アンビバレントな稚内


僕のあわただしい旅立ちに続いて、ユーミーも稚内を旅立ったようだ。彼女とは5年間ゼミ活動を共にしてきたし、活躍ぶりもよくわかっているので、非常に感慨深い。

今日からブログちゃん:とりあえず今はさようなら

稚内については、その特殊な土地柄ゆえか、住んでいる間さんざんひどいことを言っておいて、脱出してからかえって懐かしむ人も多い。彼女のように稚内を礼賛するつもりもないけれど、彼女のいわんとすることは、なんとなくわかるような気がする。

半年間雪に閉ざされた生活。視界ゼロのブリザード。吹き溜まり。へっぽこな商業施設。遠すぎる大都市。愛想のない店員。雪かきを指導するおじさん。他人が気になって仕方がないうわさ好きの人々。文化・教養への無関心。ルーズなシステム。

それでも人は生きている。それでも生きている人たちは、出会って、仲良くなると、人材の少なさも手伝ってか、助け合い、尊重しあい、100%の付き合いをするようになる。人材、インフラ、気候条件、ありとあらゆる(信じがたい)制約条件を乗り越えて、みんなが力をあわせて、最大限の成果を得ようとする。「みんな」の立場は関係ない。学生も先生もない。役に立つ奴は尊重されるし、そうじゃない人も、仲間の枠に入っていれば、それなりに尊重される。

狭い世界観で自足する学生たちには、本当にもどかしい思いをする。一度でいいから、東京でも外国でも行ってほしいのだけれど、経済的な条件がそれを許さない。親が許さない、という人もいた。

#ニート対策として、田舎の若者に割引航空券を(回数限定でいいから)配布するのは、非常にいいことだと思う。国内航空券の値段にしても、成田に集中する国際線にしても、その異常さは都会に暮らしているとあまり気がつかないことであろう。

稚内にある、制約された世界での連帯感は、東京では体験できない、ある種のオルタナティブではあった。そこにプラスすべき要素が加わってさえくれれば、あいつもあいつもあいつも、もう一歩先に行けたんじゃないか、という気持ちになってくる。

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