(米国は4.41%)
海外売り上げ比率は、2%。米国が18%。
世界のコンテンツ市場の中でも、2000年-2004年の間にプレゼンスが逓減中。

番組制作会社の大半は中小企業。
実演家の活動環境、アニメータの制作環境にも課題が多い。

ネットワーク化は進展している。

コンテンツ専門調査会の2006年度末のレポート。
コンテンツ大国のイメージ
1)国民がコンテンツを楽しむ環境
-いつでもどこでも
-双方向・参加型
日本人はカラオケでの消費が多い。時代の流れも自己表現・参加に価値を見出す方向に向かっている。
2)人材育成
-多様な人材の流入
-日本がコンテンツ創作のハブとなる
-国際的に活躍するクリエータ、プロデューサの輩出
*村上 隆氏の意見、お金への執着。欧米のビジネスルールを知ること。
*リングのプロデューサ リングで失敗して、ジュオンで売り上げの1/3をとった(全世界で2億ドル)
-エンタメロイヤー
3)契約
テレビドラマでも主役・準主役ぐらいしか契約をしてない(それも撮影後)
適正な報酬が支払われるべき
4)ビジネスチャンス
売込みばかりを考えず、「ハブ」としての発想が大事。
イベントをばらばらにやらないで集約できないか
資金調達の多様化
5)海賊版の撲滅
6)教育

成長の阻害要因
1)産業界の海外戦略の欠如
2)時代の変化に対応できない制度と業界慣行
報酬が人材にちゃんと降りてきていない。
3)将来に目を向け、新しい産業や収益源を見つける視点の欠如

推進計画2007の重点項目
世界最先端のコンテンツ大国を実現する
-デジタルコンテンツ流通促進法制度:かなり批判があって、これからつめることになるだろう。
たとえば:登録したものは報酬請求権だけど、違法な使い方は非親告罪にしようとか
税金で補完する案もある

(会場からのコメント)
許諾権を報酬請求権に弱めるという報道や経済財政諮問会議での見解も出ていたんだけど、結局それは消えている

私的複製の範囲についての検討(文化庁):パブリックコメントで非難が集中(萎縮効果)
方向性としては、刑事罰は課さないで、民事救済だけを残す
前例:公衆複製機器による複製の場合と技術的保護手段の回避は、民事救済だけ。:このような落としどころがありそう。

権利者不明の場合における扱い
「相当な努力」をして探すのは大変だから、もう少し軽減しようか。
現行法は、著作者についてのみ。隣接権者(特に実演家)についても作れないだろうか。
文化庁見解としては、ローマ条約との関係では難しそうといっているが、なんとか検討してくれという状態。
米国のオーバーワークスに関する法案(廃案)。わからないからつかっちゃってたら、後から出てきた場合には、三倍賠償をやらないとか、いくつかの軽減策が出てきている。これをまねたらどうか。
文化庁が検討する。一般人の映り込みの肖像権の問題については、不明の場合の仕組みを作れないかという話が出ている。これは利用者側が、中立の第三者機関を作って、いざというときに弁済するような形?

IPマルチキャスト
同時再送信に限定して当面解決した。残りは今後検討。
自動公衆送信のまま、実演家の権利を報酬請求権に。

検索エンジンの問題
ストレージ、インデックスデータベースの複製の取り扱い。
米国ではフェアユース。
日本の制限規定に、該当規定がない。
現状、ストレージは米国にある。

Google八分には、グローバルとローカルがあり、グローバルは米国法に照らしたもの、ローカルはそれぞれの国の法令に反するもの。それを民間企業がやるのでいいのか?

(会場からのコメント)
EU域内では、自動公衆送信に対しても、許諾権を適用せず(イタリアなど)
ベルヌ条約の解釈にも幅がある、といっていた(EU)

ワンチャンス主義
実態は、大物との契約では、ワンチャンス主義を契約で排除している。
→だから、最初に契約で処理して、隣接権を主張するようなやり方はやめたらいい(会場からのコメント)

——————————————-

1)デフォルトでの「保護」と「利用」のバランスを修正するか、2)より自由な利用を望む著作者が「登録」する制度をとるか、3)守りたい人だけが「登録」する制度をとるか。実態からすると、2)ではなくて3)のような登録制度をとるのが、きっと一番現実に即しているはず。ほとんどの名もなきクリエータたちは、3)の方向に傾くだろうし、その結果、がっちり登録されるコンテンツの価値は、徐々に逓減してことが予想される。実際そういう現象の萌芽は、あちこちに現れ始めていて、パスワードでアクセス制限をかけたコンテンツは、なかなか広がりをもてないでいる。

ただ、3)でいくということは、無方式主義をとるベルヌ条約との抵触が避けられないだろう。しかし2)で妥協すると、結局登録されてないために、デフォルトルールが適用されて、二次創作に生かされない死蔵コンテンツができてしまうことに変わりはない。

とすると、現在の「保護」と「利用」の現行法のバランスに、手をつけざるをえない。

(会場からのコメント)
EU域内では、自動公衆送信に対しても、許諾権を適用せず(イタリアなど)
ベルヌ条約の解釈にも幅がある、といっていた(EU)

この部分、池田信夫氏のコメントである。EU委員会はIPマルチキャストが放送と同じ地位を認められるよう、許諾権を認めない方向で動くよう、各国に働きかけているという。それは日本では「ベルヌ条約に抵触する」という話になるのだが、「解釈に幅がある」(ので、別に抵触しないで、たとえば報酬請求権しか認めないというようなことは可能だ)というのがEU委員会の立場だそうだ。重要なポイントになりそうだ。少し調べてみようと思う。

 

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